近年、健康や美容に効果があるとして、注目されている「発酵食品」。塩麹、甘酒、みそ、納豆といったものをはじめ、チーズやヨーグルトなどその種類はじつに多彩。こうしたなか、発酵食品の健康効果を調べる研究が進んでおり、胃の病気や心血管疾患、糖尿病の発症リスクを低下させる効果があるという研究結果が報告されています。
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注目される発酵食品
「腸活」という言葉がいわれるようになって久しくなりました。腸内によい働きをする微生物(プロバイオティクス)をとり入れると、美容、ダイエットにつながり、さらには健康にもつながると知られるようになり、海外をはじめ、ますます発酵食品の健康への効果が注目されています。
英国の研究グループはお腹への健康効果を調べ、その研究結果を2019年に報告しています。研究対象になった食品として挙げられたのは、「納豆」「みそ」「キムチ」のほか、ヨーグルトの一種で「ケフィア」、いわゆる紅茶キノコである「コンブチャ」、ドイツ名物として知られるキャベツを発酵させた「ザワークラウト」、大豆などを発酵させた「テンペ」、乳酸菌などを含むパンの一種「サワードウブレッド」。人を対象にした研究でお腹によい効果が証明されているのは、納豆、ケフィア、ザワークラウト、サワードウブレッドです。これらのなかでも公正に検証されているのはケフィアとのこと。乳糖をうまく分解できない人への効果、胃炎の原因になるヘリコバクターピロリ菌の除菌によい効果があることが示されているそうです。
ヨーグルトや発酵乳製品に効果
さらに、オーストラリアの研究グループは発酵食品をとり入れることで、病気の予防につながるかを調べています。研究グループは、オーストラリアの大規模追跡調査に参加した女性のデータを分析。対象者に101項目の食事についてのアンケートをしたあと、15年にわたる追跡調査(期間中に5回の調査)を行い、2型糖尿病や心血管疾患になっていないかを調べました。
分析の結果として示されたのは、発酵乳製品の効果です。糖尿病については、ヨーグルトの摂取が多かった上位(全体の3分の1)の女性で、2型糖尿病の発症率が19%低いという結果に。統計的に詳しく調べると、摂取カロリーが関係している可能性があるようでした。また、ヨーグルトやほかの発酵乳製品を多くとる人は、心血管疾患についても低くなる可能性があるとわかりました。
こうした研究結果からも、発酵食品を毎日の食事に積極的にとり入れてみてはいかがでしょう。
<参考文献>
Nutrients. 2019 Aug 5;11(8). pii: E1806. doi: 10.3390/nu11081806.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31387262
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6723656/
Intake of fermented dairy foods is inversely associated with cardiovascular disease risk
https://nutrition.org/intake-of-fermented-dairy-foods-is-inversely-associated-with-cardiovascular-disease-risk/