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進行すると全身病やがんになる!? 歯科医師で歯学博士に聞いた「歯周病を遠ざけて、免疫力を上げる生活習慣」パート1

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免疫力アップのイメージ

日本人の成人約8割が歯周病、またはその予備軍であるといわれている口腔内の病気。進行すると全身病、がんの発症リスクを高めてしまう可能性も…。前回は「歯周病の根本的な原因は食事だった」をお届けしました。今回は「歯周病を遠ざけて、免疫力を上げる、生活習慣9つ」について歯科医師で歯学博士の石川佳和先生に伺いました。数回に分けてお届けします。

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

歯周病を遠ざけて、免疫力を上げる、生活習慣パート1

歯周病を予防し、免疫力を高める具体的な食事や生活習慣などについて、石川先生に教えてもらいました。

「食べるときは50回咀嚼」

咀嚼のイメージ

咀嚼と歯周病の関係性。よくかむこと、唾液の効果について教えてください。

「唾液には、消化酵素のほか、解毒効果、抗菌作用、口内を清潔に保つ自浄作用、歯の再石灰化を促すなど、口の中の環境を整えることで全身の免疫力にも関わる成分が含まれています。よくかむことで唾液が大量に分泌され、“消化を助ける”、“虫歯・歯周病を予防する”、“脳の機能を高める”といった健康効果が期待できます」(石川先生、以下同略)

なぜ、かむことや唾液の分泌が歯周病によいのでしょうか? 咀嚼回数についても具体的に教えてください。

「唾液には自浄作用や抗菌作用などがあるため、よくかむことで唾液の分泌量が増加して歯周病を抑制する効果があります。私の研究結果では、重度の歯周病患者さんは、唾液の分泌が少ないという結果が出ています。

よくかむことで唾液が分泌され、唾液が出ることで脳に指令が出て胃酸を分泌する準備をします。そこで胃酸の分泌が増加することで消化が促進され、腸での吸収が容易になります。
咀嚼回数の目安は、50回です。
早食いの人の咀嚼回数は、平均3~6回、普通の人は、8~10回です。
これでは、ほとんど唾液と混ざっていません。咀嚼回数を50回と規定することで、平均30回はかんでいます。よくかむことで満腹中枢が刺激されやすくなり、食べ過ぎの防止になります。50回咀嚼が難しい場合は、最初は30回咀嚼を意識して行ってみてください」

「免疫力を上げるプレートご飯と食事の順番」

プレートご飯のイメージ

食事法(食事のとり方)と先生が実践している食習慣を教えてください

「私がおすすめしているのはプレートご飯です。主食、主菜、副菜、汁ものは必ず準備します。
主食は、炭水化物ですが、小麦製品はとらず、白米に22雑穀米をブレンドします。
主菜は、たんぱく質ですが、お魚を中心にして、時々お肉を選択します。
副菜は、多種類の野菜中心で果物を添えます。
汁ものは、みそ汁中心で、野菜をとりやすいように具沢山の温野菜にしています。
食事の1回量を考えて、主食、主菜、副菜をワンプレートに盛りつけます。

食事の順番は、副菜の野菜を最初に50回咀嚼を目安に食べます。汁ものが具沢山の野菜の場合も最初にいただきます。次にたんぱく質の主菜をいただき、最後に主食の炭水化物をいただきます。
このとき、お腹がいっぱいだと感じたら、そこで食事を終了します。このようにすることで、食べ過ぎを防止することになり、肥満防止効果があり、血糖値をゆっくりあげるので、グルコーススパイクを防止することにつながり糖尿病の予防にもなります。

よくかんで胃酸で十分消化されると、腸での吸収がゆるやかになるので腸内環境を乱すことがなくなります。良好な腸内環境は、免疫力を正常に導くことで、歯周病や全身病、がんの予防につながります」

とてもバランスがいいですね! なぜプレートご飯がいいのでしょうか。

「プレートご飯にすることで、1回の食事量がひと目で分かり、食べ過ぎを防止できます。食べ過ぎを防止することで、胃腸に対する負担が軽減されます。そのため、腸内環境が健全に保つことができます」

「免疫力を上げる食べものと病気になりにくい体を作る食事法」

免疫を上げる食べもの、避ける食べものイメージ

続いて、免疫力を上げる食べものと病気を遠ざける食事を教えてください。

免疫力を上げる食べものは、たんぱく質、ビタミン(A、C、D、E)、ミネラル(亜鉛、鉄など)、発酵食品、不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)、海藻、きのこ、こんにゃくなどです。これらをバランスよくとることが重要です。
具体的には、脂肪の少ない肉、魚、卵、大豆製品などの良質なたんぱく質、緑黄色野菜や果物、青魚、発酵食品(植物性ヨーグルト、みそ、納豆など)を毎日の食事にとり入れることが必要です。
注意点として、酸化(サビ)、糖化(コゲ)、カビ(カンジダ)の原因になる、小麦、砂糖、牛乳、植物性油脂をなるべく避けることです。

