冷えは、さまざまな不調を招きます。しつこい便秘や月経痛も、冷えのせいかもしれません。冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、冷えによって起こる不調と改善策についてうかがいました。
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しつこい便秘は冷えが影響していることも
【便秘・下痢】
●原因は?
便秘・下痢は、冷えによって腸の血流が悪くなることが原因です。慢性の下痢の場合、体内の水分バランスが乱れることも関係しています。
●改善方法は?
「便秘・下痢は、腸を温めて、働きをよくすることで改善します。おすすめは腹巻きです。夏でもエアコンが効いているオフィスは寒いもの。腹巻きでお腹を冷えから守りましょう。
便秘で苦しいときは、朝食を取らずに胃をからっぽにしておくと排せつしやすくなります。食事後は、消化のため胃に血液が集まるため、腸に送られる血液が少なくなり、排せつしにくくなってしまうのです。食事の代わりにビタミン、ミネラルがたっぷりの野菜ジュースや腸内環境をよくするヨーグルトなどの発酵食品を。
マッサージも効果的です。おへそを中心に手のひらを「の」の字を描くように時計回りに動かします。さらに、「おへその周りを指先で、よくもみほぐすといっそう効果が上がります。
下痢のときは、塩分と水分を補うため、濃いめのみそ汁を飲むといいでしょう」(石原先生)
女性特有の不調も冷えが関係
【月経痛・月経不順】
●原因は?
子宮や卵巣のある下腹部が冷えると、女性ホルモンの分泌が乱れ、月経痛や月経不順が
起こりやすくなります。血行不良や余分な水分を体にたまった状態も、月経痛の原因になります。
●改善方法は?
「下腹部をあたためましょう。夏でもエアコンが効いたオフィスにいる時間が長いなら、室内にいるときは日常的に腹巻きを。特に、月経痛があるときは、腹巻きの上からさらにカイロを貼って、子宮の血のめぐりをよくすると痛みがやわらぎます。体を温める効果のあるごぼう、にんじん、れんこんなどの根菜類を積極的にとることもおすすめです」
【プレ更年期】
●原因は?
30~40代前半でも、閉経にはまだ早いけれど、月経が不順になったり、のぼせ、めまい、イライラ、動悸といった更年期のような症状が出ることがあります。東洋医学では、<冷えのぼせ>が原因と考えます。
冷えのぼせは、上半身はほてっているのに、下半身は冷えている状態です。下半身の血流が悪く、血が上半身に集まってしまうことで起こります。
●改善方法は?
「下半身を動かす運動がベスト。週に2~3回のウォーキング、毎日のスクワットを習慣にしましょう。下半身に筋肉がつくと、筋肉の中の毛細血管が増えて、筋肉に送られる血液が増えるため、上半身に上がっていた血液が下半身に回りやすくなります。くるぶしから下を温める足湯もおすすめです」(石原先生)
取材・文/海老根祐子