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いい関係を生み出すために大事な3つのこと~人間関係に悩むすべての人に贈る、和田裕美の“程よい距離”を見つける方法~
人間関係って難しい……。こう感じたことのある人は多いのではないでしょうか。他人といい関係をつくりたい。誰しもが考えることですが、なかなか理想通りにはいかないもの。どうすればいい関係を生み出せるのでしょうか。著書累計220万部のビジネスコンサルタントで、外資系教育会社時代に世界142カ国中2位の成績を納めた女性営業のカリスマ、和田裕美さんに、いい関係を生み出すコミュニケーションについて語っていただきます。
Contents 目次
いい関係を生み出すためには、この3つを大切に
みなさんは、いい関係を生み出すコミュニケーションのために大事なことは何だと思いますか?
最初に結論を言うと、次の3つです。
・人の気持ちを察すること
・人と自分の違いを理解すること
・影響を受け過ぎないこと
ひとつひとつお話ししていきましょう。
多くの人は本音を言わない
まずひとつ目の「人の気持ちを察すること」。これはまさに“空気を読む”ということです。多くの人は、ほとんど本音を言いません。「言えばいいのに」と思う人もいるかもしれませんが、本音を全部、言ってしまったら角が立つだろうからと、とにかく黙ってガマンすることが多いのです。そんな人の空気を読み、気持ちを察して行動することで、相手の心は救われます。
たとえば会社で忙しそうに資料を積み上げて残業をしている同僚がいたとしましょう。そんなとき、なかなか「手伝ってほしい」と言い出せない人も多いのです。そこであなたがひと言、「大変そうだね。何かできることある?」と声をかけたとしたら、それだけで、その同僚の気持ちはずいぶんと軽くなるはずです。
もしあなたに用事があるときでも、「お先にー!」と言って帰るのと、「大変そうだね。手伝えればいいんだけど、今日は帰らなくてはいけなくて……。でも、できることがあったらいつでも声をかけてね」と言って帰るのとでは、ずいぶん違いますよね。ひと声、かけることで同僚は「気にかけてくれている人がいる」と幸せな気持ちになりますし、あなたへの好感度も高くなります。
また、営業をしている場面では、時間がなくなってきてもなかなか言い出せないお客さんもいます。そんなとき、そわそわしている様子を察して、「ここで契約を決めてしまおう」と考えるのではなく、「お時間大丈夫ですか?」と聞くことによって、相手にはあなたを信頼する気持ちが生まれます。
ですから、相手がどういう気持ちなのかということを読んで理解すれば、人間関係や仕事の効率もずっとよくなります。特に日本人は、「阿吽(あうん)の呼吸」などという言葉があることでもわかるように、はっきりと言葉にしないことが多いので、そういうことを理解した上で、「この人は今、どういう気持ちだろう」「何を考えているのかな」ということを読み取っていくことが必要になります。これこそが“空気を読む”ということです。
空気を読まない人にイライラしてしまったら……。
2番目の、「人と自分の違いを理解すること」ですが、人にはいろいろなタイプがある、という前提で事に当たるということです。
たとえば空気を読む人と読まない人に大きく分けるとします。空気を読まない人――ずけずけと物事を言ったり、気遣いを全くしなかったり、むすっとしていたり。そういう人って一定の割合でいますよね。空気を読む人がそういう人たちに遭遇すると、非常に不愉快になります。なぜかといえば、空気を読む人たちは、「私だったらそんなこと言わないのに」「こういうときにはお茶を出したりするのに」「笑顔で対応するのに」と自分の基準で考えるから。自分が当然のように行う気遣いを相手がしないからイライラしてしまうんですね。
逆に、空気を読まない人は、相手が何をしようと「自分だったら〇〇するのに」という感情がないでしょう? そういう人はストレスは少ないのです。なんだか不公平ですね。
ですから、空気を読む人は「私は空気を読むけれど、そうしない人もいるんだ」という前提で人間関係を築くのがコツ。そうすれば、割とイライラせずにすみます。
世の中にはいろんな人がいます。すべての人に同じように好かれたり、同じように空気を読んでもらおうと思うのではなく、自分がしてあげたいことをする、そして期待したような反応が返って来なくても、「あ、この人はそういう人なんだ」と思って、不愉快にならないようにするほうがいいですね。
空気を読むと疲れてしまう人は「影響を受け過ぎない」ことが大事
なかには、「空気を読むと疲れる」という人もいます。なぜ疲れるのでしょう? それは、相手の空気に影響を受けるからです。そこで3つ目、「影響を受け過ぎない」ことが大事になってくるのです。
あなたが空気を読もうと頑張っても、いまいち感情が見えず、思うような関係が築けない、そんな相手がいたとします。そんなとき、あなたが相手の空気に影響を受け過ぎてしまうと、気を遣ってびくびくしたり、相手の顔色を見て「何か気の利いたことを言わなきゃ」「よいしょしなきゃ」とおどおどしたりしてしまいます。お茶いかがですか、いりませんかそうですか、暑いですか寒いですか……なんてね(笑)。それはすごく疲れるので、空気を読みたくなくなってしまう。
でも、そこで空気を読むのをやめてしまうと、人の気持ちをわかろうとすることもなくなりますから、人間関係が非常に粗雑なものになってしまいます。あなたが望むのは“粗雑な人間関係”ではないですよね。ですから、そういう場合は空気は読むけど影響されないようにするのが大事です。空気を読む、だけど相手の空気に影響され過ぎず、自分の意図で動く。そうすれば疲れません。空気は読んで、作るものなんですよ。このあたりのことは、次回以降、随時ふれていきますね!
取材・文:寺田千恵
参考図書
『人の心を動かす話し方』(廣済堂出版)