お酒を飲む機会が増える忘年会シーズンに突入。仕事もプライベートも忙しくなるこの時期は体調管理をしっかりしておきたいところ。しかしお酒の飲み過ぎは体内リズムを早めて睡眠を短くすることがわかっています。『目覚め方改革プロジェクト』が発信する「目覚めスッキリコラム」の内容より、プロジェクトのリーダーである久留米大学医学部 神経精神医学講座 内村直尚教授が教えるアルコールが睡眠に与える影響について見ていきましょう。
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■お酒は体内リズムを早める
お酒は心のリフレッシュには欠かせませんが、飲み過ぎると、寝つきはよく感じるものの朝方に目覚めてしまったり、次の日にだるさが残ってしまうことがあります。
「アルコールは体内リズムに影響を与えており、アルコールの摂取は入眠を促す一方で、早朝覚醒や中途覚醒につながることがわかっています。
アルコールにより、睡眠前半の『レム睡眠(浅い眠り)』は減少して眠りが深くなりますが、肝臓で分解され血中濃度が低下してくる後半は、逆に『レム睡眠(浅い眠り)』が増加します。つまり、じつはぐっすり熟睡できているのは前半がメイン。お酒を飲みすぎると、朝方の眠りは徐々に浅くなるのです。こうして朝方に目が覚めてしまうことで、全体の睡眠時間が減るだけでなく、1日の体内リズムが通常よりも早まり、前進するという報告があります」(内村教授)
体内リズムの乱れにより、翌朝の目覚めが悪くなり、日中の眠気やだるさが引き起こされます。
■アルコールとのじょうずなつき合い方
睡眠の質や量を低下させないためには、じょうずにアルコールとつき合っていくことが必要です。そのためにも押さえておきたいのが3つのポイント。
<1>不眠解消のための寝酒はNG
早く眠れるからと眠るためにお酒を飲む人がいますが、これはやめましょう。
「不眠ぎみで“眠れないからお酒を飲む”といった“寝酒”が習慣の人がいますが、あまりおすすめはできません。アルコールは短期間で耐性ができやすく、初めは入眠を促しますが、徐々に効果が弱くなります。寝酒よりも朝や昼の過ごし方で体内リズムを整え、ぐっすり眠れる体を作りましょう」
<2>休肝日を作る
飲み会の続く季節でも、週2日以上の休肝日を作りましょう。
「できれば週2日以上の休肝日を作るのが理想。体内リズムを乱さず、質の高い睡眠をとるための一般的な適量は、アルコール量20g程度の2ドリンクです。これは、ビールなら500ml 1杯、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯、グラスワイン2杯、焼酎(6:4)1合までです。
また、アルコールの分解は、通常2ドリンクで4時間以上かかります。6ドリンクでは12時間以上かかり、夜10時に飲み終わっても翌朝10時まではアルコールが消失しません」
休肝日とともにアルコールの量を少なくすると体内リズムへの影響も少なくできますね。
<3>だるくても寝過ぎない
前日のお酒を飲んで、次の日だるさが続くのは体内リズムの乱れによるもの。
「ここで眠いからといって長時間の昼寝をすると、ますます体内リズムが正常に戻りにくくなり、眠くなるはずの時間に眠くならず、夜の就寝時間が遅くなる悪循環に。
だるいからといって動かずにいるより、エスカレーターではなく階段を使うなどして、少しでも動いて体温を上げたほうが効果的です」
お酒とじょうずにつき合うことができると、すっきりと翌朝目覚められそうです。日中のパフォーマンスを上げて、忙しいこの時期を乗り切りましょう!
情報提供:目覚め方改革プロジェクト
文/庄司真紀