“血管の健康”とだけ聞くと、若いうちは自分にはあまり関係ないかな、と思ってしまいがち。ですが、じつは生活習慣病になるリスクと血管の健康には深い関わりがあるといわれます。身近な食品のなかで血管にうれしいのが、お酢とオイル。東京ミッドタウンクリニック特別診察室長 渡邉美和子先生にその理由と簡単にお酢とオイルをとり入れられるレシピを教えていただきました。
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■食事にお酢をとり入れたい3つの理由
生活習慣病に深い関わりがあるといわれるのが、血管の健康。そんな血管の健康を考えるときに重要なのは、血圧だと渡邉先生はいいます。
「血圧の高い状態が続くと、血管に負担がかかるため、血管へのダメージが高まります。
この血圧を改善するカギは、食事の塩分量。日々の食事で減塩を試みることが、血管の健康を保つためにとても大切なのです。日本の伝統的な食にはうま味を活かした料理があり、だしは塩分の代わりになりますよ。また、日本の味や食文化に古くからなじみのあるお酢は、酸味で素材の味や塩味を引き立てることができます。料理にお酢を加えれば、素材の味や少量の塩味を感じながらおいしく食事ができるのです」(渡邉先生)
お酢を食事にとりいれるとこのような3つの効果が期待できるのだとか!
<お酢の効果1>お酢の酸味で減塩ができる
お酢の酸味によって、塩味や素材のうまみを増長させる働きがあり、おいしさを引き立てながら、塩分を減らすことができます。
<お酢の効果2>高めの血圧を低下させる
大さじ1杯(約15ml)のお酢を毎日とることで、高めの血圧が低下することが報告されています。
<お酢の効果3>血糖値の上昇を抑えてくれる
大さじ1杯(約15ml)のお酢を使った料理や飲みものを食事にとり入れると、食後の血糖値上昇がゆるやかになることが科学的に報告されています。(※)
※「健常な女性における食酢の食後血糖値上昇抑制効果」(日本臨床栄養学会雑誌27:321-325 2006)より
■食事にオイルをとり入れたい2つの理由
また、食後の血糖値のほかに意識したいのが血液中の脂質のバランス。これを保つには、血液のドロドロの元となるLDL(悪玉)コレステロールを減らし、体にいい働きをするHDL(善玉)コレステロールを増やすことが重要です。そのために、食事ではオメガ3系脂肪酸を多く含む青魚などの油、つまりオイルをとること。
「オイルと聞くと、カロリーが高い、という印象を抱きがちですが、脂質は消化吸収に時間がかかるため満腹感につながり、食べ過ぎを防ぐことができます。
代謝を維持するためにも必須の栄養素で、美肌、美髪、便秘知らずといった美を保つためにも欠かすことはできません。オイルは減らすのではなく、よいオイルを選ぶことが大切なのです」
<オイルの効果1>HDL(善玉)コレステロールを増やす
HDL(善玉)コレステロールには血管のなかで増え過ぎたコレステロールを回収する役割があります。HDL(善玉)コレステロールを増やす役割を持つのが「オメガ3系脂肪酸」ですが、酸化しやすいという欠点があるため、オイルは新鮮な状態でとるのがポイントです。
また、1日にとるべきオイルの量は、大さじ1(約12g)までを目安にするとよいでしょう。
<オイルの効果2>食事の満足感を高める
オイルを食事に加えることで、料理の味に深みとコクが出て満足感が高まります。ムリな食事制限をすることなく、糖質や塩分の摂取を抑えることができます。
■お酢とオイルを使った簡単レシピ
渡邉先生がふだん実践しているお酢とオイルを使ったレシピを2品教えていただきましょう。
「バルサミコ酢」×「オリーブオイル」
ドレッシングで食べる彩りサラダ
(1人分151kcal、食塩相当量0.0g)
<材料>
バルサミコ酢、オリーブオイル(ドレッシング用)…各大さじ1
サニーレタス…50g
パプリカ(赤、黄)…各20g
プチトマト…3個
オリーブオイル…小さじ1/4
押し麦(ゆでたもの)…20g
<作り方>
サニーレタスはひと口大にちぎり、パプリカは1.5cm角に切って、器に盛る。プチトマトは半分に切り、オリーブオイルをかけてオーブントースターで焼く。焼き時間の目安はトマトの皮にシワが出て少し焦げ目がつくくらいまで。押し麦とともに器にのせ、ドレッシングをかける。
<コメント>
「サラダを食べるとき、ドレッシングは手作りがおすすめ。お酢とオイルを混ぜるだけで簡単に作ることができます。プチトマトは焼くと甘みが増すので、サラダに加えると手づくりドレッシングの酸味がやわらぎます。また、サニーレタスのほかに栄養価の高いケールやブロッコリースーパースプラウトもよく使います。お好みで手作りドレッシングにハーブソルトを加えてもおいしいです。また、押し麦はもち麦で代用しても。もっちりとした食感で満足感があり、食物繊維も豊富です」(渡邉先生)
「黒酢」+「魚のオイル(さば缶)」
さばの納豆ボウル
(1人分257kcal、食塩相当量1.4g)
<材料>
黒酢…小さじ1
さば水煮缶…1/2缶(約80g)
納豆…1パック
塩昆布…2g
万能ねぎのみじん切り…適宜
<作り方>
納豆をよく練り、黒酢を加えてふわっとするまで練り混ぜる。塩昆布を加えてひと混ぜし、器に盛る。さば缶を汁ごとのせ、万能ねぎをのせる。
<コメント>
「納豆に、黒酢と良質なオイルが豊富なさば缶を混ぜて。さば缶の汁にはオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれているので、汁も一緒にいただくのがコツです。今回はほどよいうまみと塩気のある塩昆布を加えましたが、塩分が気になる人は省いても。また、納豆にお酢を加えることにより、素材の味が引き立ちおいしくいただけます。ごはんがなくても満足できますよ」(渡邉先生)
今までお酢とオイルを意識して一緒にとったことがないという人も、ぜひお試しあれ!
文/FYTTE編集部