夏になると、なんとなく体調が悪くなる―――それは「冷え」のせいかもしれません。じつは、夏こそ「冷え」に注意が必要って、知っていましたか? 冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、「夏冷え」の原因と症状についてうかがいました。
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エアコン、薄着、冷たいドリンクが“夏冷え”の原因
夏は気温が高いし、近年は猛暑や酷暑も当たり前。「冷え」なんて関係ないのでは? と思うかもしれませんが、「じつは、秋冬より夏の体のほうが冷えやすい」と石原先生は言います。
「エアコン、薄着、冷たい飲み物(食べ物)が三大原因です。夏は外気温は高くても、室内はエアコンが効いて寒いくらいです。それなのに薄着で、アイスコーヒーなど冷たいものを飲む機会も多く、体が冷えきってしまうのです」(石原先生)
“夏冷え”の特徴は、“内臓の冷え”です。それによって胃もたれ、便秘、下痢、月経痛・月経不順、不眠など、さまざまな症状が出ます。
かつては、夏バテといえば、暑さで不眠になったり、食欲が落ちることで体がまいってしまうことが多かったけれど、「現代の夏バテは、冷えバテといえますね」と石原先生は話します。
体が冷えると血液循環が悪くなる
なぜ、冷えはさまざまな不調を招くのでしょうか。
「体が冷えると血行が悪くなるからです。内臓も皮膚も、血液が運んでくる栄養、水分、酸素で元気になります。不要な老廃物などを回収するのも血液の役目。血行が悪ければ、体のすみずみに必要なものが行き渡らず、不要なものが回収されないというわけです。そのため、体のあちこちに不調が出てくるのです」(石原先生)
手足の指先など末端まで血液が行き渡らなくなると、毛細血管が萎縮して、やがて消失する“ゴースト血管”を招くことも。手足の冷えがひどくなる原因にもなります。
医学的には、平熱は36.5〜37.2℃と定義されています。「36℃未満であれば“冷え”といえるでしょう」と石原先生。しかし、最近では、平熱が35.8~36.2℃という人も多いとか。平熱が低いと、体温を上げるための消費するエネルギー量も少なくなり、やせにくい体にもなってしまいます。
冷えは、放っておくと、マイナスの影響が多いことがわかりますね。
冷え体質を作るNG生活パターンとは?
ここで、冷え体質を作るNGライフスタイルを見ていきましょう。
NG行動:体を動かすのが面倒くさい
⇒「体温のもとになる熱を作り出すのは、筋肉です。移動や家事など便利さに頼って、体を動かさないことが“冷え体質”になってしまう一番の原因です」(石原先生)
NG行動:水を毎日2リットル飲むようにしている
⇒「冷えで血行が悪くなると、水分の代謝も悪くなるため、水を必要以上に飲んでしまうと、汗や尿で排出されず、体のたまってしまいます。冷却水という言葉があるように、体にたまった水は、体を冷やす原因になります」(石原先生)
NG行動:サラダなどで生野菜をたくさん食べる
⇒「生野菜は水分が多く、体を冷やすもとです」(石原先生)
NG行動:食後には、スイーツを食べないと気がすまない
⇒「東洋医学では、白くてフワフワした食べ物は、体を冷やすとされています。例えば、シュークリーム、ソフトクリーム、生クリームたっぷりのショートケーキなどです。また、精製された白いもの――白砂糖、白米、小麦粉も体を冷やします」(石原先生)
NG行動:減塩に気をつけている
⇒「塩には体を温める効果があり、過度な減塩は、冷えのもとになります」(石原先生)
NG行動:仕事や子育てで、ストレスがいっぱい
⇒「ストレスは、自律神経の交感神経の働きを高めます。それによって血管が収縮するため、血行が悪くなってしまいます」(石原先生)
どうでしたか。思い当たることがあった人は、冷え体質になっているかも。生活を改善していきましょう。
取材・文/海老根祐子