毎月のようにやってくる生理は、多くの女性にとって悩みの種。世界中で生理のある女性のうち生理痛に悩まされているのは3分の2以上といいます。このたびオーストラリアの研究グループは、生理痛が学業にも悪影響を及ぼしていると報告。その後の人生にまで長く影響する恐れもあるようです。悩んでいるならば尻込みせずに治療の手立てを求めていくことが大切だといいます。
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生理で気が重くなる…
生理のときには仕事や勉強などが手につかないのはつらいこと。日本でも、日本医療政策機構が日本の働く女性を対象に行った調査したところ、生理痛で仕事のパフォーマンスが下がった経験があると回答した人は、働いている女性の半数にも及ぶとの結果を出しています。とはいえ、そうした状況はまだまだ幅広く認識されているとはいいがたく、多くの女性が職場や学校で人知れず悩んでいる状況にあるのかもしれません。
今回、オーストラリアのウエスタンシドニー大学の研究グループが、12〜25歳の女性のデータに基づいて、生理痛が学業にどんな影響を及ぼすかを分析しました。使われたのは、オーストラリアばかりではなく、世界中の過去の研究から得られた2万1573人分のデータです。
勉強や成績に悪影響が出ているのは4割
わかったのは、生理痛に悩まされている女性は学生全体のおよそ3分の2に及ぶこと。そして、生理痛のために学校を休んでいる女性は5人に1人。学業に影響が出ているのは4割という結果でした。成長に伴って生理痛の問題がなくなるわけではなく、小・中・高・大学のそれぞれの学生でも、生理痛の頻度は変わりませんでした。生理痛などの症状のせいで、人づき合いやスポーツ活動などの学校生活も制約され、健康にも悪影響が出ていました。
生理痛が社会に出る直前の大学にまで影響があるという結果から、研究グループは就職などにもマイナスに働き、女性が生理痛によって不利な立場に立たされている可能性があると指摘。影響はその後、人生の長期にわたると懸念を示しています。その上で、「女性なら当たり前でがまんしなければならない」と思い込まず、医療機関を尻込みせずに受診するなど、解決の道を探ることが大切と強調しています。
日本でも悩む人は多いと見られますから、これらを参考として積極的に受診するようにするとよいかもしれません。
<参考文献>
J Womens Health (Larchmt). 2019 Aug;28(8):1161-1171. doi: 10.1089/jwh.2018.7615. Epub 2019 Jun 6.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31170024
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/jwh.2018.7615
Women missing class and missing out due to period pain
https://nicm.edu.au/news/women_missing_class_and_missing_out_due_to_period_pain
文/星良孝