炭水化物をできるだけ食べないようにと、お肉を食べる機会が増えている人も多いかもしれません。確かにおいしいお肉を食べると元気が出てきます。でも、ついつい食べ過ぎてしまうことには注意が必要かも。お肉を多く食べるほどに、逆に体に悪いといわれることも増えてきました。国際研究グループがこのたびデータを新たに分析しています。
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肉ブームだけれども…
日本では肉ブームといわれることがよくあります。赤身肉や熟成肉などが人気のレストランが目立つようになりました。もともとお肉は脂肪が多くて健康にあまりよくないと思われたところもありました。しかし、カーボダイエット、ケトダイエットなど、炭水化物や糖類などを避ける炭水化物制限や糖質制限などが知られるようになって、たんぱく質が豊富なお肉がむしろヘルシーだと考えられるようにもなりました。
本当にお肉がそんなに食べられているのかを農林水産省の統計で確認すると、ここ数年、日本では牛肉や豚肉の消費量が増加。日本でのお肉人気は高まっているといえそうです。
一方で、お肉もそればかり食べるのは気をつけたほうがよさそうだとも依然としていわれています。米国ハーバード大学を含めた国際研究グループが、このたびお肉を食べることの健康に対する影響について分析をしています。
お肉を食べつつ魚や野菜なども増やすのが大切
この研究グループはこれまでもお肉をはじめとした食事と病気との関係について調べてきた有名なチーム。このたび1986年~2010年の四半世紀にわたるデータからお肉と病気との関係について分析しています。調べたのは、もともと病気を持っていない女性5万3553人と男性2万7916人。4年に1回のアンケートで食品の摂取頻度を確認しています。調査期間に亡くなった人は、女性は8426人、男性5593人でした。
24年間の研究を「1986~1994年」「1994年~2002年」「2002年~2010年」の3つの期間に分け、それぞれ8年間の食生活がその後の死亡にどのように関係しているのかを分析しました。
すると、8年間、週に食べるお肉の量が多くなるほど、次の8年間の間に死亡するリスクが高まるということがわかりました(週3.5人前が増えると10%増加)。ベーコンなどの加工された肉はさらに影響が大きいという結果に(13%の増加)。リスクの上昇は年齢に関係なく、運動や喫煙などの影響でもないとのこと。
ただ、毎日のお肉を魚に替えるだけで、死亡リスクは17%も低下。ナッツ、皮を除いた鶏肉、乳製品、卵、全粒穀物、野菜で置き替えても死亡リスクは低下しました。バランスよく食べるのがやっぱりいいということでしょう。
<参考文献>
Increasing red meat intake linked with heightened risk of death
https://www.bmj.com/company/newsroom/increasing-red-meat-intake-linked-with-heightened-risk-of-death/
BMJ. 2019 Jun 12;365:l2110. doi: 10.1136/bmj.l2110.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31189526
文/星良孝