暦の上では春が近づいてきています。温かくなるのはうれしいけれど、同時に冬の疲れや春ならではのつら~い症状に悩まされ、「春って体調が悪いことが多いな」なんて感じている人も多いかもしれません。そんなとき、薬膳の考え方では山芋を積極的にとるのがよいそう。この野菜の持つパワーとおいしいレシピをご紹介します。
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冬にため込んでしまったものを、春に向けて立て直す
まだまだ寒さの厳しい時期ですが、昼間の時間がじょじょに長くなって、季節は春に向かいます。東洋医学では、春は「発陳(はっちん)」。「陳(古いもの)」を発散し、春の日とともに万物が発生する季節といわれています。暦が春に変わる今の時期は、ちょうど冬と春の境目。春にのびのびと活動を始めるためにも、冬にがんばった体をしっかり立て直しておきたいですね。
冬の間は、寒さと乾燥で体が消耗しがち。風邪やインフルエンザ、胃腸炎なども流行しますから、病気と闘った体には生命エネルギーの元である「気」を補う必要があるでしょう。「気」は体の新陳代謝を促進するパワーの源なので、「春から運動して脂肪を燃やそう!」というときの原動力になり、ため込みやすい体の改善をあと押ししてくれます。
もうひとつ、春が本格化する前に補いたいのが「うるおい」です。秋から冬の間は、外気も室内も乾燥が激しく、肌も体内も深刻なうるおい不足に。皮膚や粘膜が乾燥するとバリア機能が低下し、花粉や汚染物質、ウイルスに対する抵抗力が低下します。春に多い肌荒れや「ゆらぎ肌」にも陥りやすくなるから要注意です。
気とうるおいの両方を補う美容&老化防止食材
そんな今の時期におすすめの食材は「山芋」。昔から精のつく食材として知られる山芋は、「山薬(さんやく)」といわれ、漢方生薬のひとつです。「気」を補うパワフルな食材でとくに老化防止に関係のある五臓の「腎」に働きかけるとされています。
山芋のすぐれた点は、「気」を補うだけでなく、体をうるおす力も強化してくれるところ。「気」とうるおいの両方を補うことができるから、寒さと乾燥の冬を乗り越えてきた体にもってこいの食材なのです。
山芋は、生で食べるのはもちろん、スライスして焼いたり、ジャガイモの変わりに煮ものやみそ汁に入れたり、いろいろな料理に活用できます。水分の多い長芋、粘り気の強い大和芋、自然薯など、いくつかの種類があるので、シャキシャキとした食感を生で楽しむなら長いも、モチモチとした粘りを楽しみたいなら大和芋と、料理に合わせて選んでください。
山芋のおすすめレシピ
やまいもと野菜の炒めもの
1食分109kcal
<材料(2人分)>
長いも 150g
にんじん 1/4本
しいたけ 2枚
たまねぎ 1/4個
しょうが 1/2片
黒きくらげ(乾燥) 3g
いんげん 6本
ごま油 大さじ1/2
A
薄口しょうゆ 大さじ1/2
酒 大さじ1
塩、こしょう 少々
<作り方>
(1)長いもは皮をむき、にんじんは皮つきのまま短冊切りに、しいたけとたまねぎは5mm厚さに、しょうがはみじん切りにする。黒きくらげはたっぷりの水でもどし、石づきを取りひと口大に切っておく。
(2)にんじんをといんげんは約1分塩ゆでし、いんげんは斜め細切りにする。
(3)フライパンにごま油としょうがを入れて熱し、香りがたったらたまねぎ、長いも、しいたけを入れて中火で炒める。野菜がしんなりしたら黒きくらげとにんじん、いんげんを加え、Aで味を調えて混ぜあわせたら火を止める。
長いもとほうれんそうのふわふわグラタン
1食分268kcal
<材料(2人分)>
ベーコン 2枚
ほうれんそう 1束
エリンギ 1パック(100g)
長いも 200g
牛乳 70ml
塩 少々
バター 小さじ1
こしょう 少々
とろけるスライスチーズ 2枚
<作り方>
(1)ベーコンは1cm幅の細切りに、ほうれんそうは根を落としてから5cm長さに、エリンギは長さを半分にし、薄切りにする。
(2)長いもは皮をむいてからすりおろして鍋に入れ、牛乳を加えて弱火にかける。泡だて器で混ぜながら加熱し、表面がふつふつといってきたら火を止め塩で味を調える。
(3)フライパンにバターを入れて弱火にかけ、ベーコン、ほうれんそう、エリンギの順に入れて炒める。しんなりしたら火を止め、塩・こしょうで味を調える。
(4)耐熱皿に入れた(3)の上に(2)をかけ、その上にスライスチーズをのせて250℃のオーブンで10分焼く。
※もしくはオーブントースターで7~8分焼く
撮影/安井真喜子