「グルタミン」と聞いて、具体的にどんなものか正しく答えられる人は少ないのではないでしょうか。「うまみ調味料に入っているよね」と思った人、間違いです! それは「グルタミン酸」。グルタミンとよく似た構造ですが、まったくの別物です。
グルタミンの優れた効能と摂取方法について、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生にうかがいました。
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グルタミンは非必須アミノ酸のひとつ
グルタミンは、私たちの体のあらゆる部分の材料になる「アミノ酸」の1種。人間の体は20種類のアミノ酸で作られています。その内、体内で合成できないアミノ酸を必須アミノ酸、合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸と呼び、グルタミンは非必須アミノ酸に含まれます。グルタミンは体内でもっとも豊富に存在するアミノ酸で、筋肉中では60%も占めるとされています。
体内にたくさんあり、合成もできる。それなら食事やサプリメントで補う必要はない、と思われるかもしれません。ところがそうではないのです。まず、グルタミンの体内での主な働きを挙げてみましょう。
グルタミンはどんな働きをするの?
グルタミンは体内でさまざまな役割を持っています。
「まず、非必須アミノ酸というのは、あるアミノ酸が不足したときに別のアミノ酸が代わりに使われることがあるのですが、このとき、もっとも利用されるのがグルタミンです。それから、筋肉は基本的に合成しやすい特徴を持っていますが、グルタミンはその合成をさらに促し、筋肉の分解を抑える力もあります。この点、ダイエットに効果があるということですね。いちばん大切なのは、小腸の主要なエネルギー源となること。小腸は栄養を吸収する入口です。小腸が不調だと、食べているのに栄養がしっかりとれないということが起こります。また、小腸にはパイエル板という大きなリンパ節があり、有害なウィルスなどを防いでいます。つまり小腸が弱ると免疫力も衰え、それらが体内に容易に深く侵入できてしまうわけですね。小腸のエネルギーとなって元気にしてあげるグルタミンがいかに重要であるか、理解できるかと思います」(桑原先生)
これだけ活躍するグルタミンは消耗も激しい!
上記のような多様な活躍をするだけあって、グルタミンには非常に消耗が激しいという特徴もあります。ハードな運動をしたときは急激に減少しますし、風邪を引いたりケガをしたり、さらにはストレスを感じたりするだけでも減ってしまうので、体内の合成が追いつかない場合があります。ですから定期的に補充してあげる必要があるのです。
小麦粉、海藻、大豆などの食品に含まれてはいますが、グルタミンを食事から大量に効率よく摂取するのはなかなか難しいので、サプリメントを活用するのがいいでしょう。
「体内にたくさんあるからと、グルタミンのサプリメントにありがたみを感じない人も多いのですが、現代人は日々ストレスにさらされていているでしょう? 体のグルタミンは常に減るようにできている、と考えるべきなんですね」(桑原先生)
グルタミンを摂取するタイミングは?
「基本的にはいつ摂取してもかまいません。筋肉の疲労回復のためにトレーニング後に飲むのももちろん正しいです。おすすめは、起床時と就寝前。睡眠中というのは飢餓状態が続くようなものですから、朝起きてすぐは抵抗力を失っています。ですので、グルタミンを飲んで小腸を元気にして免疫力を高めてあげる。寝る前は逆にこれから飢餓状態に入るので、腸にエネルギーを与えてあげる。とても理にかなった飲み方です」(桑原先生)
身体面でもメンタル面でも大切な成分であるグルタミン。上手に生活にとり入れていきたいですね。
文/鈴木みずほ