お肉ブームと言われるほど、日本でもお肉を売り物にしたレストランをよく見かけます。お肉をいつでも口にしたいという人も多いかもしれません。でも食べ過ぎには要注意。ふだんは考えることがないかもしれませんが、がんとつながる食習慣にお肉の食べ過ぎがあるかもしれないのです。女性で増えているがんとの関係も指摘されており、その関係が注目されます。
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日本の女性で身近になる大腸がん
女性のがんというと乳がんが気になりますが、日本の女性の場合に死亡の原因として乳がんよりも多いのが大腸がんです。大腸がんによる死亡はここ50年間、女性もそうですが、男性でも増加し続けているのです。大腸がんにかかる人も増えており、女性では乳がんに次いで発見される人も多いがんになっています。
これだけ増えている背景にあるのが食生活です。WHO(世界保健機関)によると、大腸がんと関係する食品として注目されているのがお肉です。まず注意が促されているのが、ソーセージなどの加工されたお肉。さらに、加工された肉でなくても、赤身のお肉も問題になる可能性があるとされました。
こうした関係がわかってきたのは、食生活についてのデータの分析が進んだからです。おおむね1990年代までのデータがそうした発見につながりました。
このたびオックスフォード大学などの研究グループがあらためて2006〜2010年の英国全土の50万人近く(40〜69歳)を対象に行われた調査のデータを使い、大腸がんと食品との関連について分析結果を発表しました。
調べられた食品は、赤身肉や加工肉、アルコールのほか、魚、乳製品、食物繊維を含んだ食品などです。
加工されたお肉はとくによくなさそう
今回の調査からも、加工されたお肉をはじめ、お肉を多く食べると、大腸がんになりやすくなってしまうことが確かめられました。
まず、加工された肉の摂取量が増えるほどに、大腸がんの危険が増していました。1日25 g(ベーコンまたはハム1枚分)増えるごとに、大腸がんは19%増。同じように加工されていなくても赤身のお肉は注意が必要で、赤身のお肉が1日50 g(厚切りのローストビーフ1枚またはラムのカツ1枚)増えると、大腸がんは18%増えていました。
何かお肉を週4回以上(1日平均76 g)食べていたグループと、週2回未満(1日21 g)のグループとを比べると、週4回以上のグループは大腸がんが20%増えていたのです。
このほか問題になるのは飲酒で、アルコールの摂取量が1日10 g(アルコール分4.5%のビール約250 mL)増えると、大腸がんは8%増えていたのです。
一方で、大腸がんが減る食習慣も認められました。それはパンや朝食用シリアルからの食物繊維。それらを多く取っている人は大腸がんが少なかったのです。ただし、不思議なことに、フルーツや野菜からの食物繊維では減りませんでした。大腸がんと無関係だったのは、魚、鶏肉、チーズ、果物、野菜、紅茶やコーヒーの摂取でした。
ハム3枚以上くらいの量のお肉を定期的に食べていたり、よくお酒を飲んだりする人は大腸がんの検査を意識的に受けるようにするとよいかもしれません。
<参考文献>
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
Bradbury KE et al. Diet and colorectal cancer in UK Biobank: a prospective study. Int J Epidemiol. 2019 Apr 17. doi: 10.1093/ije/dyz064. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30993317