太っていると、夜寝ているときにいびきをかきやすくなることが知られています。首のまわりに脂肪がついて気道が狭くなり、眠っているときに呼吸が一時的に止まる事態も。睡眠時無呼吸と呼ばれる状態で、睡眠不足のもとになります。ダイエットをすると、困った睡眠時無呼吸が改善するとされますが、その秘密は舌の脂肪にあるようです。
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寝ている時に呼吸が…
ダイエットをすることは美容にも健康にも好ましく、その効果は睡眠にまで及びます。体重を減らすと、眠っている間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸が改善するためです。
睡眠時無呼吸は日本でも成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられるとされ、年齢を重ねるほど、眠っている間の呼吸に問題を抱えている人が多いと考えられています。
このたび米国ペンシルベニア大学の研究グループは、体重を減らしたときに気道の周辺にどのような変化が起きるのかを、画像検査を駆使して調べました。対象としたのは肥満で睡眠時無呼吸の確認されている67人。研究グループはすでに舌の脂肪が多いと睡眠時無呼吸になりやすいことを確認しており、そのうえで脂肪を減らす効果をあらためて検証したのです。体重を減らしたときのあごのまわりの組織の状態、お腹の脂肪などの状態がどのように変わるのかもMRIという画像検査によって調べました。
舌の脂肪が減ることが大事
その結果、わかったのは、舌の脂肪を減らすことが睡眠時無呼吸の症状を改善することにつながることです。体重を減らすことであごや頬の筋肉などが減り、睡眠時無呼吸の症状を改善することにつながっていたのですが、舌の脂肪がより重要であることが確認できたのです。
研究グループは舌の脂肪に注目することで、睡眠時無呼吸をうまく治療できるのではと考えているほか、肥満でないのに睡眠時無呼吸になっている人がじつは舌の脂肪が多いという可能性もあると考えています。睡眠不足を感じている人など、もしかするとその理由のひとつが舌の脂肪であるのかもしれません。
<参考文献>
日本呼吸器学会「呼吸器の病気」
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42
Losing Tongue Fat Improves Sleep Apnea
https://www.pennmedicine.org/news/news-releases/2020/january/losing-tongue-fat-improves-sleep-apnea
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jan 10. doi: 10.1164/rccm.201903-0692OC. [Epub ahead of print]
http://dx.doi.org/10.1164/rccm.201903-0692OC
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31918559