国際中医師発 不調知らずの体になる! 季節の薬膳レシピ、今回は体内もお肌も乾燥し始めるこの時期におすすめな「豚肉」について国際中医師・岡央知子さんに、その考え方とレシピを教えていただきました。
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うるおいを補う豚肉パワーで肌と体の乾燥疲れをリセット!
日差しが和らいでくると、季節は一気に秋へ。じめじめとした蒸し暑さから一変、さわやかな秋風が心地よい季節がやってきます。
この時期、よく耳にするのが、「夏バテ」ならぬ「秋バテ」という言葉。紫外線、冷房、食欲不振、不眠など、夏の過酷な環境や悪い生活習慣は、秋に体調不良をもたらします。過ごしやすくなるこの時期こそ、夏の疲れをしっかりケアしたいですね!
薬膳のもとになっている東洋医学(中医学)においても、夏から秋に変わるこの時期は体調に注意すべき大事な時期。それは、春夏の温かい「陽」の季節から、秋冬の涼しい「陰」の季節に、自然界の性質がガラリと切り替わる時期だからです。
さらに、じめじめと湿気の多い夏が終わると、秋冬に向けて外気の乾燥が一気に進みます。夏にたくさん汗をかき、皮膚や体内が水分不足に陥っていると、その影響が秋になって表面化。皮膚が乾燥して荒れたり、腸がうるおい不足になって便秘に陥ったり、さまざまな不調が現れやすくなるのです。また、皮膚や粘膜が乾燥すれば、体の防衛機能も低下。秋から冬に流行る風邪やインフルエンザにもかかりやすくなるかもしれません。
カサカサ肌や便秘は、美肌や美ボディに悪影響を与える重大な問題! トラブルが起きないうちに、早めに手を打っておきたいですね。
豚肉は疲労回復にも肌の保湿にも◎
そんな秋の初めにとりたい食材といえば、なんといっても豚肉! 栄養学的に見ても、豚肉は糖質代謝に不可欠なビタミンB1が豊富で、栄養が糖質に偏りがちな夏の疲労回復に最適な食材です。
薬膳で「豚肉は秋の肉」とするのはなぜか、それにはこんな理由があります。鶏肉、牛肉、羊肉など、肉にはいろいろな種類がありますが、薬膳ではそれぞれの肉に異なる性質と働きがあると考えます。豚肉の最大の特徴は、うるおいを補うこと。乾燥して働きが低下しがちな胃腸をうるおしたり、水分不足でバリア機能が低下しやすくなる肌や粘膜をうるおしたりして、乾燥によるトラブルを防ぐ性質があります。この性質こそ、空気が乾燥してくる秋にぴったり! 「カロリーが気になるから…」とふだんは控えがちな人も、この時期だけは積極的にとりたいお肉といえるでしょう。
豚肉のようにうるおいを補う性質のある食材には、ごま、卵、チーズや牛乳といった乳製品などがあります。クリームシチューにしたり、オムレツにしたり、豚肉との相性もばっちり!
おいしく食べて、乾燥に負けないプルプルのお肌と、疲れ知らずの元気ボディを育んでください。
【豚肉と小松菜のひとり鍋】<1食分 447kcal>
■材料(2人分)■
豚肉(ロース薄切り) 200g
小松菜 200g
えのきたけ 1パック
ねぎ 1本
油揚げ 1枚
やまといも 100g
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だし汁 600ml
酒 大さじ1
みりん 小さじ1
しょうゆ 小さじ1
塩 少々
ポン酢 適量
■つくり方■
(1)豚肉は食べやすい大きさに、小松菜は5cmの長さに切る。えのきたけは根本を切り落として小房に分け、ねぎは斜め薄切りに。油揚げは油抜きして3等分にカット。やまといもは皮をむいてすりおろす。
(2)1人用鍋にやまといも以外の(1)の材料を入れ、あわせておいたAを注ぎ入れて火にかける。フタをして5~6分煮て、豚肉のアクをひいてからやまといもをかけ、ひと煮立ちさせる。
(3)(2)を火から下ろし、ポン酢をつけていただく。
写真(料理)/安井真喜子