ネコの利き手なんて、考えたこともなかったかもしれませんが、どうやら動物にも右利きや左利きがあるようなのです。しかも、利き手によって、ストレスを感じやすいタイプかどうかがわかるのではないかとさえ考えられているとか。このたび、家ネコの自然な行動を観察したところ、どうやらオスネコは左利き、メスネコは右利きが多いという報告がありました。
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階段を降りるのはどっちの足から?
最近の研究結果から、動物の利き手と左右の脳のはたらきとの関連性が注目されているそうです。人間だけではなく動物(正確には脊椎動物、つまり背骨がある動物で、魚や両生類なども含まれます)も、脳が左右に分かれていて、体をつなぐ神経系が交差しています。そして、それぞれ独自の役割を担っているのではないかと考えられているのです。
これまで動物の利き手を調べる研究では、食べ物を置くなどして手を出すように仕向ける方法がふつうでしたが、今回、英国の研究グループは初めて、家で飼われているネコの自然な行動を観察してみました。家ネコ44匹(オス24匹、メス20匹)について、階段を降りる際と物をまたぐ際にどちら側の足を出すか、またどちら側を下にして寝るかを飼い主に観察、報告してもらったのです。食べ物を置いてどちら側の手でとろうとするかを見る従来の観察方法も行いました。
最初に出す手(足)は大半のネコで一定
そうしてわかったのは、オスネコの多くはたいてい左手足をまず出し、メスネコは右手足ということです。大半のネコがほぼ決まったほうの手足を使い、食べ物をとる際には73%、階段降りでは70%、物をまたぐ際には66%が一定でした。食べ物をとらせた場合も、自然な動作の場合も同様に、決まったほうの手足をまず使っていました。そして、性別によって明らかな差が見られたのです。唯一、寝るときにどちら側を下にするかでは、左右の好みは見られませんでした。
どうして性別によって差があるのかについては、さらに調べる必要はありますが、神経構造の違いのせいではないかと研究グループは考えています。また、左右の好みがない、または左側をよく使う動物は、右側を使う動物よりも神経質でストレスを感じやすいのではないかという意見もあるとのこと。飼い主にとってはペットの性格を知る一助になるかもしれないと研究グループは説明しています。ペットがいる人は一度、確認してみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
Female cats are more likely to be right-handed, researchers discover
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/01/180122104019.htm
Lateralization of spontaneous behaviours in the domestic cat, Felis silvestris
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003347217303640?via%3Dihub