CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン
【編集部が行くトレンドアイテム調査】おりもので妊活タイミングがわかる! ソフィから発売中の画期的なおりものシートの開発秘話を直撃!
FYTTEでは、「FYTTEヘルスケアトレンド2024」として、注目のトレンドワード8つを掲げていますが、そのひとつが「みんなのフェムトレ」です。これは、2024年は、自分にとって必要なフェムテックの知識や方法などを学び、実践を重ねる“フェム・トレーニング”を行う段階と考え、生まれたキーワードです。そこで今回は、「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」を発売されたユニ・チャームの広報室・藤巻尚子さんに、商品の詳細はもちろん、開発秘話やフェムテックに対するソフィの想いなどを、編集部の大島と高橋がお話を伺いました。
Contents 目次
●お話を伺ったのは…
ユニ・チャーム 広報室
藤巻尚子さん
そもそも「妊活」とは?
大島:まずは基本的なことをお伺いするのですが、商品名にも入っている“妊活”は、定義があるのでしょうか。
藤巻さん:明確な定義はありませんが、妊活とは、一般的には「妊娠を望むふたりが、赤ちゃんを授かるための行動全般」を意味します。妊娠するには、排卵日に合わせて性交渉を行う「タイミング法」から始めるのが最も一般的です。排卵とは、卵胞の壁が破れて卵子が腹腔内に飛びだす状態のことですが、この排卵日の2日前に性交渉すると、妊娠率が高くなるといわれています。
「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」を開発するにあたって、マーケティング部で調査をしたところ、女性の就業率が年々上がっているのに伴い、初婚年齢やひとり目のお子さんを出産される平均年齢も上がっています。そのなかで、妊活に悩んでいる方が約8割も存在することが、当社の調べでわかりました。
大島:約8割とは驚きです。悩んでいる方がそんなにたくさんいらっしゃるのですね。具体的にはどんなことをするのでしょう?
藤巻さん:たとえば健康的な体づくりです。これは食生活を見直したり、睡眠を十分にとったり。あとは漢方などを飲んで体を冷やさないことなどがあるほか、妊娠・出産を考えている女性が行う婦人科検診(ブライダルチェック)を行うことなどもあげられます。
そのなかでも、いちばん重要なのは排卵日を予測することです。
高橋:排卵日を調べる方法というと?
藤巻さん:これまで自分で排卵日を知るには、次の3つの方法がありました。
<1>毎日、基礎体温を計る
<2>排卵検査薬を使う
<3>生理周期管理アプリを使う
「<1>毎日、基礎体温を測る」は、起床時に体を起こす前に毎朝決まった時間に体温を計り、毎日の体温の変化から排卵日がわかりますが、基礎体温だけでは、排卵が起きたことはわかるものの、事前の予測はむずかしかったりします。
「<2>排卵検査薬を使う」は、朝、決まった時間に検査薬に尿をかけると、排卵日の約1日前がわかるというものですが、朝は忙しい人も多いので使いにくさを感じられたり、薬剤師が常駐している薬局やドラッグストアでしか検査薬が買えなかったり、コストが高めという問題で、手にとりにくいという声があります。
「<3>生理周期管理アプリ」は、当社でも「ソフィアプリ」があり、ダウンロードして日頃の体調を入力するだけで排卵日を予測して教えてくれるので、手軽に始められると好評です。2024年2月末時点で、約125万人がダウンロードし、3万人の方が妊活モードを活用しています。
大島:そこに新たに「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」が加わったのですね。
藤巻さん:はい。2023年11月に発売したのですが、この商品は、ショーツにつけてふだん通りに過ごすだけで、おりものに反応し、妊活のタイミングをお知らせするまったく新しいタイプのおりものシートです。
おりものに反応すると1本線が出るのですが、おりもののなかの“妊活おりもの物質”に反応すると2本線が出て、妊活タイミングがわかるようになっています。この妊活タイミングとは、妊娠の可能性が高い約6日間のこと。おりものシートで2本線が出たら、約0~2日以内に性交渉のタイミングをとると妊娠の可能性を高める期待が持てます。
5年をかけて開発された「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」
高橋:開発されるにあたって苦労されたことはありますか?
藤巻さん:おりものは結構ネバネバしていることがあるのですが、おりものシートについたときに、なるべく下層に流れるような構造が最も苦労した点です。通常のおりものシートとは設計がかなり異なっており、吸水性を持たせて、水分を肌に戻さないようにするのが一般的でした。しかし、この商品は、いちばん上の表面材の下にある2本線テスターにおりものをすばやく移動させる必要があるため、工夫が必要でした。
じつは、この商品については、開発に約5年の歳月がかかっています。新商品の開発には2年くらいはかかるものですが、この商品は大学との共同研究などもあり、通常よりも時間がかかりました。
大島:5年! そんなに時間をかけて作られた商品だったのですね。
藤巻さん:はい。これまでおりものは、おりものシートを使って、ただ捨てられるだけのものだったのですが、当社では女性の体のメッセンジャーとして、「おりものにもなにか重要なメッセージが隠れているのでは?」と研究し続けてきました。そうすることにより、今回、妊活おりもの物質があることを発見し、商品化につながったのです。
高橋:使用するうえでの注意点ってあるのでしょうか?
