なかなか人に言えないのが泌尿器系の悩み。女性によくある膀胱炎について、正しく理解しているのでしょうか。膀胱炎にまつわる疑問について、四谷メディカルキューブ女性泌尿器科の藤﨑章子先生に伺いました。
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膀胱炎から腎盂腎炎になるのは、まれ
Q.細菌が原因ではない膀胱炎もある?
A.はい。患者さんが膀胱炎を訴えて来院されるものの、細菌によらない過活動膀胱、心因性頻尿、間質性膀胱炎という場合があります。
●過活動膀胱
急に尿意をもよおし、我慢できず、頻尿になる病気です。
●心因性頻尿
外出時や会議中など、すぐにはトレイにいけない状況になると、尿意をもよおす場合は、心因性の頻尿かもしれません。泌尿器科では、過活動膀胱の治療薬を処方し、様子を見ることもあります。それで治まらないときは、心療内科での治療が必要になることも。
●間質性膀胱炎
膀胱壁の粘膜と筋肉の間の「間質」という部分に慢性的な炎症が起こる膀胱炎です。頻尿と尿意切迫感、尿がたまってくると膀胱に痛みを感じるのが典型的な症状です。細菌感染によるものではないので、尿検査では異常がないことが多く、治療も抗生物質は効きません。
Q.膀胱炎が悪化すると、腎盂腎炎になる?
A.腎盂腎炎は、腎臓内の尿がたまるところで細菌が繁殖し、腎臓に炎症が起こる病気です膀胱炎の症状に加えて、腰や背中の痛み、発熱などがみられることが多いです。しかし、腎結石症などの泌尿器系の疾患や、管理の不十分な糖尿病がベースにある人に多く、30~40代の健康な女性が、膀胱炎から腎盂腎炎になるのは、まれです。
トイレをガマンしても、それだけでは膀胱炎にはならない
Q.トイレをガマンすると、膀胱炎になりやすいってホント?
A.ガマンしすぎると、膀胱炎になる可能性はありますが、それだけでは膀胱炎にはなりません。逆に、本来なら300~400ccの尿をためられる機能があるのに、頻繁にトイレに行くことで、ちょっと尿がたまっただけでトイレに行くという、頻尿がクセになってしまうこともあるので、ほどほどに。
Q.排尿痛を感じたとき、以前、膀胱炎になったときの、飲み残しの薬をのんでもいい?
A.医師の指示がなく、自己判断で薬を飲むのは禁物です。まず、その排尿痛が細菌による膀胱炎かどうか検査する必要があります。仮に抗生物質が必要な膀胱炎だったとしても、適切な量や内服日数を考えなければなりません。症状があれば、病院に行って、医師の判断を仰ぎましょう。
Q.膀胱炎を予防するには、トイレの温水シャワービデを使うといい?
A.それは間違い。ビデは腟の入口を洗うもので、膀胱炎の予防には関係ありません。便座の温水シャワーの水は雑菌がいることも多いので、排尿後の尿の入口ではなく、排便後のおしりに使うようにしましょう。
どうでしたか? 思い込みで、間違ったケアをしないように気をつけたいですね。
取材・文/海老根祐子