「病は気」からと言う通り、病気にならずに過ごすためには、心の健康が大切。ダイエットや美容のために食事を工夫するのはふつうのことですが、健康的な食事は心にとってもよい効果をもたらしてくれるようです。このたびオーストラリアの研究グループが、食事を健康的なものにすることで、うつ病の症状が軽くなると報告。気分が沈みがちという人は、食事を改善してみるとよいかもしれません。
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食事を健康的に変えてみたところ…
健康的な食事をとると、そのおいしさに気分もよくなるものです。そうした効果は、研究からも示されています。たとえば、果物や野菜が少なかったり、魚を食べなかったり、脂肪分の多い肉ばかりを食べていたり、不健康な食事を続けていると、うつ病の発症につながってしまうという研究結果も。逆に、健康的な食材を豊富にとり入れた食事をとると、うつ病を遠ざけることもわかってきていました。
今回、オーストラリアの研究グループは、そうした関連性についてさらに詳しく知るために、10代後半から30代半ばの人々を対象として、食事のパターンとうつ病の発症リスクについて調査。ここから食事が心に及ぼす影響を分析しました。
対象となったのは、中程度~重度のうつ病の症状があり、加工食品のほか、糖質や飽和脂肪が多い不健康な食事をふだんから頻繁に食べている大学生76人。研究グループは、この76人をランダムに「食事改善」グループと「そのままの食事」グループに分けてその後の変化を比べました。
食事改善グループでは、健康的な食事の指導を受けるほか、それまでの食生活とは異なる、果物、野菜、魚、オリーブオイルなど健康的な食材を渡されるなど、食生活を徹底的に改善するように促されました。逆に、そのままの食事グループは、そうした対策をとらずに、変化を調べました。
不健康な学生が心身ともに健康に
わかったのは、食事改善グループは心身ともに健康になるということです。食事改善グループでは、3週間後も健康的な食事を継続。気分はめざましく改善しており、「うつ病評価尺度」で調べると病的な状態から脱するまでに改善していたのです。一方で、そのままの食事グループでは、そうした改善は見られませんでした。さらに、3か月間、追跡調査していくと、食事改善グループのうち、21%が健康的な食事を保っており、気分も改善した状態が続いていたのです。
ポイントは、加工食品を減らして、果物、野菜、魚、オリーブオイルを多くとるようにしたこと。こうした食事の改善で、心が健康になるという発見。気分が落ち込みがちなど、心の健康に心配がある人は、食生活から見直してみるのもよいかもしれません。
<参考文献>
Randomized controlled trial suggests healthier diet may directly reduce depression
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/10/191009142858.htm
PLoS One. 2019 Oct 9;14(10):e0222768. doi: 10.1371/journal.pone.0222768. eCollection 2019.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31596866
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0222768