病気を遠ざける食事法は、まずは野菜の摂取。
野菜は、ベータカロテン、ビタミン類の摂取が不可欠です。色の濃い野菜は緑黄色野菜と言われ、1日に120gほどの摂取が推奨されています。サラダやジュースもおすすめですが、炒めたり煮たりすることでかさが減り、たくさんの野菜を食べることができます。なかには加熱によって栄養素が損なわれてしまうものもあるため、その場合は蒸し調理で栄養素の損失を防ぐことができます。また、水溶性のビタミンは、水に溶けやすいので、スープやみそ汁の具として使うと効果的にとることができます。

野菜摂取のポイントは、バランスよく食べること。
特定の野菜にかたよらず、さまざまな野菜を食べることが大切です。生活習慣病を予防するには、1日350g以上の野菜摂取が推奨されています。 野菜は抗酸化作用と免疫力を向上させ、がんなどの現代病予防に効果的です。体の調子を整えるものは野菜などに多く含まれており、それぞれの栄養素は役割や組み合わせによって消化吸収が異なります。栄養素を効果的に吸収するためにも野菜の多い食事は必須です。

また、ビタミンCは、病原菌の殺菌しウイルスを不活性化します。そして免疫力をあげ、コラーゲンを生成するので、歯周病の原因菌を殺菌するとともに、免疫力をあげて歯周病にかかりにくくします。そのうえ、強くてしなやかなコラーゲンを作るので歯周病にかかりづらい丈夫な歯肉を作ることができます。

果物では、強い抗酸化作用を持つりんごがおすすめです。老化を防いだりコレステロール値を下げたりする働きがあります。また、腸内の善玉菌を増やす整腸作用があり、よぶんな脂肪や毒素を排出してくれます。りんごは健康維持のみならず、ポリフェノールとカリウムが多いので美肌にも効果があるフルーツです。食物繊維やビタミンCは皮に多く含まれているので、十分に洗って皮ごと食べましょう!

あとは、加工食品をなるべく避けることです。
市販のソーセージをはじめとした加工肉食品は、高塩分で高脂肪、食品添加物として発色剤・酸化防止効果(亜硝酸塩)、増量剤(リン酸塩)、酸化防止剤(L-アスコルビン酸)、着色剤(コチニコール色素)、保存剤(ソルビン酸)、化学調味料(アミノ酸など)などの発がん性があるものや多くの添加物を含む食品です。これらの加工食品を頻繁にとっていると、10年後には、歯周病だけでなく全身病やがんなどの病気の発症リスクを高めてしまいます。

どうしてもとりたいときは、添加物や発色剤不使用のオーガニックの加工肉食品(ハム、ソーセージ)がおすすめです」

ありがとうございました!
歯周病が咀嚼や食事とも関係があることが意外でしたが、よく理解できました。また、食事の内容やとり方、何を食べるかで自分の体が作られているのだな、と改めて実感しました。
歯周病がある人、口腔内の環境が気になる人、免疫力や腸内環境にも役立つ方法なのでぜひ参考にして、生活習慣を改善していきましょう。

次回も、「自宅でできる改善法9つ」パート2についてお届けします。

 

著書:『歯周病ががんの原因だった 』歯ぐきの腫れに注意! 歯周病菌が全身に病気をつくる仕組みと自宅でできる回復法 /ユサブル

■取材協力/監修者:石川佳和(いしかわ よしかず)先生
歯科医師、歯学博士、日本補綴歯科学会専門医・指導医 鶴見大学歯学部卒業、同大学大学院修了 鶴見大学歯学部助手(現:助教) 医療法人愛和会桜川歯科医院理事長
Manaka Dental Clinic副医院長
鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座非常勤講師 すべての人があたり前に口から食事ができ健康で楽しく長生きできる『健康寿命130歳プロジェクト』主催
1)インプラントと同程度にかめて美しい入れ歯「ミリングアタッチメント金属床義歯」、
2)分子栄養学と血液検査を応用した再発の少ない歯周病治療、歯周統合医療を開発 国際学会でアワード受賞、鶴見大学同窓会論文奨励賞受賞など多くの賞受賞
TOKYO MXTV ドクターズアイほかメディア出演 医科と歯科が協力して治療を行う本来の医科歯科連携を模索して活動中 

取材・文/FYTTE編集部

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