例年にない猛暑が続くこの夏。「暑くてよく眠れない」「体がだるくてやる気が出ない」と、夏バテ気味の方も多いのではないでしょうか? そこで、ナイトケアアドバイザーの小林麻利子さんに教えていただいたのが、科学データに裏づけされた「暑い夜でもぐっすり眠る方法」。確実な方法をしっかり実践して、元気の源である質の高い睡眠を手に入れましょう。
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真夏でもシャワーよりお風呂!
深い眠りにつくために一番大切なのは何だと思いますか? 小林麻利子さんによれば、それは、体温の調節なのだそう。「私たちの体は、体温が上がれば下げようと、体温が下がれば上げようと働きます。眠るときは、体温を下げる方向に働いてほしいので、眠る1時間ほど前に、入浴で体温を上げるのがポイントになります。深部体温が0.5℃ほど上がるのが理想的です」(小林さん)
そのためのおすすめの入浴法が「40℃のお風呂に15分つかること」。暑いからとシャワーですませたり、38℃くらいのぬるめの湯につかるのでは、深部体温の上がり方が足りません。夏でも額にじんわり汗をかくくらい、湯船につかるのがポイントなのです。「お風呂から出たあとも汗は出てきますが、よくふいてしばらくリラックスしていると、体温が下がってきてすごく気持ちよく眠れるはずです」
もし、入浴時にクールな清涼感がほしい場合は、ミント系の入浴剤がおすすめ。ひんやりと清々しい気分で、深部体温はしっかり上げられます。また、湯船につかる時間を短くしたいという場合は、炭酸系の入浴剤を! 炭酸の小さな粒が毛細血管内に入り込んで血管を広げるため、短時間で深部体温が上がります。
だるさの原因は“中途覚醒”!? 湿度管理がポイント!
質のよい眠りのために、もうひとつ大切なことがあります。それが、途中で目が覚めてしまう“中途覚醒”をなくすこと。もし、疲れがとれず、体がだるい。寝ているはずなのに「よく寝た!」という実感が得られないのなら、“中途覚醒”が増えているのかもしれません。この“中途覚醒”に影響を与えるのが、実は湿度なのです。
「同じ室温であっても、湿度が75%になると、“中途覚醒”が1.3倍に増えてしまうことがわかっています。75%という湿度はどの家庭でもありえる湿度。快適に眠るためには、温度とともに湿度を管理することが大切なのです。室温が26℃、湿度は50%台くらいが理想的です。エアコンと除湿機を併用したり、エアコンをドライにして湿度を下げてから冷房に切り替えるとよいでしょう」と小林さん。
人間の感覚は狂いが生じがちなので、まずは温度計や湿度計を用意して、ご自宅の睡眠環境を確認してみるのも大切です。
室内の気流を調節して深い眠りをつくる
エアコンをつけて眠るとき、温度、湿度とともに注意したいことがあります。それが気流です。「エアコンの冷風が体に絶対当たらないようにすることが大切。感じるか感じないかぐらいの気流を“不感気流”と言いますが、そんなわずかな風でも、冷気を感じると深い眠りが短くなってしまうことがわかっています。エアコンの羽根を上向きにして体に風が当たらない位置に固定し、風量だけ自動にしておくと、温度が上がったら風が出て、下がったら止まるので、快適な睡眠環境がつくれます」
このように、風が体に直接当たるのはNGですが、その一方で、室内に若干の温度のゆらぎや、気流のゆらぎがあったほうが、“徐波睡眠”といういちばん深い眠りが増えるのだそうです。
「このゆらぎをつくるには、エアコンのほかに、空気を撹拌するサーキュレーターや扇風機などを上向きにして利用するとよいでしょう」
寝具はタオルケットよりふとん
快適に眠るためには寝具も大切です。暑い時期はタオルケット派という方も多いと思いますが、エアコンで室温を26℃に設定にしているのなら、ふとんのほうがおすすめなのだとか。
「眠りは一定ではなく、深くなったり浅くなったりします。寝はじめなど眠りが深いときはタオルケットでもよいのですが、眠りが浅くなるときは寒く感じることが多く、そこで覚醒してしまう場合が多いんです。そんな“中途覚醒”を防ぐためにも、快適なぬくぬく感を保てるふとんのほうがよく、パジャマも半袖短パンよりも、長袖長ズボンがいいですね」
横向き寝の人は、寝つくときはふとんを縦に丸めて抱きまくらがわりにすると、寝つき後の寝姿勢がくずれずに安定し、寝はじめの90分に深い眠りが増えやすいという利点もあるそう。
暑くて寝苦しさを感じる夜でも、入浴習慣を見直し、寝室の環境を整えれば快適にぐっすり眠れます。今日から、実践してみてはいかがでしょうか?