緑茶のうまみのもとになる「テアニン」という成分は、人間と動物の両方で抗ストレス効果が認められています。この働きは、緑茶に含まれているカフェインによって妨げられる可能性があるようです。カフェインを減らした、デカフェの緑茶の効果を調べてみたところ、普通の緑茶より高い抗ストレス効果が見られたのです。
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緑茶のテアニンを多めに
健康によいさまざまな成分を含む緑茶。主な成分はカテキン、カフェイン、アミノ酸で、アミノ酸の中で最も多いのが、抗ストレス効果が認められているテアニンです。このテアニンのおかげで、緑茶を飲むとリラックスできているわけです。
一方で、そんなテアニンのリラックス効果は、同じように緑茶に含まれている成分であるカフェインによって妨げられることが知られています。カフェインは睡眠の質にも影響してきます。
このたび静岡大学などの研究グループが、緑茶からカフェインを除いたらどうなるかを分析することにしました。ふだんから緑茶を飲んでいる20人(平均年齢51歳)に、カフェイン成分を減らした緑茶と普通の緑茶を1週間ずつ飲んでもらって、抗ストレス効果と睡眠の質に与える影響について比べたのです。どちらを飲んでいるかは、参加者にも研究者にもわからないようにしました。
カフェインを減らす方法としては、茶葉を熱湯処理してカフェインの含有量を普通の4分の1~5分の1に減らすという方法です。そうしたデカフェの緑茶を用意し、さらに室温の水で溶出することで、カフェインやカテキンよりもテアニンが多く溶け出すようにしました。人によって飲む緑茶のタイプは違うわけですが、毎日300 mL以上飲んでもらうようにしました。
抗ストレス効果は、唾液内の「αアミラーゼ」というでんぷん分解酵素の量で調べました。この酵素はストレスがかかると量が増えることが知られているからです。
睡眠の質もアップ
こうしてわかったのは、カフェインを減らした緑茶を飲んだ場合のほうが、普通の緑茶よりαアミラーゼの量が低くなるという結果でした(カフェインを減らした場合は64.7 U/mL、普通の場合は73.9 U/mL)。デカフェのほうが、ストレスは軽くなったと考えられたのです。
さらに、睡眠の質は、試験期間中に3日間、睡眠時に脳波計をつけてもらって推定しましたが、カフェインを減らした緑茶をたくさん飲んだ人のほうが睡眠は深くなり、睡眠の質がよくなっていることがわかりました。
疲れのたまり具合もアンケートしており、カフェインを減らした緑茶を飲んだ場合のほうが、月曜に疲れたと感じる程度は低くなっていました。
こうした結果から研究グループは、カフェインを減らした緑茶は、ストレスを軽くし、睡眠の質をよくすると説明しており、緑茶のカフェインを減らすことで、抗ストレス作用を高められると結論しています。
ストレスが気になる人などは、カフェインを避けるような工夫をするとよいかもしれません。
<参考文献>
Nutrients. 2017 Jul 19;9(7). pii: E777. doi: 10.3390/nu9070777.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28753943
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5537891/