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CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン

フェムゾーンのかゆみ、痛み、尿もれ…「GSMかも?」 若年層にも増えている婦人科系の病気。予防や治療法はあるの?

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GSMについての画面

一般社団法人日本フェムテック協会(以下、日本フェムテック協会)が、フェムテックやフェムテラシーをテーマにした「ランチタイムウェビナー」を毎週火曜12:00~12:30に定例開催中。今回は、そのアーカイブの中から、「今からできるフェムケア習慣~全世代の女性が知るべき保湿の大切さ~」をピックアップ。日本フェムテック協会の代表理事関口由紀さんを進行役に、アールヘルシリア取締役事業本部長の熊澤真由美さんに、「今からできるフェムケア習慣」について解説していただきました!

Contents 目次

今からできるフェムケア習慣「GSMとは?」

関口先生と熊澤さんの画面

関口先生:本日はアールヘルシリア取締役事業本部長の熊澤真由美さんをお迎えしております。「GSM」という女性の病気についての知識を世界に広げるため、一緒に治療を取り組んでいる仲間です。

GSMは「閉経関連尿路性器症候群」と言いますが、女性ホルモンの低下により陰部の粘膜が薄くなり、血の巡りが悪くなって、おりものも減っていく疾患です。萎縮性腟炎と言われていた病気を広げたような概念です。主な症状は、外陰部がかゆくなったり、痛くなったりします。頻尿や尿もれ、再発性膀胱炎もよく現れます。また、性交痛や性交後出血、性的欲の低下などがあります。

予防には、保湿や骨盤底筋のトレーニングが必要です。クリニックでは、女性ホルモン・男性ホルモンの局所投与や、レーザー治療を行います。女性ホルモンは50歳前後の女性はみんな減っていきますが、閉経前の女性でも減ることがあるんです。

たとえば、低用量ピルを飲んでいると、一部の人がGSMになることもあります。あとは、妊娠や出産でも一時起こることもありますし、神経性食思不振症などで生理が止まってしまい、そのまま1年~2年経過していると起こりやすい状態です。

ここからは、熊澤さんの行っていることを含めて、お話をお聞きしたいと思います。

フェムゾーンの悩みに特化した「腟レーザー」に注目!

熊澤さんの自己紹介画面

熊澤さん:GSMとフェムケアに関してのお話をさせていただきたいと思います。その前に私についてお話しさせていただきます。

私は広告代理店で制作のお仕事をしていました。いろいろな企業やメーカーさんと仕事をすることもよくあって、たまたまのご縁で外資系の医療機器メーカーに転職しました。そこでは、美容医療のレーザーや外科用のレーザー(シミやシワとり、脱毛)などのレーザー治療機器を医療機関に販売する仕事を約28年間していました。その中で、さまざまな診療科の先生たちとのご縁をいただいて、医療業界で働いていました。

2014年に、腟レーザーが欧米から日本に入ってきました。欧米では大ブームになっているということで、日本でも販売を開始。これをきっかけに、婦人科領域におけるさまざまな女性特有の悩みをたくさん見聞してきました。

スタートしてみると、フェムゾーンに関しての悩みが非常に多く、「腟レーザーで人生が変わりました」ぐらい泣いて喜ぶ人がたくさんいました。元々GSMという病気のためのレーザー機器でもありましたが、こういった悩みを解決して、女性たちがもっと楽しく快適な日常を送れるようにサポートをするのが自分の使命だと感じるようになりました。

そして2020年にアールヘルシリアという会社を立ち上げて、フェムゾーンの保湿ケア商品をローンチしてみなさんにお届けしています。
現在は、医療機関向けのGSMセミナーを開催しながら、啓発活動に奮闘しています。

「GSM」の主な症状3つ、原因は?

GSMについての画面

熊澤さん:GSMとは、日本語で略すと「閉経関連尿路性器症候群」と言います。
英語で「Genitourinary Syndrome of Menopause」と言い、その頭文字をとってGSMと言われています。

閉経前後からの女性ホルモンの低下により起こる腟外陰部の萎縮、変化及びそれに伴う不快な身体症状、症候群という疾患になります。
簡単にいうと、女性ホルモンが急激に減ってくる閉経前後から陰部がイガイガする、尿もれしやすくなる、膀胱炎になりやすくなる、性交痛が出てくるなどフェムゾーン周りのトラブルのことを言います。閉経前後以降の女性の大体半分(50歳前、2人に1人の割合)に発症すると言われています。

具体的な症状は、次の3つに分類されます。
1.外陰部の違和感、痛み・かゆみ。
2.性交痛などのセックストラブル。
3.頻尿や尿もれをくり返す膀胱炎などの尿トラブルです。
これらが、単体で発生する人もいますけど、ミックスして出てくるのがGSMの特徴になります。慢性かつ進行性と言われていて、ゆっくりゆっくり慢性化して、深刻な状態になっていくので、ひどくなるまで気づかないことが多いです。

GSMなんで起こるの?スライド

GSMってなんで起こるの? ということなんですけど、女性ホルモンの低下によって起こる病気です。

まず、ひとつ目に、血流が悪くなっていくことにより栄養状態やフェムゾーンの保水レベルが非常に低下していきます。そうすると腟内の分泌物が減って、乾いてくるような状況になります。2つ目に、フェムゾーン周りの皮ふや粘膜が薄くなり、弾力も落ちていきます。たとえば、下着やセックスのときの摩擦などで、非常に外傷を受けやすくなるのが特徴です。3つ目に、腟内は弱酸性で乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)と呼ばれる乳酸菌が腟内の状態をコントロールしていますが、その乳酸桿菌が減ってくることによって、弱酸性からアルカリ性にかたむいてきます。そうなると、腟内のバランスが崩れて、細菌が増えやすい環境になります。

