夏になると、なんとなく体調が悪くなる―――それは「冷え」のせいかもしれません。じつは、夏こそ「冷え」に注意が必要って、知っていましたか? でも、冷えは食生活を見直すことで改善できます。冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、「夏冷え」を解消する<食事>についてうかがいました。
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体を冷やす食べ物、体を温める食べ物
東洋医学の考え方では、体を冷やす食べ物を「陰性食品」、体を温める食べ物を「陽性食品」としています。
「夏の冷えには、陰性食品はNG。陽性食品を積極的にとることが大切です」(石原先生)。
では、陰性食品、陽性食品には、どのようなものがあるのでしょうか。
【陰性食品】
○色が白、青、緑のもの
○夏が旬のもの、南で獲れるもの
例えば……
野菜:きゅうり、トマト、ナス、葉物野菜、もやし、大根
果物:すいか、バナナ、パイナップル、マンゴー、キウイ、グレープフルーツ、メロン
炭水化物:白米、うどん、白パン
たんぱく質:牛乳、豆乳、豆腐、白ごま、白身魚
飲み物:ビール、白ワイン、コーヒー、緑茶
調味料:白砂糖、酢、マヨネーズ
困ったことに、きゅうり、トマト、すいかなどの夏野菜、果物、ビールや白ワインなど、夏に食べたい、飲みたいものは、体を冷やす陰性食品なのです。
石原先生は、「陰性食品は、陽性食品と組み合せれば中性に。組み合わせを工夫すれば、陰性食品も食べてOKです」とアドバイスします。
陽性食品は、以下の通りです。
【陽性食品】
○色が赤、橙、黒のもの
○冬が旬のもの、北で獲れるもの
例えば……
野菜:にんじん、かぼちゃ、ごぼうなどの根菜類
果物:りんご、さくらんぼ、ぶどう、プルーン
炭水化物:玄米、そば、黒パン
たんぱく質:納豆、黒ごま、赤身魚、魚介類、チーズ
飲み物:黒ビール、赤ワイン、梅酒、紅茶、ココア
調味料:黒砂糖、塩、みそ、しょうゆ
その他:ナッツ、トウガラシ、シナモン
では、おすすめの組み合わせは?
「例えば、きゅうりは塩もみしたり、みそをつけて。スイカやトマトを食べるときも、塩をかけるといいでしょう。また、ビールや白ワインを飲むときも、つまみにチーズや魚介、赤身魚などの陽性食品を組み合わせたいですね。最初の1杯はビールを飲んだら、2杯目は梅酒にするなど、飲み方も工夫して」(石原先生)
塩分の控え過ぎに注意
夏は汗をかくことによって、ミネラル分が体内から失われやすくなります。「世の中は、減塩ムードですが、塩分の控え過ぎには要注意」と石原先生。
「塩分は、人間の血液、胃液、汗、尿など人間の体液には必ず含まれています。本来、塩は体を温める陽性食品として、欠かせないもの。もちろん、とりすぎはNGですが、控え過ぎも冷えを招くもと。一日に一杯はみそ汁を飲むなど、じょうずに塩分をとりましょう」(石原先生)
白くてフワフワした、あの魅惑のスイーツはNG?
色の濃いものは陽性食品が多く、体を温めます。スイーツでいえば、チョコレート、ココア、あずき、黒飴、黒砂糖、プルーンなどです。スイーツが食べたくなったら、これらが原料のものがおすすめです。
注意したいのは、白くてフワフワしているものです。
「ソフトクリーム、シュークリーム、ショートケーキなどです。これらは、小麦粉、牛乳、生クリーム、白砂糖などの陰性食品を原料にするものが多く、体を冷やしてしまいます。でも、こうしたスイーツが好きな女性も多いことでしょう。スイーツを食べるときも組み合わせが大事。体を温める飲み物――紅茶、ルイボスティーなどと一緒にいただきましょう」(石原先生)
冷え対策に、あれもダメ、これもダメと考えるとつらいですが、組み合わせしだいで好きなスイーツもOKなら、続けられそうですね。
エアコンの効いた室内にいるときの水分のとりすぎに注意
夏は、熱中症対策で水分をとることが大切です。でも、とり方を間違えると冷えの原因になります。
「屋外にいて、汗をかいて、のどが渇くときは、ガマンせずに水分をとりましょう。ただ、エアコンの効いた屋内にいるときに水分をとり過ぎると、むくみや水太りを招き、体にためこんだ水分で、さらに冷える原因になります。“水は毎日2リットル飲むといい”という説もあるようですが、2リットルは飲み過ぎといえます」
夏は、水分をとるときには、ほんの少し塩分や糖分が入っているものがおすすめです。
取材・文/海老根祐子