ノロウイルスが気になる季節になりました。この時期に、腹痛や下痢、おう吐といった症状が出たら、「ノロウイルス感染症の疑いがある」と感染症に詳しい医療法人社団鉄医会理事長・ナビタスクリニック立川の久住英二医師。ノロウイルス感染症の原因、症状、予防法について伺いました。
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感染経路によって、ノロウイルス感染症とノロウイルス中毒がある
ノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こす代表的なウイルス。感染すると、1~3日間の潜伏期間を経て、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れます。では、どのような感染経路があるのでしょうか。
●感染経路
感染者の便や吐物にはウイルスが含まれています。そのウイルスが手を介して食品やモノにつくなどして感染が広がっていきます。感染経路は主に4つです。
(1)人→人へ感染
おう吐の飛沫を浴びたり、おう吐物の処理中に感染することがあります。
(2)人→モノ→人へ感染
ウイルスがついたモノに触れ、その手を介して口から感染します。
(3)人→食べ物→人へ感染
調理者など食品を取り扱う人の手から食べ物にウイルスがつき、それを食べることで感染します。
(4)カキなどの二枚貝→人へ感染
生または十分に加熱されていないカキなどの二枚貝を食べることで感染します。この場合、「ノロウイルス中毒」と呼ばれることもあります。
「なぜ、カキなどの二枚貝から感染するかというと、排せつ物に含まれたウイルスは下水処理では不活化されないため、河川に流されるウイルスによって貝が汚染されてしまうからです」(久住医師)。
●治療および療養法
「おう吐や下痢など症状が出たら、水分をとって安静にしましょう。水を飲んだだけでも吐いてしまう場合でも、ひとさじずつでもいいから常温で水分をとってください。1~2日でピークを越え、3~4日で軽快します。出社もOKです。感染が疑われた場合でも、二次感染を防ぐために、病院にかかるのはなるべく控えましょう」(久住医師)。
ただし、子どもや高齢者で、脱水の心配があるときは病院にかかりましょう。
アルコール消毒よりしっかり手洗いを
ノロウイルス感染の予防にはどのようなことが効果的なのでしょうか。
●予防法
「ノロウイルスの予防で重要なのは、十分な手洗い。アルコール消毒は効果がありません。トイレの後、調理前、食事前は石けんでよく手を洗い、30秒以上洗い流します」(久住医師)。
カキなどの二枚貝を調理する場合は、十分に加熱することも大切です。
吐物などを処理する場合は、窓を開け、手指や衣服が汚れないように手袋やエプロンをして、使用後は廃棄します。「汚染された床は次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)で拭きましょう」(久住医師)。
感染症予防のためには、「しっかり手洗い」を徹底したいですね。