風邪が気になる季節です。のどの痛みや咳が出ると、「風邪かな?」と思うかもしれませんが、じつは細菌感染によるほかの病気という場合もあります。風邪と間違えやすい感染症について、医療法人社団鉄医会理事長・ナビタスクリニック立川の久住英二医師に伺いました。
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「のど痛で食べられない」「咳で眠れない」は要注意
発熱、のどの痛み、咳などの症状があるとき、風邪以外にどのような感染症が考えられるのでしょうか。
「風邪と似た症状の感染症には、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、クラミドフィラ肺炎、百日咳などがあります。初期には、風邪と見分けがつかないことも多いです」とナビタスクリニック立川の久住英二医師。
次のような症状があったら、風邪以外の感染症が疑われます。
●のど痛が続き、熱が下がらない
→溶連菌感染症(溶血性連鎖球菌)
溶連菌という細菌に感染して発症。38~39℃の熱が出て、のど痛が強いのが特徴。咳は出ません。のどが真っ赤になるのも代表的な症状ですが、初期には見られないこともあり、風邪と見分けがつかないことも。のどが痛くて食べ物を飲み込むのもつらいときは、すぐに病院へ。風邪を引いた状態から、溶連菌が二次感染を起こすこともあります。ペニシリン系の抗生物質で治療します。
●咳が止まらない
→マイコプラズマ感染症
マイコプラズマという微生物による感染症。最初に、発熱やだるさなどの症状が現れ、3~5日後に咳が出ます。咳は次第にひどくなり、痰もみられます。吐き気、嘔吐、下痢などを伴う場合もあります。放置すると肺炎につながることも。「抗生物質で治療しますが、これまで最も一般的に用いられていた抗生剤が効かないマイコプラズマが増え、問題になっています」(久住医師)。
→クラミドフィラ肺炎
クラミドフィラという細菌による感染症。最初は、発熱やだるさ、のど痛などの症状が出て、1週間ほどすると咳が出始め、咳は長引くのが特徴です。感染しても症状が出ない人も多いようです。抗生物質で治療します。ちなみに、クラミドフィラは、かつてはクラミジアと呼ばれていましたが、性感染症のクラミジアとは別の菌です。
→百日咳
百日咳菌による感染症。最初は、微熱やだるさなどの症状が現れ、1週間ほどすると咳が出始めます。咳は長く続き、激しく咳き込んだり、話し始めると咳が止まらない、咳で眠れないといったことが起こります。抗生物質で治療します。
「風邪の場合、放っておいても4~5日で症状は改善します。のどの痛みや咳が軽快せず、食事や睡眠に支障が出るなど“いつもの風邪とは違う”と感じたら、病院で適切な治療を受けましょう」と久住医師はアドバイスします。
取材・文/海老根祐子