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“医者いらず”は本当? 発酵性食物繊維たっぷりのりんごで叶う、健康効果&おいしさのヒミツに迫る!
「いいりんごの日」(11月5日)に合わせて開催された、青森県りんご対策協議会によるメディアセミナー&試食会に編集部員が参加してきました! 国内生産量の約6割を占める青森りんごの魅力を、もっと多くの人に届けたいという思いから開催された今回のイベント。会場では、腸内細菌研究の第一人者である内藤裕二先生、内科医の工藤あき先生、りんごマニアのはたんきょーさん(※ビデオ参加)が登壇し、りんごの健康効果やおいしい食べ方、選び方のポイントを紹介しました。さっそくイベントの様子をレポートします!
Contents 目次
青森りんごの歴史

青森りんごの歴史は長く、2025年は青森の大地にりんごの苗木が植えられてからちょうど150周年の記念すべき年なんです。明治時代に3本の苗木が県内に配られたことが始まりなのだそう。
“1日1個のりんごは医者を遠ざける”という西洋の言葉もあるほど、昔から健康イメージの強いくだものとして広くしられているりんご。近年注目されている“発酵性食物繊維”がじつはとても豊富で、腸内環境の改善や健康を意識している人にはもってこいなんです。
腸がよろこぶ! 「発酵性食物繊維」とりんごのパワー

京都府立医科大学 教授・内藤裕二先生からは、最近とくに注目されている「健康な老化(ヘルシーエイジング」や「発酵性食物繊維」の視点から、旬のりんごが持つ健康価値について紹介がありました。
内藤先生がまずとり上げたのは、発酵性食物繊維の働きについて。
食物繊維には、水に溶ける・溶けないといった種類がありますが、そのなかでも「発酵性食物繊維」は腸内細菌のエサとなり、“短鎖脂肪酸”をつくり出すのが特徴です。短鎖脂肪酸は腸内環境を整えるだけでなく、体全体の健康にも関わる成分として、研究が進んでいます。
そして、りんごに豊富に含まれる水溶性食物繊維「ペクチン」は、この発酵性食物繊維の代表格。
ペクチンが腸内細菌によって発酵されることで短鎖脂肪酸が生まれ、大腸のエネルギー源になったり、腸のバリア機能を維持、炎症を抑える働きまであるといいます。
さらに短鎖脂肪酸の作用は腸だけにとどまらず、免疫機能の調整や糖尿病予防、肥満予防など、全身の健康にも関わる可能性があるなど、まさに“腸からめぐる健康力”を持つ成分!

加えて、りんごには食物繊維だけでなくカリウムが多く含まれているため、カリウムがナトリウムの排出をサポートし、血圧の上昇を抑える働きが期待できます。まさに塩分をとりすぎやすい日本人にとってはうれしい栄養素といえます。
工藤あきさんがすすめる“ドクターズフルーツ”としてのりんご

内科医で消化器専門医の工藤あき先生からは、「ドクターズフルーツ」と呼ばれるりんごの健康パワーについてお話がありました。
りんごには、食物繊維・ビタミン・ミネラルといった日々の生活で意識したい栄養素がバランスよく含まれているのが魅力。工藤先生は、とくにプロシアニジンというりんごに含まれるポリフェノールの抗酸化作用に注目し、アンチエイジングや病気予防(動脈硬化、糖尿病予防など)、紫外線対策にも役立つ可能性があると紹介しました。
また、りんごは「皮ごと食べる」ことでビタミンEや食物繊維の摂取量を増やせるほか、朝食にりんごを食べることで、その日の血糖値の急上昇を抑えやすくなるという点も教えてくれました。
手軽に食べられて、生活にスッととり入れられるりんご。工藤先生のお話からも、日々の食習慣をムリなく整えたい人にぴったりのフルーツであることが伝わってきました! 寒い季節は、「ホットアップルジンジャー」などドリンクとしていただくのもおすすめだそうです。
はたんきょーさんが教える「おいしいりんごの選び方」
くだもの兼りんごマニアのたんきょーさんからは、りんごのおいしさを見極めるためのコツや、長く楽しむための保存方法が紹介されました。
まず、おいしいりんごを選ぶポイントとして挙げられたのが「甘さ」「密(みつ)」「かたさ」「変色しにくさ」の4つ。

甘さは収穫の時期が遅いほど強くなります。品種でいうと、シナノスイートや王林など。
意外なのはりんごの蜜はそれ自体が甘いものではないということです。ではどうして蜜の多いりんごがおいしいのかというと、蜜には揮発性の香り成分が含まれていることと、ソルビトールという成分が食べたときに清涼感を与えることで甘味をサポートしているからなのだとか!
りんごの“かたさ”については、シャキッとした食感を好む人は、表面のハリを見て色鮮やかなものを選ぶこと、果実の裏側の色がクリーム色のもの、ほかと比べて手に持ったときの重さがずっしりとしているものがおいしいりんごを選ぶためのヒントになるとのこと。
また、りんごは日持ちするので常温で保存するという人も多いですが、あたたかい場所だとりんごの細胞壁を分解するエチレンという成分が生成されて果肉がやわらかくなってしまいます。シャキッとした食感でいただくには、なるべく冷蔵庫の冷蔵室・野菜室で保存するのがおすすめです。
また、はたんきょーさんからはカットしたりんごが変色しにくくなるアイデアとして、塩水ではなくビタミンC(アスコルビン酸)をまぶすことや、繊維の向きに沿って手で割ることで酸化がゆっくり進むといった、家庭でもすぐにとり入れられるテクニックも教えてくれました!
りんごは、ただおいしいだけではなく、毎日の健康づくりにうれしいパワーを秘めたくだもの! 選び方のポイントや変色を防ぐコツなど、毎日の食卓で使える実践的なヒントをぜひ参考にしてみてくださいね♪
取材・文/FYTTE編集部



