過ごしやすい秋は収穫の季節。旬のフルーツや野菜に、ついつい「食べ過ぎちゃった~」なんてことはないでしょうか。おいしく食べたあとは、「すっきり出す」にも気をつかいたいもの。特に秋は、一年の中でお通じが不調になりやすい季節なので要注意です。そんな秋のすっきり生活におすすめの薬膳素材をお知らせします。
Contents 目次
■乾燥シーズンの始まりとともに便秘のお悩みもスタート
なぜ、秋は便秘しやすいのでしょうか。それは、今の時季から本格的な乾燥の季節がスタートするからです。日本の場合、梅雨から夏にかけては湿気の多い季節。人の体は季節や環境によって変わりますから、この時季は余分な湿気がたまってむくみやすくなります。夏が終わり、涼しくなってくると、今度は乾燥の季節が到来。気温も湿度も下がり、過ごしやすくなってきた今の時季は、乾燥シーズンの始まりなのです。
指先が荒れてささくれができたり、唇が乾燥して皮がむけたり、髪がパサついたり……。こうした乾燥の症状は、当然、体内にも現れます。その代表が、大腸の水分不足によって起こる乾燥便秘。腸内が潤い不足になると、便も乾燥して硬くなってカサが小さくなり、排便されにくくなるのです。「毎日出ていたのに、軽い便秘かな?」とか、「そういえばいつもより便が少ないかも」と感じている方は、季節による変化が腸に出ている可能性があります。
■ナッツの油がスムーズな排便を助ける
そこでおすすめしたいのが、ピーナッツやアーモンドといったナッツ類です。薬膳では、ナッツ(種子)類は共通して「便秘にいい食材」とされています。その理由は、ナッツには油が含まれているからです。ごま油、ココナッツオイル、オリーブ油など、多くの油は植物の種子、つまりナッツから絞り出されたもの。これらの油をとると、腸内の滑りがよくなり、スムーズなお通じが促されます。
では、種類豊富なナッツの中から、どれを選べばよいのでしょうか。薬膳では、さまざまなナッツ類を働きや性質別に分類しています。そのいくつかをご紹介しましょう。
●くるみ:体を温める力が強く、冷え性にいい。老化と関係のある臓「腎」に働きかけ、慢性の咳や喘息、加齢による腰痛などにすすめます。
●落花生(ピーナッツ):「血」を補う性質があり、呼吸器に潤いを与えるとされる。咳、貧血、気管支炎などに。
●松の実:体の潤いを補う性質があり、空咳、めまいなどの症状がある人に。
●胡麻:加齢によって乾燥症状がひくなったときに。肌や呼吸器の乾燥には白胡麻を、加齢による潤い不足には黒胡麻をすすめます。
●杏仁:杏仁豆腐の「杏仁」ですが、薬膳や漢方薬の世界では「きょうにん」と読みます。デザートに使われる「甜杏仁(てんきょうにん)」。呼吸器を潤して咳を止めたり、腸に潤いを与えて乾燥便秘を予防します。
いかがですか? ナッツによって働きは微妙に異なりますが、潤いを与えて乾燥便秘の予防になるのは、どのナッツにも共通する特徴といえます。ナッツは「おなかスッキリ」の強い味方。シリアルに入れたり、サラダのトッピングにしたり、いろんな種類を常備して、乾燥の季節の不調を未然に防いでくださいね。