涙の量が少なくなったり、質が悪くなることで、目の乾き、目の疲れなどが起こるドライアイ。どのような治療が有効なのでしょうか。ドライアイにくわしい、みさき眼科クリニック院長の石岡みさき先生に伺いました。
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市販の人工涙液を試して、改善しないなら眼科へ
「ドライアイかも」と思ったら、市販品の人工涙液→眼科で処方される点眼薬の順番で試してみましょう。
○市販品で対応するなら、人工涙液
最近、増えているBUT短縮型ドライアイを改善する市販の点眼薬は出ていません。「まずは、涙に近い成分の人工涙液を試してみて」と石岡先生。
「ソフトサンティア、ロートソフトワンといった人工涙液が出ています。防腐剤フリーなので安心して使えます。しかし、使い過ぎると涙を洗い流してしまい、かえってドライアイがひどくなってしまうこともあるので、用法・用量を守って使うことが大切です」(石岡先生)
人工涙液はドラッグストアなどで買うことができます。
○眼科で処方される点眼薬は、BUT短縮型ドライアイにバッチリ効く
人工涙液を使っても、症状が改善しないようなら、眼科を受診しましょう。
「眼科では、涙のムチンという成分を増やす『ムコスタ』『ジクアス』といった点眼薬を処方しています。涙の安定性をよくする効果があり、BUT短縮型ドライアイには非常に効果があります。
一方、ヒアルロン酸製剤もドライアイの治療に使われますが、BUT短縮型ドライアイのタイプによっては効かないことがあります。ヒアルロン酸濃度が濃いと薬液が涙を吸収して、かえってドライアイ症状が強く出てしまうことも。使っている点眼薬で改善しないようなら、かかりつけの眼科医に相談しましょう」(石岡先生)
涙の量が少ないドライアイには涙点プラグという選択肢も
涙の量が少ないことで、目の表面が傷つきやすいタイプのドライアイの治療には、目の表面に涙をためる“涙点プラグ”を装着するという治療法もあります。
○涙を増やす涙点プラグとは?
まぶたの鼻側の上下には、“涙点”という場所があります。涙は、上まぶたの耳側にある涙腺で作られ、まばたきによって目の表面に広がります。10%は蒸発し、90%は鼻側にある涙点から鼻腔へと流れていきます。その涙点をプラグでふさいで、目の表面の涙を増やす治療法です。
「涙そのものを増やすわけではありませんが、目の表面に涙がたまることで、傷がつくのを防ぐ効果があります。プラグがどんなものか試してみたいという場合には、2~3か月で溶けるコラーゲン製プラグもあり、保険診療が可能です」(石岡先生)
治療で治らないのは、ほかの目の疾患?
ドライアイの治療を行っても、なかなか改善しない場合、ほかの疾患の可能性もあります。「目が疲れる、ゴロゴロする、かゆい、なんとなく不快感がある 、涙が出る、目が赤いなど、ドライアイの症状は、アレルギー性結膜炎とほぼ同じです。花粉症かと思ったら、ドライアイだった、ということもよくあります。アレルウォッチという涙の検査や血液検査で、アレルギーかどうかは鑑別できます」(石岡先生)
また、モノがぼやけたり、目が疲れるのは、老眼の影響や、メガネ、コンタクトの度が合わなくなっていることも考えられるそうです。
一方、重症のドライアイには、シェーグレン症候群という自己免疫疾患が隠れている場合があります。
「シェーグレン症候群は、女性に多い疾患とされています。涙腺や唾液腺が崩壊される疾患で、ドライアイのほか、口が渇くといった症状も起こります」(石岡先生)
気になることがあるときは、なるべく早く眼科を受診しましょう。
取材・文/海老根祐子