ストレスはできれば避けたいというのは誰しも同じ。仕事、人間関係、ふだんの生活など、ストレスを招くものは周りにあふれています。ストレスで問題になるのは、眠れなくなったり、気分が落ち込んだり、心の健康はもとより、体の健康にまで影響しかねないこと。体重の増加は大きな問題のひとつです。実際、その影響はどれほどなのでしょうか。海外の研究グループが研究を発表しています。
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空腹感がシャットダウンされてしまう
ストレスを受けると、どうして食べ過ぎてしまうのかは、最近になってはっきりとしてきました。
それを調べたのが、米国ハーバード大学の研究グループです。簡単に言うと、ストレスを感じていると、空腹感がシャットダウンされてしまい、いつまでも食べてしまうのです。
研究グループが調べたところ、そうした問題が起きてしまうのはホルモンの影響だそう。体内でアドレナリンと呼ばれるホルモンが増え、この影響で、体内の交感神経と呼ばれる神経が働くのです。交感神経は、危険を察知すると働くことで知られていますが、この神経の働きで気持ちが高ぶり、困ったことに、おなかが満たされなくなるのです。結果、食べ過ぎに。
最近では、フィンランドの研究グループも、こうしたストレスからくる食べ過ぎが、太りすぎの大きな原因になるとして注意を促しています。10代の男女7000人近くに上るデータを分析したところ、女性では43%、男性では15%で、ストレスから来る食べ過ぎが確認されました。日本と海外では、状況はもちろん違いますが、特に女性で食べすぎが問題になりやすい可能性があるそう。
食べ過ぎの防止に、ストレスを軽くする3つの工夫
フィンランドの研究では、ストレスによる食べ過ぎに陥っている場合、女性では、喫煙や睡眠不足などの生活習慣が多く見られることもわかりました。甘いものをよく食べるような傾向も。男性の場合も、同じように甘いものやピザなどの高カロリーな食品をよく食べていることがわかりました。こうした結果を受けて、研究グループは、意識的にストレスに対処するのが重要だとまとめています。
一方、前出のハーバード大学の研究グループは、食べ過ぎを防ぐための3つの工夫を提案しています。
そのひとつが瞑想です。目を閉じて雑念を取り払い、静かに想像をめぐらせていきます。そうするとストレスをうまく解消することできて、ひいては食べ過ぎを防げるといいます。
さらに運動も効果的です。運動することで、ダイエットにつながるというのはわかりますが、ストレスの悪影響も軽くしてくれるということ。さらに、友だちや家族とコミュニケーションをとることもストレスを軽くするには効果的だと指摘します。やはり食べ過ぎを防いでくれるようです。
こうした3つの工夫を、ストレスの感じられるときどきに取り入れると、食べ過ぎを防ぎ、肥満を予防することができるかもしれません。
<参考文献>
Why stress causes people to overeat,Updated: July 18, 2018
https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/why-stress-causes-people-to-overeat
BMC Public Health. 2014 Apr 7;14:321. doi: 10.1186/1471-2458-14-321.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3995503/
https://www.medicalnewstoday.com/articles/325056.php