10組に1組が不妊に悩むと言われている今、不妊治療や妊活事情はひと昔前とは格段に変化しています。そんななか、最新の妊活事情をご紹介! 産婦人科医で医療法人・オーク会の田口早桐医師に聞きました。
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今は妊活をするには最高の時代!
「私が産婦人科という現場に身を置くようになってから25年。その間に、不妊治療や生殖医療の内容や技術は目覚ましく進化してきました。つい先日までは卵子の凍結に驚いていたのに、今では子宮の移植までもができる時代に。まさに日進月歩です。
妊活をする女性側の意識も変わってきたように思います。私自身が妊活をしていたのは今から15年ほど前。その頃は妊活セミナーも少なく、またあってもすご~く暗い雰囲気でした。それに比べて最近の妊活セミナーのオープンで明るいこと! 技術の進歩ももちろんありますが、妊活に対しても世間的なハードルが下がってきているのでしょうね」(田口先生)
タイミング法はもはや不妊治療ではない!
「一般的な不妊治療は、タイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精という順序を踏むと考えられています。しかし、私の考えでは、タイミング法はもはや不妊治療に入れずに考えてもいいと思っています。タイミング法は医師の指示をあおがなくても、自分で実践できます。排卵日にこだわるのではなく、生理が終わった日からできるだけ毎日性交渉を持つことを3か月続けてみて、ダメだったら次のステップに行く。
特に、かかっているドクターが不妊治療専門医でないと、治療は漫然と進みがちです。だらだらと時間を浪費しないように、ドクターとコミュニケーションを取りながら前進していきましょう」
親子で卵子凍結セミナー参加も!
「近年の生殖医療の技術の進化はめざましく、それによってできることも格段に増えました。今すぐには不妊治療を始められない、相手がいないなどの人も、早めにビジョンを持ってできるだけ若いうちの卵子を凍結しておくのも1つの選択です。
そうした行動を『不自然である』とか『自分勝手』と思う必要はありません。最近は卵子凍結セミナーに母と娘で参加する人もいたり、母親世代のほうが卵子凍結に積極的だったりします。古い考え方にしばられず、自分の目標に向かってポジティブに進んでほしいと思います」
スマホで手軽に精液検査できる!
「妊活をスムーズに進める上で、大きなカギとなるのが夫(パートナー)。不妊治療を拒否したり、優柔不断な態度を続けたり、最悪な場合では不妊治療をじゃまするような言動をしたり…。
ただ、心に置いてほしいのは、不妊治療は女性以上に、男性にとってもハードルが高いものだということ。いきなり『病院行きましょう』と言っても、拒否される可能性もあります。そんなときには、スマホで手軽に精液検査ができるキットなども販売されているので、そうしたものを活用するのも手ですよ。
パートナーとの関係は、めでたく赤ちゃんを授かった後も続きます。妊活のときに相手を傷つけたり、無理強いしたことがしこりとなって、夫婦関係を悪化させると後がやっかいです。女性の側が大人になって、上手に駆け引きしていきましょう!」
かつては妊活をしている、なんて口にはできなかった時代もありました。でも今は違います! 夫婦で、親子で、友達と、などオープンに相談し合えるようになってきています。ぜひ自分だけで思い悩むことなく、ドクターも含め周囲のさまざまな人に相談してみてはいかがでしょうか?
取材・文/遊佐信子 写真/ⓒMonet-fotolia.com