藤巻さん:商品のパッケージにも書いてあるのですが、しっかりとおりものが付着するように、装着後、軽く体に押し当てるのがポイントです。あと、注意点としては、体調管理ができるとか、不妊がわかるというものではないということ。あくまでも妊活のタイミングがわかるというアイテムですので、まずは妊活をはじめてみたいという方にご使用いただければと思います。
大島: 具体的には、生理になる何日前から使用するといいのでしょうか?
藤巻さん:次の生理の予定の19日前からです。この19日前を自分で管理するのは大変なので、生理管理アプリ「ソフィアプリ」をご使用いただくのがおすすめです。設定いただくと、使用開始日には通知が来るので、忘れずに「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」を使えます。
大島:それは便利で安心ですね! 手軽に買えて、これから妊活を始める方にとっては、本当に入門的な商品になっているということがわかります。妊活タイミングを知るひとつの選択肢が増えて、妊活されている方にはありがたい商品ですね。
藤巻さん:ありがとうございます。
生理がタブー視されないよう、プロジェクトや教育を展開
大島:ソフィブランドは生理用品のパイオニア的存在ですが、フェムテックという分野にはどのように向き合っているのでしょうか?
藤巻さん:当社ユニ・チャームの創業は1961年ですが、その2年後の1963年に、生理用品ブランド「ソフィ」が誕生しました。きっかけは、創業者の高原慶一朗氏がアメリカ・サンフランシスコに視察に行った際、現地のスーパーで生理用品が山積みになっているのを見たことです。当時、日本では、店員に声をかけないと生理用品を購入できない、日陰の商品でした。そこで、女性が人目を気にせずに手にとりやすい生理用品を使ってほしいとソフィが発売されたのです。
ソフィのブランドミッションは、「一生を通じて変化とともに生きる女性のポテンシャルを解き放ち続ける」というものです。これまでも時代に応じた女性の悩みに寄り添いながら、開発・発売してきました。
2019年には、「#NoBagForMe」プロジェクトを開始。薬局などで生理用品を購入するときに、黒い袋や紙袋などに入れられる経験をされたことがある人は多いと思うのですが、それは、「生理がまだタブー視されているからでは?」というところから、生理用品を購入する際の選択肢の多様化を目指すプロジェクトです。このときは、タンポンのパッケージ開発をして、コスメのように手に取りやすいものを提案したところ、SNSなどでも話題になり、多くの反響をいただきました。
2020年からは、男女ともに生理教育が必要ということで、「ソフィ みんなの生理研修」プログラム実施しています。初めは企業様限定だったのですが、口コミで広がって、今では教育団体や、警察署や消防署、建築関係の方々など、いろんな業種のみなさんからご応募いただいて、約400以上の企業・団体の方々に受けていただいています。
男女ともに受けていただくことを推奨しているのですが、生理については、小学校の義務教育で受けた内容をアップデートされていない方が多いのが現状です。そこで、男女ともに働きやすい社会を作るために、生理にまつわるさまざまな不調や悩みについて学べるプログラムを実施しています。
大島:実際に受講された方たちの感想などは聞いていますか?
藤巻さん:はい。具体的には、生理休暇を導入された企業様もいらっしゃいますし、トイレに生理用品を常備されるようになったところもあります。また、受講いただいた男性の管理職の方が、朝のミーティングで体調を聞くようになったとか、「心理的安全性が保たれて、職場も働きやすくなった」、「この研修を受けたことをパートナーと話し合うことで、お互いの理解を深め合えた」という声もいただいております。
高橋:すばらしい活動ですね。たしかに生理についてのアップデートは大切ですよね。女性でも生理が重い人と軽い人では、知識量がちがいますし、それが男性ならなおさらわからないことだと思います。
大島:FYTTEも今回のヘルスケアトレンドで、「みんなのフェムトレ(フェム・トレーニング)」というワードを掲げていますが、男女がお互いの性とそれに付随する体の仕組みや悩みを知り、理解しあえるようになることが理想的ですね。
藤巻さん:そうですね。こうしたプログラムは継続することが大切なので、これからも続けてまいります。
高橋:これからの活動なども楽しみにしています。本日はありがとうございました!
写真/鈴木謙介 文/奥沢ナツ