真夏の暑さで運動するのが億劫になり、体を動かす機会が減っていませんか? 運動する人としない人では、睡眠の質が変わってくるそうです。今日は睡眠コンサルタントの友野なお先生に、快眠のための運動と時間について教えていただきました。
Contents 目次
夏の快眠力を高める「運動習慣」
暑い夏や寒い冬はつい体を動かす機会が減ってしまいがちになりますが、日常的に運動を行っている人は、運動習慣がまったくない人に比べると、深い眠りに入れることが多いことが明らかになっています。
これは、運動の実施などで積極的に疲れることで体の内部環境を常に一定な状態に保とうとする機能の働きである「恒常性維持機構(ホメオスタシス)」が働いて眠気が訪れるためです。
もうひとつの理由は、運動することで体温が上昇し、そのあと休息モードに切り替わる段階で体温が下降するその落差で眠気が訪れるというメカニズム。しかし、ただやみくもに運動をすればよいというわけではありません。
快眠につながるための運動は、体温が最も高い19時前後に行うということが非常に重要になります。この時間帯は運動のゴールデンタイムとも呼ばれていますが、体温が1日の中で最も高く、覚醒レベルがとても高いため「睡眠禁止帯」とも呼ばれているのです。
19時前後に30分程度、強度は高すぎない内容でも大丈夫。運動は「習慣化」させることが大事なので、いきなりつらすぎたりハードルが高すぎる運動はしないようにしましょう。運動が苦手な人は、まずは自分で「これなら続けられる」と思うものから始めてみるのがおすすめです。
なかなか運動のために時間を確保できない場合は、帰宅する際にひと駅分歩くといったような、日常の生活の中にムリなく落とし込める内容にしてください。最近では24時間オープンジムなども増えていますが、快眠の点から考えると21時以降の運動はおすすめできません。せっかく体が休息モードになる準備を始めているのに、そこで運動をしてしまうと交感神経が優位になってかえって眠気が遠のいてしまうからです。
残業後はジムに通ったり、ジョギングをしたりするなど汗をかくような激しい運動は避け、自宅にてストレッチをしたり、ヨガをしたりするようにしましょう。ノー残業デーやプレミアムフライデー、仕事が早く片づいた日、休日などはぜひ、さわやかな汗を流していただきたいと思います。
ちなみに、朝の運動はおすすめできません。朝は体温がまだ十分に上がっていませんし、脳もまだ完全に目覚めていないため、筋肉や神経へうまく指令が伝わらず、体がスムーズに動かない状態であるため、朝は運動するのに最も向かない時間帯なのです。それに、朝は血圧の状態が極めて不安定で、脳卒中や狭心症などを大変引き起こしやすいので、健康を阻害するリスクがとても高く、危険です。
大人の場合は「朝活」、小中校では「朝練」がありますが、まだ体が十分に動く状態になっていない中ではケガのリスクもありますし、朝に一気に上がった体温がその後低下する過程では眠気が襲ってきますので、昼間のパフォーマンス低下につながる可能性があります。
運動は「習慣化すること」、そして「実施する時間を意識すること」を心がけ、快適な眠りを得てくださいね。