腸のスペシャリストであり医師の小林弘幸先生考案の『30秒腸活』。前回、毎朝習慣化することでお腹の状態をよくしていく「腸もみ呼吸法」と「全身のばし」をご紹介しました。基本となるこの2つの動き以外にも患者さんの症状に合わせておすすめしている運動があります。今回は書籍『腸の名医が30年かけてたどり着いたお腹が弱い人のための30秒腸活』から、コロコロ便やガス腹に即効的に効果のある運動をお伝えしていきます。
Contents 目次
コロコロ便対策には「お腹つかみ腰まわし」
硬いコロコロ便が出る「弛緩性便秘」の改善に有効な運動です。
(1)脚を肩幅に開き、両手で両わき腹をつかんで立ちます。
・右手で腰骨のすぐ上 (盲腸の位置)、左手でろっ骨のすぐ下(横行結腸と下行結腸の間の位置)をつかむこと。大腸の詰まりやすい部分に直接刺激を与えることができます。
・お尻に力を入れ、肛門はしっかりと締めましょう。
(2)わき腹をもみながら、腰を左右にまわします。
・わき腹をもみながら、腰を右まわりと左まわりに各8回ずつまわします。次に手の位置を入れ替えて(右手でろっ骨のすぐ下、左手で腰骨のすぐ上をつかむ)やってみましょう。わき腹をもみながら腰をまわすことで、ぜん動運動が促されます。もむときには、力を強く入れすぎないようにしましょう。
便意がすぐに現れる「腕振り上体ひねり」
今週一度も出なかったというときに効果的な腸まわりの血流を促す運動です。
(1)脚を肩幅に開き、背すじをのばして立ちます。
(2)上体を左にひねると同時に、右腕を前、左腕をうしろに振り上げます。腕には力を込めず、上体をひねる動きに合わせて自然に振り上げます。
体の真ん中に軸が通っているのをイメージしましょう。 手が、人や家具にぶつからないように注意してください。
(3)一度、1の姿勢に戻ります。
(4)上体を右にひねると同時に、左腕を前、右腕をうしろに振り上げます。
1〜4の動きを8回くり返します。
ガス腹、腹部膨満感を解消!「腸ひねり」
腸に溜まったガスを搾り出し、腸のぜん動運動を活発にします。
(1)脚を肩幅に開き、背すじをのばして立ち、右手で左手首をつかみます。
(2)息をゆっくり吐きながら、手首をつかんだまま上体を左にひねり、10 秒間キープします。やや痛いと感じるところまでひねりましょう。
(3)一度、1の姿勢に戻り、今度は左手で右手首をつかみます。次に、息をゆっくり吐きながら、手首をつかんだまま上体を右にひねり、 10秒間キープします。
1〜3の動きを6回くり返します。
腸のトラブルはさまざまな体の不調や病気をもたらします。アメリカで行われた調査では、便秘の人はそうでない人に比べて10年後の生存率は約12%、15年後の生存率は約20%低かったという結果も出ているそうです。食事に加え、外側からの腸活もとり入れていくとよいでしょう。
文/庄司真紀
参考書籍/『腸の名医が30年かけてたどり着いたお腹が弱い人のための30秒腸活』(アスコム)
著者/小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
順天堂大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手などのパフォーマンス向上指導に関わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した”腸のスペシャリスト”。『医者が考案した「長生きみそ汁」』 (アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。