卵や乳製品も含めて動物性食品を一切とらないヴィーガン。そんな食生活を送ることは健康によさそうですが、思わぬ落とし穴もあるようです。いくつかの栄養素が不足しやすいために、それらを補うための食品やサプリメントを定期的にとる必要があるようです。
Contents 目次
特に若者の間で増加
米国では最近、動物性食品を一切とらないヴィーガン食が人気。一般的なベジタリアンよりも食べることのできない食材の範囲が、肉や魚ばかりではなく、乳製品や卵などにも広がっていることが特徴です。女性をはじめとくに若い年齢層の人たちに広まっています。
その理由としては、宗教上の制限があるほか、環境を守ろうという考え方の広まりがあります。食肉を作るための環境負荷をできるだけ小さくしていこうという意識が強まっているのです。
そんな中、過去の研究を調べてヴィーガンの栄養や健康状態について検討した研究結果がアメリカから報告されました。
そもそも菜食は、健康によいとされている「食物繊維」「葉酸」「ビタミンC」「ビタミンE」「カリウム」「マグネシウム」「ファイトケミカル(野菜や果物に含まれる植物性化学成分)」「不飽和脂肪酸」が多いため、健康によい効果がたくさんあります。しかも、ヴィーガンはほかのベジタリアンに比べても、健康への悪影響が指摘される「飽和脂肪酸」と「コレステロール」が少ないのです。そのためにやせ型の人も多く、コレステロール値が低かったり、血圧も低めだったりして、心血管疾患のリスクも低くなります。
食品の選び方が大切
ただし、いいことばかりではないというのが、研究グループが問題としているポイントです。動物性食品を全くとらないため、一部の微量栄養素が不足する傾向があり、特に「ビタミンB12」「ビタミンD」「カルシウム」「オメガ3系不飽和脂肪酸」の不足が懸念されています。
今回、おすすめするのは、ここで不足しがちと挙げたビタミン類などの栄養素に加えて、ベジタリアンが不足しやすいと言われている「亜鉛」について、それぞれを強化した食品(シリアルや豆乳など)やサプリメントをとることです。
さらに、ベジタリアンが不足しやすいと考えられている「鉄分」については、普通の食生活の人と同様にとるとよいでしょう。
一般的に、ベジタリアンは心血管疾患、肥満、2型糖尿病、一部のがんになりにくいと考えられています。
ヴィーガンの食生活を送るときには、ここで示したような食事に気を遣って、栄養不足を補うとよさそうです。そうすると、より健康へのよい影響を大きくできるかもしれません。
<参考文献>
Craig WJ. Health effects of vegan diets. Am J Clin Nutr. 2009;89:1627S-1633S. doi: 10.3945/ajcn.2009.26736N. Epub 2009 Mar 11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19279075