職業によっては夜勤があったり、規則正しい毎日を送るのが難しい人も。しっかり仕事をこなさなくてはいけないうえに、体はけっこうキツいのでは?
予約1年待ちの生活習慣改善サロン「Flura」を主宰する小林麻利子さんによる、【睡眠のお悩み解決】。今回は、そんな不規則なスケジュールで働いている方に向け、健やかに過ごすコツをアドバイスする前編です。
Contents 目次
Case3
夜勤のある仕事をしていて、ずっと生活のリズムが狂ったまま。夜勤明けは日中ずっと眠っているので、夜はなかなか寝つけません。翌日は仕事中もシャキッとしなくて……なんとかしたい!
小林先生のお答え
適切な仮眠を取りつつ、飲食の時間はふだんどおりを心がけて
夜勤の日も翌日も、体内時計を意識して
はっきり言うと、ヒトの体内時計に反した生活は健康によくありません。心臓病やうつ病のリスクが上がるとか、長く夜勤を続けている人は生活習慣病にかかりやすいといった調査報告が出ています。とはいえ、夜に仕事をしてくださる人がいないと、現代の社会が成り立たないのも事実。ぜひ、そうしたリスクを減らす対策をしながら過ごしてください。
体内時計の仕組みは朝起きてから体温が上がって、夜に眠るときに下がるのが基本です。夜勤の日も翌日も、この基本にできるだけ合わせた過ごし方をするのが、生活全体のリズムを崩さないコツなのです。
今回は、夜勤前から夜の仕事中における過ごし方についてお伝えします。
夜勤が始まる前に、30~60分の仮眠を
まず、夜勤の前に仮眠をとることが第一。しっかり仕事をするため、そして、体内時計に与える影響を抑えるためです。仮眠についてはいろいろな研究データがありますが、総合的に考えて、夜勤が始まる2時間前に30~60分ぐらい眠っておくのがベストだと思います。
仕事が始まったら、夜間は体内時計を乱す明るい光をできれば避けたいものですが、作業に支障があってはいけません。パソコンなどの電子機器を使う作業であれば、ブルーライトカットのメガネを掛けることをおすすめします。
食事時間はふだんどおりに、深夜のおやつはNG!
夜勤の日の食事は、朝昼晩すべてふだんと変わりなく取ります。不規則な食事時間は生活のリズムを崩す原因のひとつという研究データがありますから、夕食はいつもどおり19時までに済ませます。規則正しく過ごせば、ホルモンの代謝リズムや体内時計が整って、夜勤の後の休日もきちんと眠れますし、太りにくくなります。夜勤を続けていると、年齢を重ねるうちに太る人が多いので要注意なのです。
よく夜勤におやつタイムがあると聞きますが、これは論外! ただ、夜中に仕事に取り組んで覚醒レベルが高くなると、どうしてもお腹がすいてきます。そんなときは、ガムを噛みましょう。噛むことで空腹感を抑えられますし、唾液が出てアンチエイジング効果もあって、さらには幸せホルモンのセロトニンが分泌されるので、気持ちも落ち着きます。また、温かいお茶を飲んでホッとするのもおすすめです。
ラベンダーオイルで休憩時間にぐっすり
夜勤中の仮眠の取り方は、休み時間の長さによって変わります。
休憩が1時間しかない場合、仮眠は20分以内にとどめましょう。寝入ってから1時間というのはノンレム睡眠の3から4の深い眠りに入っていて、時間いっぱい眠ると、目を覚ましたときに強い眠気が残ってしまいます。工事現場などの夜勤で眠気を抱えたまま作業をしては、命に関わるミスにつながってしまうことも! 20分以内ならノンレム睡眠の1から2と眠りも浅く、シャキッとして仕事に臨めるはずです。
最近では、看護師の夜勤の休憩時間を1時間半から3時間確保している病院が出てきました。そうした休憩時間の長い場合は、どうぞ眠れるだけ寝てください。
なかなか寝つけないという人は、ラベンダーのエッセンシャルオイルを1本、夜勤のお供にしましょう。ラベンダーオイルに含まれるリナロールという成分は、副腎や腎臓の交感神経を鎮めるという研究結果が出ています。コットンに数滴垂らして仮眠場所の近くに置いておけば、眠気を誘ってくれるはず。ラベンダーオイルは3000円台の品質のよいものを選ぶといいですね。
もしラベンダーの香りが苦手なら、ヒノキのオイルでもOKです。セドロールという鎮静作用のある成分が入っています。
夜勤前と休憩中にきちんと仮眠を取れば、夜間の仕事も快調にこなすことができるのではないでしょうか。