夏も終わりに近づくと、なんとなく体調が悪くなる―――それは「冷え」のせいかもしれません。じつは、夏こそ「冷え」に注意が必要って、知っていましたか? でも、冷えは毎日の生活を見直すことで改善できます。冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、「夏冷え」を解消する<ライフスタイル>についてうかがいました。
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【オフィス、お出かけ編】羽織ものはマスト!
夏は外気温に合わせて、薄着になりがち。でも、オフィスや映画館といった娯楽施設でも、エアコンが効いていますよね。これが“夏冷え”の大きな原因のひとつです。
「エアコンの効いた屋内では、カーディガンなどの羽織もの、ストール、ひざ掛けなどを常備して、冷えを感じる部位をエアコンからガードしましょう。オフィスでは、到着したら、腹巻をするのもおすすめです。お腹の冷えは、月経痛や月経不順など婦人科系のトラブルのもとにもなります」(石原先生)
水分補給には、冷たいものを避けて、なるべく常温か温かいものを。
●もっと温めたいときは……
「首・手首・足首の3つの“首”には、体表近くを動脈が走っているので、ここを温めると、体も温まります。オフィスでPC作業をする患者さんで、エアコンの風で手がしびれるという人も。そんなときは、リストバンドや指の部分をカットした手袋などをプラスしてもいいでしょう。足下の冷えにはレッグウォーマーもおすすめです」(石原先生)
【ファッション編】体を締めつける洋服はNG!
冷え対策には、エアコンの効いた場所での薄着はダメですが、血流を悪くする体を締めつけるファッションもNGです。
「スキニーパンツやタイトスカートは体を締めつけるだけでなく、動きを妨げるため、血流が滞りやすくなります。ガードルや補正下着、サイズの小さなTシャツなども体を圧迫するため、おすすめできません。足先を圧迫する靴も同様です」(石原先生)
●もっと温めたいときは……
今年は、オーバーサイズのロングスカートやワンピースに、パンツやレギンスを重ねばきするレイヤードスタイルが流行。冷え対策の面からは、おすすめです。エアコンの効いた場所に長く滞在するような日は、こうしたコーディネートを取り入れてもいいですね。
【入浴編】湯船につかって「一日一汗」
暑い日は、入浴もシャワーでザーッと汗を流して、手早くすませたくなりますが、「湯船にお湯をはって、必ずつかって!」と石原先生。
「面倒かもしれませんが、お湯につかれば冷房で冷えきった体も、芯から温まります。3分間でいいので、お湯につかりましょう。『一日一汗(いちにちいっかん)』で、一日に一回は汗をかいて代謝を上げることも大切。疲労回復、リラックス効果もあって、いいことずくめです」(石原先生)
お風呂上がりは、汗で濡れたパジャマのままで過ごすと、また体が冷えてしまうので、汗がひくまではバスローブやTシャツを着て、汗がおさまったらパジャマに着替えるなど冷え対策を取りましょう。
●もっと温めたいときは……
・お湯の温度は、38℃が適温。15~30分間つかります。熱いお湯は、交感神経が優位になり、夜は寝つきが悪くなってしまうのでNGです。
・湯船にしょうがを入れると、さらに温め力がアップします。
【睡眠編】エアコンをつけたままでもOK。でも長袖パジャマを
寝るときにエアコンはオフ? タイマー? それともかけっぱなしでいいの? いまだに睡眠時のエアコン問題に答えが出せない人もいるかもしれません。石原先生は、「熱帯夜だったら、エアコンはかけっぱなしでOK」とアドバイスします。
「エアコンなしでは、熱中症の危険があります。また、タイマーでは切れたときに暑くて起きてしまい、睡眠の質が悪くなってしまいます。エアコンはつけたままでいいので、その代わり、パジャマは長袖長ズボンで冷えないように。腹巻もプラスすれば安心です」(石原先生)
●もっと温めたいときは……
・パジャマを綿などの天然素材に。「吸湿性、保温性が高く、熱を逃がさないので、血の巡りがよくなり、冷え対策に効果的です」(石原先生)。肌ざわりがよく、寝心地がいいのもポイントですね。
取材・文/海老根祐子