ガラスのテーブルは住宅や店舗など、さまざまな施設でごく一般的に使われている調度品。見た目がきれいなこともあって、家具のなかでも人気も高いものといってもいいかもしれません。しかし、ごくありふれた家具に危険が潜む可能性が、海外から指摘されています。大きなケガの原因として、ガラステーブルの欠陥品が問題になり得るといいます。
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ガラスのテーブルにどんな問題?
ガラスのテーブルはよく見かけますが、安全性に問題があるという発想にはなかなか至らないかもしれません。たとえば、強化ガラスが使われているものも多くなっています。ほかの家具と同様に注意しておけばよいと思われがちですが、そこには盲点があるのかもしれません。
このたび米国ラトガーズ大学の研究グループが、2009~2015年の国立電子外傷調査システムおよび一次外傷センターのデータを用いて分析。ガラスのテーブルは素材の特徴から割れる場合があり、こうした破損による外傷を引き起こす可能性もあると想定。欠陥品などの問題が見つかれば規制強化も必要になるとの考え方から検討しています。
ガラステーブルによる外傷は軽視できない
今回のデータベースから判明したのは、ガラスのテーブルを原因とした外傷は少なくないということです。研究グループは、3241件の外傷事例を考察しており、このなかの56%が欠陥品によるものだったほか、外傷が重かった事例が15%。外傷を受けたうちで男性が70%。7歳未満と20代前半に多く、上肢や額が多いという結果を導きました。
外傷によって起こった問題としては、外科的な治療などを要したのが58%、入院治療が必要となったのは54%、主要な臓器、体腔、関節の損傷が34%、血液循環の問題が21%、30日間の死亡率は8%となっていました。
研究グループはこれらの分析に基づいて、ガラスのテーブルのケガは一般的で、1年間に250万人がケガを負っていると指摘しています。ガラスの品質についての規制強化をかけることでケガを防げると研究グループは説明しており、潜在した問題として注目されるかもしれません。日本でも、ガラスのテーブルを使うときにはこうしたケガを招く可能性を想定するとよさそうです。
<参考文献>
Glass Tables Can Cause Life-Threatening Injuries
https://www.rutgers.edu/news/glass-tables-can-cause-life-threatening-injuries
Trivedi U, Chauhan D, Villegas C, Bueser R, Livingston D, Bonne S. Glass table injuries: A silent public health problem. Am J Surg. 2020 Jul 26:S0002-9610(20)30431-1. doi: 10.1016/j.amjsurg.2020.07.002. Epub ahead of print. PMID: 32782080.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32782080/
https://www.americanjournalofsurgery.com/article/S0002-9610(20)30431-1/fulltext