美容や健康の面からも、注目が集まっている腸。「内側からキレイを目指すためには、まず腸内環境を整えることが大切」とよく聞きますが、腸ってどんな働きをしているの? なぜ美容や健康に関係があるの? 実際に腸を元気にするには何をすればいいのか…そんな疑問を持っている人も多いはず。そこで今回は、腸律師の小澤かおり先生にお話を伺いながら、内側からキレイを叶えてくれる「腸」の謎を紐解きます。
Contents 目次
■栄養吸収や排便だけじゃない!? 重要な腸の働き
腸には小腸と大腸があり、小腸では栄養を吸収する働きが、大腸では、排泄の働きがあることは一般的に知られていますよね。じつは腸は私たちの体にとって、もっと重要な働きをしています。
「腸では栄養を吸収して、排泄を促す働きだけでなく、ウイルスなど体に悪いものが入った際に、嘔吐や下痢などの反応を引き起こして解毒する働きもあります。また、腸の壁面にはじゅう毛という突起物があり、絨毛の中にある腸菅で血液が作られます。絨毛に汚れがからまった状態になると作られる血液も汚れるため、その汚れた血液が全身を巡ることになります。
そして、最近注目されているのが腸と免疫力の関係。免疫の約7割が腸で作られていると言われているんです。免疫力が下がる一番の原因は、体温が下がること。体温が1度下がると免疫力が30%下がると言われます。昔の人がお腹を冷やしたらいけないと言っていたのは、免疫力を司る腸を冷やしてはいけないということで、とても理にかなっていますね。
さらに、“ハッピーホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌も腸が約90%を占めると言われます。セロトニンは免疫や女性ホルモンにも関わってきますから、とくに女性には関心を持ってもらいたい内臓のひとつです」(小澤先生)
■意外と当てはまる、腸が弱ると起きる不調とは?
私たちの体にさまざまな影響を与えている大事な腸。日常のプチ不調の原因は、意外と腸の状態が関係しているのかもしれません。
<腸が弱ると起こりやすい体の不調>
□便秘や下痢をくり返すなど、腸が過敏になる排便トラブル
□冷えや低体温、むくみの症状
□ぽっこりお腹、下半身が太りやすい
□吹き出物やアトピーなどの肌トラブル
□頭痛、肩こり、ひどい生理痛、更年期
□自律神経やメンタルの低下
□過食、拒食の症状
「健康的な腸はぜんどう運動をくり返して内容物を押し出し排泄しますが、腸が元気でないと、ぜんどう運動が鈍くなったりストップしてしまいます。食べものが入った状態でぜんどう運動が行われないのを想像してみてください。体内は約37度で保たれていますから、その環境に食べものがずっと停滞すると、腐ってしまいます。それが“腸内腐敗”です。
腸内腐敗は、ガスを発生させるため、腸の中にガスがたまってお腹が張った状態になるんです。腸内腐敗がはじまると、そこで作られる血液も汚れることになりますので、ドロドロの血液が全身を巡り、血流の悪化につながります。そうすると、冷えやむくみも悪化して、太りやすくやせにくい体になることが想像できますね。肌荒れや老化の原因にも。
また、先にも話したように腸はセロトニンの分泌も行うため、腸そのものが元気でないとセロトニンの分泌も減ってしまいます。疲れやすかったり夜眠れなかったりとメンタル面にも影響が。結果的に免疫力が低下して、自律神経も乱れてしまいます」(小澤先生)
■これはNG! 腸を弱らせて不調を招く生活習慣
不調を招いてしまう、腸に悪影響な生活習慣はどんなことがあるのでしょうか?
<不調を招く生活習慣>
□ストレス過多、緊張状態が続くこと
□薬などの服用による腸への負担や老化
□偏食や暴食、過度なダイエット
など
「腸は繊細で、悪い食生活だけでなく、ストレスや緊張でも負担をかけてしまっています。人間関係なのか、心配性やせっかちなど自分自身の性格によるものか、対人関係によるものかなど、人それぞれ抱えているストレスや悩みも違いますが、まずはどこに原因があるかを知ることが大切。サロンにはさまざまな悩みを持った方がいらっしゃいますが、ムリなダイエットや間違ったファスティングで腸に負担をかけてしまっている方も増えています。
腸はそれらの影響を受けて腸が弱くなり、機能が低下してしまいます。食生活や生活習慣を改善しながらも、誰でも簡単にできるセルフ腸律で自ら動ける健康的な腸を目指すことが重要です」(小澤先生)
取材・文/高野瞳