「マインドフルネス」は、悩みやイライラから解放してくれる効果が話題になり、最近ではスマートフォンのアプリまで開発されるように。このマインドフルネスのトレーニングについて、妊娠中や産後のストレスを軽くする、スポーツ競技前の緊張を和らげるという、2つの研究結果が相次いで報告されました。ふだんの生活にとり入れてみるとよいかもしれません。
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出産のストレスなどに効果あり?
ひとつめは、台湾の研究グループによる、マインドフルネスをベースにした産後のストレス軽減についての研究です。統計によっても異なりますが、産後うつを経験する女性は15〜85%と見られ、産後のストレス管理は大きな問題に。
研究グループは妊娠13〜28週の女性74人を対象として、母親学級に加えて、毎週1回3時間の瞑想をはじめとした計8回のプログラムを受けてもらうグループと、受けないグループに分けて、研究開始時点と出産から3か月後のストレスやうつ症状の変化を調べました。
その結果、わかったのは、プログラムを受けたグループは受けなかったグループに比べて、3か月後のストレスとうつ症状のスコアがどちらも改善していたこと。つまり、妊娠中にマインドフルネスにとり組むことで、産後のストレスやうつ症状を軽くできる長期的な効果が示されたのです。
唾液の検査からストレス減少を確認
もうひとつは、競技を行うアスリートのストレスや心理的な反応に、マインドフルネスが効果的かどうかを調べた研究です。イランやドイツなどの国際研究グループが、男性アスリート26人を2つのグループに分けて、一方に8週間のマインドフルネストレーニングを受けてもらいました。受ける前、受けた直後、受けてから2か月後の3回、それぞれの時点で競技に臨んだ際の不安感やストレスを比較。質問票で調べるだけではなく、ストレスに関連して増えるとされる唾液中の「コルチゾール」と「アルファアミラーゼ」を測定しました。
やはりわかったのは、トレーニングを受けたグループでは、ストレスが軽くなり、唾液中のコルチゾールとアルファアミラーゼも少なくなることです。変化はマインドフルネスのトレーニングから2か月後も持続。一方、トレーニングを受けなかったグループではこうした変化は見られませんでした。
マインドフルネスの取り組みは、さまざまな場面でストレスを軽くしてくれるといえそうです。ふだんの生活でもとり入れることで、ストレスや気分の落ち込みを軽くできるかもしれません。
<参考文献>
BMC Pregnancy Childbirth. 2019 Oct 10;19(1):346. doi: 10.1186/s12884-019-2503-4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31601170
Physiol Behav. 2019 Oct 15;210:112655. doi: 10.1016/j.physbeh.2019.112655. Epub 2019 Aug 19.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31437476