内臓温度を高めるには、内臓に近いインナーマッスルをほぐすのが鍵。理学博士の山口勝利さん考案の「ほかほかストレッチ」を教えていただきました。座ったまま、誰でもできる簡単ストレッチです。山口さんの著書『死ぬまで元気でいたければとにかく内臓を温めなさい』から、ご紹介していきます。
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インナーマッスルをほぐして内臓温度を高める
筋肉の活動量を増やし、血液を温めるには、筋肉の量を増やす方法もありますが、硬くなっている筋肉をほぐして、今ある筋肉の活動量を上げる方法もあります。 ほぐすほうは、筋肉の質を高めるというイメージでしょうか。
どちらかというと、筋肉をほぐす方法がラクです。なぜなら、筋肉をつけるには、筋肉に負荷をかけるトレーニングが必要になるからです。
筋肉をほぐすだけであれば、そんなに大変な動きは必要ありません。さらにいえば、内臓を温めるのが目的なら、ほぐすほうが、効果が早表れます。
まずは、動きの悪い筋肉を動くようにする。
眠っている筋肉を目覚めさせることからはじめましょう。 筋肉の量を意識するトレーニングは、それからで十分です。
3つのほかほかストレッチ
内臓温度を上げる「ほかほかストレッチ」を紹介しましょう。 誰でもができ、座ったままでOKな簡単なものです。1日3分くらいなら忙しい人でも時間がとれるのではないでしょうか。
ストレッチは3種類あり、それぞれ1日1セット行ってください。
ひとつは、インナーマッスルを左右から刺激する「ヘリコプターストレッチ」。
ふたつめは、前後から刺激する「足上げガッツポーズストレッチ」。
そして3つめが、お腹からの血流をよくする「おじぎストレッチ」です。
「おじぎストレッチ」で、インナーマッスルを刺激するだけでなく、お腹からの血流をよくするのは、内臓温度が下がると、流れが悪くなった血液が下腹部にたまることが多いからです。
1 ヘリコプターストレッチ
(1)座って背すじを伸ばしてイスに座り、両腕を伸ばしたまま肩の高さまで前に上げる。
(2)両腕を伸ばしたまま、上体を右にひねる。ひねりきったところで5秒キープする。目線を右手から離さないようにしながらひねると、限界までひねることができる。(1)の姿勢に戻る。
(3)両腕を伸ばしたまま、上体を左にひねる。ひねりきったところで5秒キープし、目線は左手から離さないようにする。(1)の姿勢に戻る。
(1)〜(3)を5回くり返す。
2 足上げガッツポーズストレッチ
(1) 背すじを伸ばしてイスに座り、右ひじを曲げて前に上げる。
(2)右ひじの先端と右足のひざ頭がふれるまで、右ひじを下げ、同時に右ひざを上げる。約30 秒間リズムよく20回くり返す。できなければひじとひざはふれなくてもOK。左も同じように20回行う。
3 おじぎストレッチ
(1)背すじを伸ばしてイスに座り、両手をそれぞれのももに置く。
(2)両手を太ももの上をすべらせながら、上体を3秒くらいかけてゆっくり前に限界まで倒していく。20回行う。
ほかほかストレッチがおすすめな理由
内臓を温めるために目覚めさせたいのは、お腹の奥にあるインナーマッスル。 内臓に一番近い筋肉です。 腹横筋や多裂筋(たれつきん)、横隔膜などといった筋肉になります。
まず、内臓に近い筋肉が活動的になると、そこでの熱生産が多くなるため、内臓を直接温めることができます。しかも、温かくなると血流がよくなるため、さらに温め効果が高くなります。
姿勢もよくなります。
なぜなら、お腹まわりのインナーマッスルは、姿勢を維持する筋肉としても働いているからです。
姿勢がよくなれば、血液の流れもスムーズになるので、血流がさらにアップします。
内臓を正しい位置にキープするためにも、お腹まわりのインナーマッスルを鍛えることは大切です。
筋肉の動きが鈍くなると、内臓が低い位置に下がってしまい、筋肉やほかの内臓に圧迫され、内臓そのもののはたらきが悪くなります。
内臓の動きが悪くなれば、血流が悪くなり、内臓を冷やす一因になります。
熱生産量が多くなる、血流がよくなる、姿勢がよくなる、内臓の働きがよくなる、呼吸が深くなる…。これらはすべて、内臓温度を上げることにつながります。 しかも、やることはお腹まわりのインナーマッスルをほぐすだけ。
このほかほかストレッチをぜひオフィスや自宅で習慣に取り入れてみてください。
参考書籍
山口勝利著『死ぬまで元気でいたければとにかく内臓を温めなさい』(井上宏一監修、アスコム)
文/庄司真紀