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腸の声を聞いて、整えよう! 腸をリセットする“グルテンコントロール”生活で、体も心も、もっと軽やかに♪

いろいろな腸活を試しているのに、なかなかお腹の調子が整わない人、余計にお腹が張ってしまうという人、いませんか? じつはそれ、腸の“疲れ”が原因かも。腸活食材やサプリメントを試すその前にやるべきは、まずは腸の声を聞いて状態を知ること、そして「腸をリセット」すること、と語るのは胃腸の専門家である福島正嗣先生。腸活の効果が出ない理由や、日々の食事はどのようにコントロールすればいいか教えていただきました。
Contents 目次
食後の膨満感、喉の詰まり、胃もたれ…。その原因は胃ではなく腸の疲れにある!
\腸の声を聞いて、疲れのサインを見逃さない/
次のような自覚症状にひとつでも当てはまる場合は、腸が疲れている可能性大。気づいたその日から、毎日の食事を見直してみましょう。
☐食後に、膨満感がある
☐ゲップがよく出る
☐食欲がなくなった
☐喉に詰まったような感覚がある
☐お腹が張って苦しい
☐胃もたれしやすい
□便秘や下痢をしがち
□おならが多い、臭いが強い
□胃液が逆流してくることがある
お腹が張る、喉がつかえる、緊張するとお腹がグルグルして痛い、夜中に胃酸が上がってくるなど、消化機能の不調に悩んでいる人は多く、なかには病院で診察を受けても、はっきりした原因がわからずじまいだった、というお悩みも——。
「これらの不調の原因は、じつは胃やメンタルの不調から来るものではなく、“腸”が疲れていることで引き起こされているのです」(医療法人社団正令会みらい胃・大腸内視鏡クリニック院長 福島正嗣先生)
「当院の患者さんの中にも、食後の膨満感やゲップ、喉の詰まり、胃もたれなどの症状を訴える方は多いですが、検査をしても“胃カメラでは異常は見つからない”ということが少なくありません。このような場合、じつは問題が起きているのは胃ではなく、小腸が炎症を起こしてむくんでいることが原因です。小腸がむくんでいると胃から運ばれてきた食べ物が通過しにくくなるため、その上流にある胃や喉に逆流したり、つかえたりして不快感が表れるのです」
そして、小腸に炎症を引き起こすその大きな原因は、小麦に含まれる“グルテン”だと、福島先生は警鐘を鳴らします。
「グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質の一種で、小麦粉に水を加えて練ることで生成される複合体のこと。パンやパスタ、うどんなどのもちもち食感のもとになっているため、小麦食品のおいしさはこのもちもちに詰まっているのですが、じつはとても消化されにくい成分。グルテンが胃で消化されないまま小腸に到達して粘膜に絡みつき、消化・吸収を妨害すると、腹痛や体の不調の原因になります」
とくにパンやうどんは強力粉も使うため、グルテンが多く含まれる食品。いくらおいしくても、食べ過ぎてしまうと体に負担がかかってしまうそう。
「そもそも現代人は食べ過ぎの傾向です。食糧が貴重だった時代と比べて、いまは飽食の時代。仕事をしているとどうしても決められた時間に食事をとらないといけないことも多いですが、本来食事はお腹が減ってから食べるもの。もとより女性は消化力が弱く、さらに年齢と共に消化力も落ちるため、ある程度の年齢に達すれば、それほどたくさん食べる必要もありません」
昼休みだから…と、空腹でもないのに機械的に食事をしているだけでなく、毎日の忙しさから、手軽にとれるパンやパスタを選んでしまっていることもありますよね。そう考えると、腸がオーバーワークになってしまうのも当然のことなのかもしれません。
腸は「足す」より「引く」! まずはグルテンを控えることからはじめよう
