肌の状態は、見ため年齢を左右するポイントのひとつです。10代は弾力やハリがあった肌も、30代を過ぎるとじょじょにシミやシワが出てきて、肌の調子が気になりはじめます。若い頃のような弾力のある肌をとり戻すべく、肌の老化の仕組みと予防法について、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に教えていただきました。
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■糖質の過剰摂取にご用心!
10代、20代のときはハリがあって化粧のノリがよかった肌でも、30歳を過ぎて衰えが見え始めるのは、体内で起こる“ある反応”によるものです。
「ある反応とは、糖化です。糖化と聞いてもピンとこないと思うので、わかりやすく説明しましょう。
お菓子のキャラメルは、ご存じですよね。キャラメルは、製造過程で熱せられる際に糖とたんぱく質が反応してできたものです。この反応を、メイラード反応といいます。
では、みなさんは糖化が体内でも起きているのをご存じでしょうか。過剰に摂取してしまった糖質が、体温により体の皮膚や血管、骨などのタンパク質と反応して糖化が起こるのです」(桑原先生)
糖化が進行して変性すると、AGEs(糖化最終生成物)という物質になります。このAGEsは肌に悪影響を及ぼしているのだとか。
「AGEsは、糖とたんぱく質(炭水化物)との反応によって起こるものですが、つねに糖質が過剰な状態といったような不摂生な食生活を送っていると、じょじょに体内に蓄積されていきます。すると、肌のシミやシワ、たるみといった衰えを招くことになります。
お肌の材料でもあるコラーゲンは、細いコラーゲン(たんぱく質)が三重のらせん構造に絡み合い、それがたくさん集まって太いコラーゲン繊維になります。しかし、コラーゲンは構造の安定性がよくないので、バラバラにならないために“架橋構造”という作りになっています。
AGEsは架橋構造の間に入り込んで、コラーゲン繊維を固くする性質があります。それにより、肌は弾力性を失い、ハリやツヤが低下するのです」(桑原先生)
■糖化の進行が肌老化を引き起こす
年齢と共に肌の調子が落ちるのは、このような理由からだったのですね。
食べるものを選ぶにも、しっかり考える必要がありそうです。
体内にどれくらいの糖があるかは、血液検査でわかります。ただし、糖質制限の食事をしたからといって、すぐに結果が出るものではないのだとか。
「体内の糖の量を知る上での指標になるのが、赤血球内のHbA1cです。HbA1cは、ヘモグロビンと血液中のブドウ糖がどれだけくっついたかがわかる数値のことで、この数値が高いと体内の糖化が進行しているということになります。数か月の血糖値の状態が検査結果として出るので、検査の直前だけ糖質制限しても意味がありません。
甘いものが好き、お菓子のつまみ食いが多いなど、GI値が高い食生活の人は、日頃から血糖値を気にしましょう」(桑原先生)
■食事を見直してポリフェノールを利用しよう
肌に若さをとり戻したいのなら、抗糖化を意識することが大切です。では、抗糖化にはどのような方法があるのでしょう。
「肌へのダメージを考えるのであれば、AGEsをできるだけ作らないように気をつける必要があります。まずは、日頃の食生活を見直しましょう。過剰な炭水化物の摂取をやめて、適度な摂取を心がけることをおすすめします。また、トレーニングも体の糖を使用するので、ぜひとり入れてほしいですね」(桑原先生)
肌の状態を整えるにはコラーゲンが有効だということは、みなさんも知っての通り。では、抗糖化によい成分はあるのでしょうか。
「お肌の材料という意味ではコラーゲンペプチドを抗糖化には、コラーゲンを含むサプリメントをとり入れるのもいい方法です。ただし、サプリメントを使用する場合、すぐには効果が表れないので、2か月以上は継続するようにしましょう。
コラーゲンはアミノ酸からなるたんぱく質の一種で、皮膚、骨、血管など、全身の3分の1を占めています。健康な肌を保つのにとくに必要なアミノ酸は、非必須アミノ酸のプロリンです。プロリンに水(水酸基OH)が加わると、ヒドロキシプロリンという特殊なアミノ酸となり、これが肌に弾力やうるおいをもたらします。肌にはビタミンCがよいと言われますが、これは、プロリンに水をくっつけるのに必要な酵素を活性化させるのが、ビタミンCだからなのです。そしてもうひとつとり入れる価値があるのが、マンゴスチンの果皮に含まれるポリフェノールです。このポリフェノールに糖化を防ぐ可能性が示唆されているからです」(桑原先生)
老化は、ゆっくりとやってきます。そのため、抗糖化をあと回しにしてしまいがちです。若いときはピチピチだった肌が、気づいたときには、お肌にうるおいがなくなってカサカサ」なんてことにならないように、30代になったらライフスタイルのひとつとして、抗糖化をとり入れましょう。
文/マルヤマミエコ