夏になると、なんとなく体調が悪くなる―――それは「冷え」のせいかもしれません。じつは、夏こそ「冷え」に注意が必要って、知っていましたか? でも、冷えは生活に運動をプラスすることで改善できます。冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、「夏冷え」を解消する方法についてうかがいました。
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筋肉を鍛えれば、体温が上がって、冷え解消
冷え体質の改善には、ズバリ筋肉をつけることです。
「体の中から温めるには、筋肉を動かすことが大事。体温のもとになる熱の4割は筋肉で作られているので、鍛えて筋肉量を増やせば、“自家発電”のように熱が作られ、体温が上がります」(石原先生)
では、どんな運動がよいのでしょうか。
「筋肉の7割は下半身に集中しています。ヒップ、太ももなど大きな筋肉を鍛えることが、効率よく筋肉量を増やすことがコツです」(石原先生)
石原先生がすすめるのは、ヒップと太ももを同時に鍛えられるスクワット。
「まずは一日30回を目安に。負荷をかければかけるほど筋肉は鍛えられるので、慣れてきたら、回数を増やしたり、水を入れたペットボトルを抱えるなど重さをつけて行ってみましょう。『ちょっとつらいな』と感じるところまで頑張ると効果が上がります」(石原先生)
筋トレは、すき間時間を利用すると、無理なく続けられます。電車の中でつま先の上げ下ろしをしたり、エレベーターを待っている間に、壁に手をついて腕立て伏せをするなど、“ちょいトレ”を習慣にしましょう。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を加えると、さらに血流アップが期待できます。
「暑くて運動する気になれないなら、部屋で足踏みをするだけでもOKです。大きく足を上げるのがコツで、3分間続けるだけでも、けっこうな運動になります。これならテレビを見ながらでもできるはず。平日は筋トレを中心にして、週末にウォーキングやプールで泳ぐという方法でもいいでしょう。大事なのは運動を続けることです」(石原先生)
朝晩のストレッチで“内臓冷え”を撃退
夏の“内臓冷え”には、ストレッチも有効です。
「体を伸ばすストレッチで筋肉や関節がほぐれると、血流がよくなって、体が温まり、内臓の働きがよくなります。朝と夜の一日2回、ストレッチを行うといいでしょう」(石原先生)
石原先生がすすめる朝ストレッチと夜ストレッチを紹介します。
朝ストレッチ【全身と下半身のストレッチ】
目が覚めたら布団の中で行う。全身をグーッと伸ばしたら、ひざを立てて、左側に倒し、腰にひねりを加える。右側も同様に。
夜ストレッチ【股関節のストレッチ】
夜寝る前に行う。床に座り、ひざを曲げて、足裏を合せる。股関節を開いた状態で、上体を前に倒す。4~5回くり返す。
できれば、オフィスでも!
オフィスでストレッチ【上半身ひねり】
イスに座った状態で、息を吸いながら上半身を左側へひねる。その状態で息を止めて5秒間静止。息を吐きながら元に戻す。右側も同様に。
※ひねったときに血液が流れにくくなるが、元に戻るときに一気に流れ出すことで、血のめぐりがよくなる。
ちなみに、石原先生は、「入浴前にスクワットで体を温める⇒湯船につかって汗をかいて代謝をアップ⇒入浴後にストレッチ&腹式呼吸」をワンセットにして、毎日続けているそうです。「寝る前の腹式呼吸で、入眠もスムーズになりますよ」(石原先生)
運動を一日のルーティーンに加えて、夏冷えを解消しましょう!
取材・文/海老根祐子 イラスト/黒川ゆかり