前回まで、コンディショニングスペシャリストの桑原弘樹先生に、疲労の「回復」と「予防」に効果的な栄養とサプリメントについてお話を伺いました。今回はサプリメントとのじょうずなつき合い方や、疲れをため込まないための生活習慣について教えてもらいました。生活スタイルを見直しつつ、疲れを効率的に解消できるようにしたいですね。
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サプリメント摂取のタイミングは「メリハリ型」と「日常型」で使い分ける
――サプリメントを摂取するタイミングについて教えてください。
「サプリメントは食品としての位置づけなので、予防として『疲れる前』に飲むことです。前回の“疲労の予防”でお話ししたように、疲労に効果的な栄養が不足しないように、日常的に補っておくこともサプリの使い方のひとつです」(桑原先生)
――自分の生活サイクルにサプリを組み込んでしまう、ということですね。
「そうです。しかし体の疲れや不調などの変化を感じないと、なかなか行動に移せないという人も多いと思います。そういう人には、自身のスケジュールや生活リズムと向き合って、『そろそろ疲れてくる時期かな』という頃合いを予見して使用することをおすすめします。
例えば、『来週は仕事が忙しくなりそう』とか、『いつも季節の変わり目に体調を崩しやすい』などのように“疲労を予想できるとき”には、疲れが出始める前に、いつもより多めのグルタミンとビタミンを摂取しておくといいでしょう。
特に疲れを感じている日や風邪ぎみのときなら、ビタミンCとB群、そしてグルタミンを多めの水で飲んで、早寝をする。寝る前にこの類の栄養素をとると、寝ている間に体を回復してくれるのでおすすめです。
このように、メリハリをつけたサプリメントの活用は、風邪の引き始めのときのように、少しだけ手前という状況が効果的です。自身のスケジュールや体調と向き合いながら調整してみてはいかがでしょうか」(桑原先生)
――なるほど! 疲労がたまりそうな時期に先回りして手を打っておく、ということですね。サプリメントの使用量を時期によって増減させる使用法について、注意点はありますか?
「カフェインは、とりすぎないよう注意が必要ですが、そのほかの水溶性のビタミンなどは、いつもより多めに摂取したとしても、体の中に十分にその栄養素が足りていた場合、体外に排出されてしまうだけです。“とりすぎ”ということに過剰に反応しなくていいと思いますよ」(桑原先生)
質の高い睡眠と食事バランスが疲労回復の鍵!
――サプリメントの摂取以外で、疲労予防のために心がけたほうがいい生活習慣はありますか?
「お休みの日に疲れを取るためと言って、朝寝坊をしてしまう人が多いですが、疲れているときこそ早起きをすることが大切です。人間の体は、ホメオスタシス…いわゆる恒常性という、一定に保とうとする機能があるんです。
疲れているときは『疲れを取りたい』と体内の細胞が活発になります。そのため疲れているときのほうが睡眠の質が高いんです。休みの日に、疲れているなと感じていたら、あえて早起きをして、活動的に過ごして夜、少し早目に寝床に着く。スムーズな入眠と、深い睡眠を得られるようにすることをおすすめします。
また、睡眠の質を高めるためには、夏場でもシャワーだけにせず、ぬるめのお湯に浸かることが理想です。お湯によって上がった体温が通常の体温に戻るタイミングで睡魔がくるので、入眠がスムーズになります。寝室の環境も睡眠の質を左右させるので、室温や清潔に保てているかを見直して快適な環境作りを心がけてください」(桑原先生)
――食事の面では意識したほうがよいことはありますか?
「朝食は直接のエネルギー源となる糖質とたんぱく質を意識的にとり(プロテインで補ってもOK)、昼は脂質を控えて、夜は糖質を控えめにするようにしましょう。
脂質は1日通して控えたいものではありますが、脂質は食事に置ける『おいしさ』でもあるため、脂質のまったくない食事では、食事の楽しさがなくなってしまうようなもの。3食のうちの1回、昼食だけを控えると考えれば、無理なくトライしやすいのではないでしょうか。
夕食は糖質を控え、寝る前の2時間は極力食べないようにすると内臓が休まりますよ」(桑原先生)
――疲れをためないための生活習慣は「早起き」「入浴」「バランスを意識した食事」ということですね。今の生活習慣を見直しながら無理なく試したいと思います!
3回にわたって、桑原先生に疲労に関する栄養とサプリメントについてお話を伺いました。自分の体の声に耳を傾け、じょうずにサプリメントなどで栄養を補給し、疲れ知らずの健康的な毎日を送りましょう!
取材・文/佐藤有香