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“ひと手間”こそ人との出会いにおけるプラス~人間関係に悩むすべての人に贈る、和田裕美の“程よい距離”を見つける方法~

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黄色いポストに手紙を入れる画像

今年に入ってから、新型コロナウイルスの影響で、人間関係の築き方もずいぶん変わってきたように思います。対面で会話する機会が減り、オンラインでのコミュニケーションが増えました。その在り方にラクさを感じる一方、ものたりなさや不安感を何となく感じることも……。このような状況の中、著書累計220万部のビジネスコンサルタントで、外資系教育会社時代に世界142カ国中2位の成績を納めた女性営業のカリスマ、和田裕美さんは、「ひと手間かかるアナログ感の中に、人間関係の醍醐味がある」と言います。相手とよい関係を築くためのコミュニケーションについて語っていただきました。

監修 : 和田 裕美 (ビジネスコンサルタント・作家)

ビジネスコンサルタント・作家、株式会社HIROWA代表取締役、
京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授。
お客様の98%から契約をもらう「ファンづくり営業」で日本トップ、世界142か国中2位を収めた女性営業のカリスマ。WADA式陽転思考は、その中で生まれた。
累計220万部越えの著書には『世界No.2「売れる営業」に変わる本』『成約率98%の秘訣』『人生を好転させる「新・陽転思考」』のほか『和田裕美の営業手帳』がある。
また独自の理論を活用し、NHK Eテレ「芸人先生」などへレギュラー出演。
FM FUJIで放送中のラジオ「WADA CAFE」も16年目を迎え、多岐に渡る活動を展開中。
さらに自身初の絵本「ぼくはちいさくてしろい」は2018年度から小学校の道徳の教科書に採用され、小学校でWADA式陽転思考の体験授業も開催している。
毎年発売する『和田裕美の営業手帳』(2021年版はグリーン/グレンチェックの2種)がある(グリーン:https://amzn.to/2RRnvwr グレンチェック:https://amzn.to/3crtfXj

Contents 目次

コミュニケーションに時間もお金もかからなくなった

オンラインでコミュニケーションをとっている画像

誰かとよい人間関係を作るためには、相手の気持ちを考えること、すなわち「空気を読む」ことが大切です。でも、まったく空気を読まない相手に対していくら空気を読んでも疲れてしまうだけ。だからこそ、相手と自分は違う人間だと自覚しながら、相手に影響を受けすぎず、「空気を作る」ことが重要です。
「空気を作る」というのは、相手との関係において、どこを目指すか、というゴールを設定することから始まります。ただ相手に嫌われないように…とびくびくするのではなく、“自分はこの人とこういう関係を作りたい、だからこのような態度をとるのだ”と自発的に行動することで、自分の言動も、相手との関係も違ったものとなっていきます。これが「空気を作る」ということ。
そんなお話を前回までにいたしました。

今回は、新型コロナウイルスの影響で対面からオンラインへとコミュニケーションのスタイルが大きく変わるなかで、コミュニケーションについて感じたことをお話ししたいと思います。

リモートワーク、オンラインでのランチや飲み会など、オンラインでのコミュニケーションの比重が大きくなった人は多いのではないでしょうか。遠く離れていても、お金も時間もかけずに顔を見て話すことができるし、天候が悪くても外へ出なくてもいいし、苦手な人と直接、同じ部屋で仕事しなくてもいいし……、オンラインってラクでいいわ、と思う人もいるかもしれませんね。

ひと手間かかるのがアナログの人間関係のよさ

これまでは私たちは、人と出会い、直接会話することでコミュニケーションを学んできました。オンラインとは逆に、これはとても手間がかかることですね。でも、その手間がかかるということが、人との出会いにおけるプラスだったのではないかと思います。

たとえばこれまでなら、遠方のお客さんや親戚、友人のところへ、時間も交通費もかけて、手土産を持って会いに行ったりしましたよね。そうすると、迎える側には「この雨の中わざわざ来てくれて」「手土産まで気を遣ってくれて」と、それだけで感謝の気持ち、「ありがとう」っていう言葉が生まれます。たしかに手間はかかるけれど、それがアナログの人間関係のつくり方のよさだったんですね。

今、オンラインでのコミュニケーション中心になってみると、そういうムダなこと、不便なことに、人は心を動かされてきたんだな、と改めて感じます。ですから、コミュニケーションに手間がかからない今の状態が長くなると、便利なはずなのに心がさみしくなったり、何となくストレスがたまったり、というような人も出てくるかもしれません。コミュニケーションに手間がかからなくなった今こそ、手書きのはがきや手紙を郵便で送るなど、あえて手間のかかるアナログな手法の価値が見直されていくのではないでしょうか。

人は手間ひまかけることに価値を感じる

ひとりキャンプの画像

物心ついたころからインターネットが普及していて、デジタルでのコミュニケーションになじんでいる若い世代でも、これは同じだと思います。
たとえば、音楽が好きだったらダウンロードして聴いているだけでもよさそうですが、いわゆる「フェス」などに出かける人も多いですよね? わざわざテントまで持って行く人もいます。注目を集めているeスポーツでも、家で環境を整えて楽しむこともできるのに、わざわざeスポーツのカフェに出かけます。

あるいはキャンプ。ひとりキャンプも若い方を中心に流行っているようですが、あれってなぜだろうって思いませんか? わざわざ不便な所へ出かけて、テントを張って、火を起こして……。家だったらスイッチひとつでお湯が沸くのに!

そういうことをなぜするのかというと、人は手間ひまかけることに価値を感じるからだと思うのです。これまでは、ひと手間かかるリアルの楽しさとデジタルの便利さとのバランスをとることができていたんですね。そして手間ひまかけて価値を感じることの中に、人と人との生身の交流も入っていたのではないでしょうか。

直接人と出会わないならコミュニケーション能力はいらない!?

会話している女性の画像

人と人とが直接出会って初めて学べることは多くあります。暗黙知、経験から生まれる空気とか気配、間のようなものは、リアルな出会い、コミュニケーションでなければ身につかない部分です。上司の背中を見て学ぶ、というようなことはオンラインでは難しいので、もしオンラインによるリモートワークのみになってしまったら、新入社員の成長も遅くなってしまうかもしれません。

リモートワークになって、毎日の通勤とか、会社で業務を行ううえでつきまとう煩わしさから解放されたので、リモートワークが便利だ、オンラインだけでいい、という気持ちになっている人も、たくさんいるでしょう。特に、リモートでのコミュニケーションが始まって間もないこの数か月においては、オンラインのメリットが際立っていると思います。

でも、人間ってないものねだりです。病気にならないと健康のよさがわからないように、人と出会うのがめんどくさい、と言っていた人でも、やっぱり出会うよさはあったな、と感じる場面も、きっとこれから出てくるでしょう。失って初めてわかる、なくなったもののよさが、今後明確に色濃く出てくると思います。

そうは言っても、オンラインでのコミュニケーションの重要性が高まっていくことには変わりはありません。「直接人と出会わないならコミュニケーション能力はそんなにいらないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、もちろん、それは違いますよ! 次回は、オンラインでのコミュニケーションについて考えてみましょう。

取材・文:寺田千恵

参考図書
『人の心を動かす話し方』(廣済堂出版)

「人の心を動かす話し方」書影画像

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