結局、フェムゾーンも皮ふと粘膜で構成されているので、顔と一緒なんです。加齢によって、顔もシワやシミ、乾燥などが起こりますが、フェムゾーンも同じように変化してネガティブな症状が出てくるということです。

「GSM」若年層には関係ない? 予防や治療について

若年層はGSM関係ない?のスライド

熊澤さん:ここまでGSMが起こりやすい年代について、閉経前後より上の女性ということでお話ししていましたが、女性ホルモンの低下が原因で起こるので、若年層の人でも起こるんです。

たとえば、乳がんや子宮がん、女性特有のがんの治療中、もしくは治療後の人です。
この人たちは、がんが大きくならないために女性ホルモンを止める治療をされているのでどうしても女性ホルモンの低下現象が起こります。なので、GSMのような症状が起こりやすいといわれています。次に、過度なダイエットによる女性ホルモンのバランスの乱れも要因です。そのほか、ストレスや授乳も原因になります。

あと意外ですが、ピルの長期使用も女性ホルモンをコントロールしているという意味では当てはまります。生理のPMSコントロールのためにピルを服用していることはいいのですが、ピルの長期使用によってGSMのような症状がでてくる人も中にはいるようです。

では、どうしたらいいのか? まずは予防です。最近はいい治療がたくさん出てきていますので、その知識を皆さんにつけていただきたいと思います。
まず最初に、セルフケアを行いましょう。フェムゾーンを洗うときは、フェムゾーン専用の洗浄剤でやさしく手で洗ってください。洗ったあとはジェルやオイルでしっかりと保湿をします。性交時のときはたっぷりの潤滑剤を使いましょう。また、腟の入り口とフェムゾーン全体をマッサージしてやわらかくしておくこともとても大事です。

最後に生活習慣の改善です。まず、おりものシートはなるべく使わない。下着も締めつけるようなものは使わない。あとは、ウォシュレットを使用すると洗ったあと乾燥しやすいので、なるべく使わない。以上のようなことを日常生活の中で改善していけるとGSMの症状を予防することができます。それでも症状に悩む場合は、ひとりで悩まず、医療機関に行きましょう。

医療機関で行う治療としては、局所のエストロゲン投与やホルモン剤の治療、骨盤底筋トレーニング、腟デバイスによる治療などいろいろあります。

今からできるフェムケア習慣」のまとめ

まとめのスライド

熊澤さん:快適でずっと楽しい毎日を送るために、まずは自分の体に意識を向けて、女性ホルモンの知識、体、女性ホルモンによって変わる体の変化について学びましょう。そして、正しいフェムゾーンケアの方法を学んでいただき、保湿ケアを毎日の習慣にすることです。

GSM世代になってからの習慣づけはなかなか難しいので、若いときからフェムケアを習慣にしておくと予防につながると思っています。

そしてGSMの知識が豊富な婦人科や女性泌尿器科医、内科医など、かかりつけの先生を見つけて、何か困ったらすぐに相談できるようにするのもとても大事だと思っています。

関口先生:ありがとうございました。大変よくわかりました。
最近では、テストステロン(男性ホルモン)が重要ということがわかってきています。男性ホルモンのレセプターの遺伝子の異常がある人が、若いときからGSMになりやすいようです。

ピルを飲んでいて、一部の人がGSMになってしまうのはテストステロンの低下が原因の可能性があります。本来ピルで女性ホルモンを抑えただけなら、テストステロンは抑えられないはずですが、テストステロンも抑えられてしまうような人が一部いる、ということなんですよね。

ですから、生活習慣の中では、運動をすると筋肉量が増えて、体の中のテストステロンの保持力が上がるので、50歳過ぎたら運動習慣は非常に大事だと思います。

熊澤さん:そうですね! 中高年になると運動習慣が減ってしまいますよね。

関口先生:あと保湿ですよね。顔も体もしっかり保湿するのに、フェムゾーンはまったく何もしないという人はまだまだ多いので、保湿と骨盤トレーニングなどの運動は、若いときから習慣化してほしいですね。

熊澤さん:そうですよね。習慣って、当たり前のようにやることだから若いときからやっていたらGSM世代になったら、予防はばっちりですね。あとは知識があれば、やるようになるし、予防への意識も高まるのかな、とは思います。

関口先生:そうそう。若いときから観察して、体をさわって状態をチェックしましょう。また、GSMに関してはまだ広く言われていないけれど、ピルの話は質問が多いので、GSMはこれからの病気という感じですね。

熊澤さん:そうですね、まず知っていただくことですよね。「もしかしたら、私って…そうかもね」って気づくことが第一歩かなと思います。最近は、雑誌などでもGSMをテーマにした特集が組まれているので、積極的にとり入れて、自分の体は自分で守ること。フェムゾーンがいつも健康であることはとても大事なことなので、私も力を入れてみなさんにお話していきたいなと思っています。

※本記事の内容は、2023年5月に配信された内容です。最新情報は公式サイトよりご確認お願いします。

【登壇者】※2023年5月時点
熊澤 真由美 株式会社アールヘルシリア代表取締役本部長
関口由紀 日本フェムテック協会 代表理事 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長 女性泌尿器科医師

【クレジット/協力】
一般社団法人 日本フェムテック協会 スペシャルコンテンツ
https://j-femtech.com/special_contents/

5万人が受講! 5分で無料。フェムテック認定資格3級はこちらから
>>>https://j-femtech.com/femcare-l/certificate/l3/FYTTE

文/FYTTE編集部

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