朝、きちんと食事をとっているでしょうか。忙しかったりすると、どうしても抜きがちになるという人も多いかもしれません。ですが、最近では、朝食を抜くことで、病気につながるといった研究結果が出るなど、朝食はとるべきとの見方が強まってきています。こうしたなか、朝食を抜くことのデメリットについての研究報告が出てきています。
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朝食を抜くことは健康にとってよくないの?
朝食をとりたいと思っていても、とる時間がないという人も多いかもしれません。日本の調査によると、1割程度の人が朝何も食べていないという結果も。これまでの研究では、朝食を抜くことで、糖尿病のような病気が増える可能性があることが指摘されています。
米国アイオワ大学などの研究グループは、1988〜1994年に実施された「米国国民健康栄養調査(NHANES)III」から6550人のデータを用いて、朝食をとる頻度と、2011年末までの死亡記録とを突き合わせて、死亡リスクを分析しました。
脳卒中の危険性が特に高まる結果に
こうした分析からわかったのが、朝食を抜いている人では、死亡のリスクが高くなっているということでした。今回の調査の6550人中、朝食をとる頻度の内訳は、朝食をまったくとらない人5.1%、めったにとらない人10.9%、ときどきとる人25.0%、毎日とる人59.0%でした。調査対象者の平均年齢は53.2歳と高めではありますが、17〜23年の追跡期間中、2318人が亡くなり、心臓と血管の病気によって619人が亡くなりました。
研究グループは、年齢や性別、人種と民族、社会経済的な状況、食事やライフスタイルの要素、BMI、心臓と血管の病気のリスク要素などを考慮に入れて計算。その結果、朝食をまったくとらない人は毎日とる人に比べて、心臓と血管の病気による死亡のリスクが87%高いという結果を得ました。死因によらずに全体で見てみると、死亡のリスクは19%高くなるという結果に。脳卒中に限定すると、死亡リスクは3.39倍になっていました。
「追跡研究ですから因果関係は立証できませんし、朝食にどんなものを食べていたのか、また追跡期間中に朝食の食べ方に変化があったかもわかりませんが、朝食をとるほうが心臓と血管の健康によいのではないか」と、研究グループは述べています。調査対象者の年齢は高かったのですが、若い年齢層にとっても、朝食をとることのメリットを考えるうえでは参考にしてもよいかもしれません。
<参考文献>
J Am Coll Cardiol. 2019 Apr 30;73(16):2025-2032. doi: 10.1016/j.jacc.2019.01.065.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31023424