お腹や胃腸の調子がイマイチだな…と思ったときは、乳酸菌をとったり発酵食品を食べたりと、積極的に腸活を実践する人も多いですよね。それなのに、「なぜか症状が改善しない」「スッキリしない」という声も耳にします。腸にいいものばかりをとっているはずなのに、一体なぜなのでしょうか。
「腸の調子がよくない場合、体に何を“足せばいいか”という考え方より、“何を引くか”のほうが重要です。腸内細菌は、腸の“成績表”のようなもの。その土台となる小腸が荒れている状態では、いくら善玉菌をとり込んでもうまく働いてくれません。腸内環境を整えるのなら、まずは一度“腸をリセット”することが大切です。そのためには、やはり腸を休ませることが先決。私はその方法として、 “グルテンコントロール”をおすすめしています」
“グルテンコントロール”とは、グルテンを含む小麦製品(パンやパスタ)を、毎日の食事から少しずつ減らしてみる食事法のこと。たとえば毎日、朝食にパンを食べている人なら、パンの量を半分にしてみるなど、「いま食べている分から量を減らすところ」からはじめるのがコツだと、福島先生はアドバイスします。
「小麦製品を一気に断つのは難しいので、まずは2週間、摂取量を“いままでの半分”にしてみましょう。小腸の粘膜は約2週間で再生するため、この間に症状が改善されるなどの変化があれば、それは腸が整ってきたサインと考えられます。ただし注意したいのは、小麦製品を主食としてとっていた場合、その減らした分を、たんぱく質と脂質を含む食品で補うこと。脂質と聞くとカロリーを気にする人もいますが、じつは膵液や胆汁を出して腸内をクリーンに保ってくれる、体にとってなくてはならない存在なので、油もしっかりとりましょう。不足しがちなミネラルの摂取も意識してみてください」
・パンを食べる場合、パンの量を半分にしてバターなどで脂質をプラス。おかずは卵やベーコンなどたんぱく質と脂質がとれるもの。副菜はわかめやひじきなどの海藻サラダやスープでミネラル補給を。
・空腹でなければ、無理に食べず、“お腹の声”を大切にする
・主食を減らした分は、おかずの肉や魚、卵を必ず食べる
・消化しやすい調理方法(蒸し料理や低温調理)を選ぶ
【こんな食べ方はNG!】
・炭水化物の重ね食い
ラーメン+ライス、うどん+おにぎり、パスタ+ピザ、焼きそばパンなど
・炭水化物のみを食べる
素うどん、具なしそうめん、ペペロンチーノ、食パンのみなど
そして、腸がリセットされた後に福島先生がおすすめするのが、腸をコーティングしてくれる「ゼラチン入りコーヒー」。粉ゼラチンなどを温かいコーヒーに溶かすだけなので、目覚めの一杯や休憩中のドリンクとして、気軽にとれるのがいいですね。
麺もパンもあきらめたくない! おいしく“グルテンコントロール”するには
ここまで、「グルテンは控えたほうがいい」と理解しつつも、やはり「パンもパスタも大好き」「仕事の付き合いで外食が多い」という人も多いですよね。
「現代の食生活から小麦を完全に抜くのは至難の業です。そこで、麺やパンなど小麦製品を食べたいときには、豆粉や米粉できた代替品を活用するのもひとつの手です。とくに豆粉はたんぱく質や食物繊維が豊富なので、栄養もとれて一石二鳥。ほかにも、おからや豆腐といった大豆製品をとり入れてみるのもいいでしょう。また外食が多い人は、炭水化物よりもなるべくおかず中心に、コンビニなどで購入する場合も、パンやパスタなど単品ではなく、主菜や副菜など炭水化物以外の商品を組み合わせて選ぶように心がけてみましょう。また、短時間の日光浴やストレッチなどの軽い運動も、リセット腸活の効果を高めてくれるので習慣にしてみてください」
これまでにいろいろな腸活を試してみてもあまり効果を感じられなかった人は、グルテンコントロールで、“腸を休ませる”という発想に立ち返ってみるといいかもしれません。ただし、小麦製品を減らした結果、お腹が減ってストレスが溜まったり、栄養不足になったりしては本末転倒。食事量は確保し、栄養補充も忘れずにトライしてくださいね。今日からお腹の声に耳を傾けて、腸がよろこぶ食習慣にしていきましょう!
イラスト/本田佳世
取材・文/番匠 都