新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に広がりを見せるなかで、脅威に見られているのはウイルスの感染力の高さです。接触感染への注意が促されていますが、感染経路については不明点も残ります。そうしたなかで米国の研究グループが、ウイルスがさまざまな物の表面に感染力を保った状態で長時間にわたってとどまることを報告しました。感染を防ぐための知識として参考にするとよさそうです。
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感染力はどうして強い?
新型コロナウイルス感染症が国際的な広がりを見せ、感染をいかに終息させるかの模索が世界中の国々で続いています。2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市で確認され、世界保健機関(WHO)は2020年3月11日に「パンデミック(世界的流行)」と表明。ウイルスの感染の連鎖をどう止めるかが重要なポイントとなっています。
このたび米国の研究グループが注目したのは、環境のなかで新型コロナウイルスがどれくらいの時間にわたって感染力を保った状態でいられるか。長時間感染力を保てるとすれば、感染に注意する必要がより高まるといえるでしょう。研究グループは、空気に浮遊する細かな粒子のなか、またはプラスチック、ステンレス、銅、段ボールの表面においてどれくらい新型コロナウイルスが感染力を保っているのかを分析しました。
プラスチックの表面では72時間後も
そうしてわかったのは、 新型コロナウイルスは物の表面で感染力を保った状態で安定的に存在できるということ。空気中の粒子のなかでは3時間後にも感染力をもったウイルスが存在していることがわかりました。ウイルスの量は減っていても、なくなることはありませんでした。物の表面でも感染力をもつウイルスは保たれることが判明。プラスチックやステンレスの表面でのほうが、銅や段ボールよりも長時間にわたって感染力を維持できていました。
プラスチックの表面だと72時間後も安定しており、ステンレスの表面では48時間後も安定していました。銅では4時間後には感染力のあるウイルスは確認できず、段ボールでは24時間後には確認されませんでした。
今回、2004年に流行したSARSウイルスについても調べており、新型コロナウイルスと同様の結果となりました。SARSウイルスも同じコロナウイルスの仲間であり、研究グループは感染の広がり方などはお互いに似ている可能性があると考えています。
研究グループはこうした結果を受けて、指摘されてきた指導に従うのが大事だと強調しています。病気になっている人との接触を避けることのほか、目や鼻、口をさわること、病気のときは自宅に滞在すること、咳やくしゃみのときはティッシュで口を覆い、そのティッシュを捨てること、さわった物を頻繁に消毒したり拭いたりすることです。
<参考文献>
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
New Coronavirus Stable for Hours on Surfaces
https://www.niaid.nih.gov/news-events/new-coronavirus-stable-hours-surfaces
van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al. Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1 [published online ahead of print, 2020 Mar 17]. N Engl J Med. 2020;10.1056/NEJMc2004973. doi:10.1056/NEJMc2004973
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2004973
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32182409/