ストレスは心をすり減らしてしまうもの。できれば、ストレスから解放されたいとみんな考えていることでしょう。しかし、ストレスといってもその感じやすさは人それぞれのよう。ある研究ではストレスに強いか弱いかはある程度生まれもったものである可能性が示されています。メンタルの問題を考えるときに参考になるかもしれません。
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ストレスは避けたいけれど
ストレスが続くと感情が動かなくなり、立ち直れなくなることも。それだけストレスが人に与える影響は大きいといえます。いったいどうして私たちはストレスを受け続けたときに、心にダメージを受けてしまうのでしょう。また一方ではどんなにストレスを受けても、うつ病や無気力にはならず、ストレスをモノともしない人もいます。
米国の研究グループは、こうしたストレスへの反応がどのようなメカニズムによって生じるかを検証しました。動物実験を行い、ストレスによって快楽の感じ方がどのように影響を受けるかを調べたのです。
ストレスへの耐性はいろいろ
その結果、判明したのは、動物によってストレスに強いものとストレスに弱いものが明確に分かれているということです。ストレスに弱いものはストレスを受けると、なかなか快感を得られなくなります(具体的には、快感を得るために多くの電気刺激を必要とするようになります)。一方、ストレスに強いと容易に快感を得ることができるのです。
では、なぜこうした違いが生じるのか。ストレスに弱いものは、脳のなかの特定の場所にある種の神経細胞が多く存在していることがわかりました。つまり、ストレスなどへ反応する場所に違いが見られたのです。
これがどのようにストレスの感じ方の違いにつながるのかははっきりしませんが、ある意味で生まれもった違いが関係している可能性があると見られます。
今回はあくまで動物実験ですが、人によってストレスの影響を受けやすい、受けにくいがあるという秘密を解くヒントになるものです。ストレスへの耐性が生まれついたものならば、誰にも同じ対応をするのは無理がある可能性も。メンタルの問題は人によって異なると考え、画一的ではない対応を心がけるのが賢明といえるかもしれません。
<参考文献>
Why stress doesn’t always cause depression
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/12/191202135657.htm
Serotonergic plasticity in the dorsal raphe nucleus characterizes susceptibility and resilience to anhedonia
https://www.jneurosci.org/content/early/2019/11/28/JNEUROSCI.1802-19.2019