SNSはメンタル面に悪影響がある──。世界中でそんな報告があがっていますが、このたび新たにSNSを使うほど、うつの傾向が強くなるという研究結果が報告されました。研究グループは、格差の拡大や精神障害の増加などがあると見ています。SNSの使いすぎを自覚しているとしたら、一度立ち止まって考えてみるのもよいかもしれません。
Contents 目次
SNSは盛んだけど…
日本でもSNSの活用は当たり前になっています。総務省の統計によると、2016年にFacebookを利用しているのは32.3%、Twitterは27.5%。SNSはコミュニケーションなどのために便利である一方で、マイナスの側面にも目が注がれるようなってきました。最近の研究では、生活で感じるストレスが強まるとSNSをよく使うようになると報告されています。
このたびインドネシア国立ブラウィジャヤ大学を中心とした研究グループが、インドネシア全土にわたる調査から、20歳以上の2万2423人のデータを使って、FacebookとTwitterおよびチャットの利用と、メンタルヘルスとの関連性を調べました。
なお、研究グループによると、インドネシアではSNSがとても盛んで、Facebookユーザーは5400万人と世界第4位、Twitterユーザーは2200万人で世界第5位。Twitterによると、インドネシアでは1秒間に平均385件の「ツイート」があるなど、SNSが生活と密接につながっています。一方で、精神障害は増加傾向にあり、インドネシアの人口はおよそ2億6000万人を超えますが、2018年のインドネシア全国健康調査によると、精神障害がある人は1180万人と推定されています。
羨望、悪いニュースなどが悪影響
分析の結果として判明したのは、SNSを多く使うほど、うつ病の傾向が強まるということです。研究グループによると、インドネシアでは2000年以降の急速な経済的な成長によって、社会的な格差が広がっていて、他人をうらやむ傾向が強まっているよう。日本でもSNSで他人と自分を比べることで落ち込むといわれることがありますが、そうした理由がSNSとうつ病との関連性の背景にありそうです。
このほかにもSNSによって政府の悪いニュース、犯罪や貧困のニュースなどが流れてくることも影響している可能性もあるようです。日本でもSNSで社会問題が炎上するケースが増えていますが、この点でも似ているのかもしれません。SNSは便利なツールでもありますから、賢明に使うための工夫を考える必要があるでしょう。
<参考文献>
Social media use contributing to poor mental health in Indonesia, research finds
https://www.manchester.ac.uk/discover/news/social-media-use-contributing-to-poor-mental-health-in-indonesia-research-finds/
A Tool to Help or Harm? Online Social Media Use and Adult Mental Health in Indonesia
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11469-019-00069-2
文/星良孝