運動を続けると、それまで運動していなかった人であったり、病気があったりしたとしても、寿命にまで影響してくるそう。程度はそれほど激しくなくてもよく、適度な運動を週に150分していることで、効果が現れるというのです。ダイエットにとどまらず、運動を続けることはやはり大切だといえそうです。
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長期間の調査データから運動量の変化を推定
運動はダイエットにもなりますし、美容にとっても大切だというのは誰しも考えること。さらにこれまでの研究によると、病気を防ぐような効果もはっきりしています。心血管疾患やがん、死亡にまで影響するのです。運動習慣を保っておくとどういったメリットがあるのかを、あらためて調査。英国ケンブリッジ大学の研究グループが、長期間にわたって運動習慣の変化が、寿命にどのように影響しているのかを分析しています。
英国で行われた大規模な調査「欧州がん・栄養前向き研究(EPIC)」の1万4599人のデータです。2004年までの平均7.6年間の3回の身体検査、ライフスタイルなどについてのアンケートから運動の効果を調べたのです。
仕事中の活動量(座りがちなデスクワーク、肉体労働など)とレジャーでの活動量(サイクリングやスポーツ、レクリエーション活動など)を合わせて運動量を計算し、心拍数をもとに個人差を調整して「身体活動エネルギー消費量」を割り出しています。
その上で、2004年から2016年まで平均12.5年にわたって追跡調査をして、過去の運動量の変化と死亡リスクとの関係を調べました。
病気があっても同じ効果
追跡期間中に亡くなったのは1万4599人のうち、3148人でした(このうち心血管疾患が950人、がんが1091人)。運動レベルに基づいて、体重や病歴などの条件も踏まえて分析すると、運動量が多い人ほど死亡リスクが低くなるとわかりました。さらに、次第に運動量を増やした人ほど、死亡リスクが低くなる傾向も見られたのです。
身体活動エネルギー消費量を1年間に増やしていくと、死亡リスクは24%減少。死因別では心血管疾患で29%、がんでは11%低くなりました。
身体活動エネルギーの増やすべき量というのは、最初は運動していなかった人が5年かけて適度な運動を週150分くらいまでに増やすのが目安とのこと。
こうした効果は、心血管疾患やがんの病歴があってもなくても同じで、病気になっても運動をすることが大切だというわけです。
さらに、運動を増やすことで、(もともと運動をどれくらいしていたかにもよりますが)死亡リスクが24〜42%下がりました(もともと運動量が多かった人が最も下がりました)。
また、人口全体で考えると、週150分ほどの運動を維持すると、運動不足に関連して亡くなるケースの46%を防ぐ可能性があるそう。
研究グループは、特に病気を経験した人にとって意義があると説明しています。命にかかわるような病気を経験しても、その後の寿命を延ばせる可能性があるからです。いずれにしても、運動に取り組むことは大切だといえそうです。
<参考文献>
Keeping active or becoming more active in middle and older age linked to longer life
https://www.bmj.com/company/newsroom/keeping-active-or-becoming-more-active-in-middle-and-older-age-linked-to-longer-life/
BMJ. 2019 Jun 26;365:l2323. doi: 10.1136/bmj.l2323.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31243014
文/星良孝