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「休んでいるのに疲れがとれない…」今すぐ試したい、疲れを見える化する“究極の休息術”とは

「なんだか最近ずっと疲れている…」そんな感覚に心当たりはありませんか? 記録的な猛暑で“夏疲れ”を感じる人も多い中、アスコム主催のメディア勉強会が開催されました。登壇したのは、25年以上にわたり脳と休息に向き合い、延べ50万人以上を診てきた脳神経外科医の菅原道仁先生。聞き手に編集者の柿内尚文さんを迎え、菅原先生の著書『休息する技術』をベースに「なぜ私たちは疲れるのか?」「効果的な休み方とは?」について語られました!
Contents 目次
疲れの正体は「体」だけじゃない、3つの疲労タイプ
脳神経外科医の菅原先生によると、疲れには大きく3つのタイプがあります。
1.体の疲れ(肉体疲労)
日常の活動や運動で感じる、いちばんわかりやすい疲れ。
2.心の疲れ(メンタル疲労)
職場や家庭での人間関係、感情のストレスからくる疲れ。
3.自律神経の疲れ
気温差や不規則な生活、現代社会の情報過多で乱れることで生じる“見えにくい疲れ”。
休日にしっかり休んだはずなのに疲れがとれない、月曜からだるさが続く…。そんな経験は、「心」や「脳」の疲れが十分に回復していないサインかもしれません。
そんな、「疲れをとりたいけれど、何から始めていいかわからない」という人に菅原先生がすすめるのは、“疲れの見える化”です。
「たとえば、“今日は嫌な気持ちになった”“ぐったりして夕食を作る気力がなかった”など、小さなメモをとるだけでもいいです。こうしたことを日々書き留めておくだけで、自分の疲れの傾向が見えてきます。すると、必要な休息法が明確になり、休んだつもりなのに疲れがとれていないという失敗を防ぐことができますよ」(菅原先生)
パフォーマンスを上げる「アクティブレスト」という考え方
日本では「休む=サボり」というイメージがまだまだありますが、世界のアスリートや経営者は「休息も戦略」として積極的にとり入れています。そこで菅原先生が提唱するのが「アクティブレスト(積極的休息)」という考え方。
たとえば、緑のある公園を散歩して自然を感じる、軽い運動をする(ウォーキングや子どもと遊ぶのも◎)、日中に体を動かして夜の睡眠の質を上げる、など。
「自然にふれる」「五感を使う」「外の空気を吸う」といったちょっとした行動が、脳や心のリセットに効果的なのだそうです!
睡眠こそ最高の休息。質を上げる工夫とは
また、休息の基本として欠かせないのが「睡眠」です。寝る直前までスマホをさわっていたり、ベッドでダラダラ動画を見たりしていませんか? じつはそれが、疲れを翌日に持ち越してしまう原因になるのだそう…。
菅原先生によれば、次のようなポイントを意識することで睡眠の質が大きく改善されるとのこと。
・枕は低めに(バスタオルを丸めて代用してもOK)
・寝る前にスマホを持たない
・就寝前はぬるめのお風呂に浸かる
・遮光カーテンより「自然光で目覚める」仕組みを作る
さらに、睡眠時間を先にスケジュールに入れる“スリープ・ファースト”の発想も大切とのことで、忙しい人こそ、まずは“眠る時間を守る”ことから始めてみるのがいいかもしれませんね!
食事も「回復の技術」の一部! 朝を重視して夜は控えめに
さらに、疲れをリセットするには「食事」も大切です。菅原先生が強調するのは「朝はしっかり、夜は控えめ」というルールです。
菅原先生によれば、朝にしっかり食べることで脳と体が目覚め、エネルギー効率がよくなるとのこと。一方で、夜は活動量が減り、食べすぎると睡眠の質を落とす要因になるため注意しましょう!
・ビタミンB1を含む玄米
・マグネシウム豊富な野菜(ごぼう、ほうれん草など)
・ナッツや豆類などの軽食
また、ついつい夜に間食をしたくなったときは、ポテトチップスや揚げものよりもナッツなどを選ぶなど、ちょっとした工夫で翌朝の体調が変わってきますよ♪
「ため息」や「グチ」もじょうずに外へ出すことが大切
休息といえば「睡眠」や「食事」の工夫が思い浮かびますが、じつは心の疲れをどうリリースするか、というのも大切なポイントです。
「ため息をついてしまう」「ついグチをこぼしてしまう」——こうした行為は悪いことではなく、ストレスを外に出すための自然な仕組みで、心理学では「カタルシス効果」と呼ばれています。
大切なのは、自分を責めるのではなく、安心できる相手や場所を選んでじょうずに吐き出すこと。そうすることで、心の重荷を軽くすることができます。
「あなたが理想の人生を歩むために、まず“休む技術”を身につけてください」と、菅原先生は語ります。
まずは今日からスケジュールを“睡眠時間から”入れてみるのはいかがでしょうか? それが、自分を大切にする第一歩になるかもしれません。

菅原道仁(すがわら・みちひと)
現役脳神経外科医。1970年生まれ。杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞などの緊急脳疾患を専門として国立国際医療研究センターに勤務。2000年、救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、脳神経外科専門の八王子市・北原国際病院に勤務し、緊急対応に明け暮れる。2015年6月に菅原脳神経外科クリニック、2019年10月に菅原クリニック 東京脳ドックを開院。その診療経験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行う。脳のしくみについてのわかりやすい解説は好評で、テレビ出演多数。著書に『すぐやる脳』『あの人を脳から消す技術』(サンマーク出版)などがある。
取材・文/FYTTE編集部