テレワークが浸透し、社内、社外問わずオンラインでの打ち合わせが一般化してきました。ときには、初対面の相手とオンライン会議をすることもあるでしょう。もちろん会議で何を発言するかは大切ですが、画面越しという制限があるなかで、相手に与える印象を大きく左右する「画面映り」にも気を配りたいところです。
そこで、デジタルガジェットや家電などのモノ情報を日夜配信しているウェブメディア「GetNavi web」の編集長・山田佑樹さんに相談。仕事柄、ガジェットに精通し、自身も1日に複数本のオンライン会議を日々こなしている山田さんに、オンライン会議での画面映りを良くするためのコツと、オススメのアイテムを教えていただきました。
Contents 目次
コツ1.「機能性スーツ」で部屋着のような着心地ときちんと感を両立
オンライン会議に参加するとき、どのような服装でのぞんでいますか? オフィスで仕事をしているときよりも、ラフな服装をしていることが多いのではないでしょうか。
「社内の人との打ち合わせであれば、カジュアルな服装でも問題ありませんが、社外の方が相手の場合は、きちんとして見えるかも大切。そこでおすすめしたいのが“機能性スーツ”です。機能性スーツとは、ストレッチ性や通気性、抗菌防臭、UVケアなど、何かしらの機能が付与されたスーツのこと。
例えば、私が愛用しているニューバランスの機能性スーツは、ジャージのような伸縮性に優れた素材で作られているため、部屋着のようなラクな着心地ながらも、画面越しでは普通のスーツやジャケットを着ているように見えます。はおるだけで、気持ちが仕事モードに切り替わるのもポイント。女性用の機能性スーツも増えているのでチェックしてみてください」(GetNavi web編集長・山田佑樹さん、以下同)
WWS(旧ブランド名:ワークウェアスーツ)
「テーラードライトジャケット」
1万7600円(税込)
「スーツに見える作業着」がコンセプトのブランド、「WWS(ダブリューダブリューエス)」の女性用ジャケット。ストレッチ性、速乾・撥水性に優れ、イージーケア機能も備えます。
「水洗いが可能なので、自宅で洗濯できてお手入れが簡単。ブラック、ダークネイビー、ネイビー、チャコール、ベージュの5色展開で、コーディネートもしやすいんです」
コツ2. 顔に「光」が当たる場所を探し、なければ自分で光を作る
“カメラ映り”を考えるうえで、顔への光の当たり方も重要だと山田さんは言います。ベストは窓の方向に顔が向くように、PCをセットすることだそう。そうすれば自然光が射し、顔が明るく写ります。
とはいえ、ちょうどいい場所に窓がない、天気や日当たりが悪く自然光が入ってこないという人もいるでしょう。
「自然光の力を借りられないときのために、ライトをひとつ用意しておきましょう。本格的なリングタイプのライトを導入しても良いですが、デスクライトでも十分。また、アウトドアが好きな方なら、キャンプ用のLEDランタンで代用するのもいいでしょう。ただし、オレンジ色ではなく白色のライトを選んで。
また、編集部の部員には、部屋の日当たりが悪いため、浴室を使っている人もいます。浴室の壁が白っぽいなら、それもひとつの手ですね。白いものに囲まれると光がうまく回り、顔が明るく照らされるんです。浴室は音が響くので、声が届きやすくなるというメリットもあります」
コツ3.「カメラの位置」はなるべく顔の正面に
画面映りを良くするためには、カメラの位置も重要です。ノートPCのインカメラを使う場合、パソコンを机に直接置くとカメラを見下ろす姿勢に。そうすると威圧感が生まれるだけでなく、顔に影ができ表情が暗くなってしまいます。
「PCスタンドを使えば、カメラが顔の正面の位置にくるように調整できます。ただし、キーボードを打ちにくくなるので、外付けのキーボードも用意すると便利ですね。また、外付けのキーボードを使えば、カメラと自分との間に適度な距離を作れるので、顔がアップになりすぎるのも防げます。おすすめは、打鍵音がしにくい静音タイプ。これなら会議中にPCで議事録やメモを取っていても気になりません」
ロジクール
「サイレント ワイヤレスキーボード K295GP」
実売価格2970円(税込)
独自のSilentTouchテクノロジーで、従来モデルよりも90%ノイズを軽減させたフルサイズキーボード。電池寿命が長く、約24か月電池交換が不要です。
「いままでの静音キーボードよりも圧倒的に静か。防水機能も備えているので、万が一飲み物をこぼしたとしても安心です」
コツ4. PCの「カメラ性能」がイマイチならスマホも活用する
カメラのスペックにも気を使いましょう。ノートPCのカメラのスペックが低い場合は、スマホのインカメラを使うのがおすすめだそう。
「最近は、スマホのインカメラの画質がかなり良くなっているので、ぜひ一度試してみてください。PCよりもきれいに映る場合があります」
「ただ、スマホからでは資料などを画面で共有することができないので、資料を見せたい場合はPCからも参加をして、画面共有のときだけPCからログインしたアカウントを使いましょう。マイクを両方オンにすると声が重なってしまうので、片方をミュートにするのも忘れないでくださいね」
コツ5.「背景」はできるだけシンプルに
家の中からオンライン会議に参加をする場合、背景をどうするかも迷うところ。「Zoom」を筆頭とし、オンライン会議システムには好きな画像を自分の背景に合成できる「バーチャル背景」機能がありますが、はたして会議で使用してもいいのでしょうか?
「バーチャル背景を使うとPCへの負荷が大きくなります。スペックがギリギリのPCを使っている場合、動きが鈍くなるなど支障が出ることもあるので要注意です。とはいえ、部屋の中を映したくないという方もいらっしゃると思います。そういった方は表情と声に集中してもらうために、できるだけシンプルな背景画像を選びましょう」
「ちなみに、とある海外のデザイン会社が、キャンドルを置いたやや暗めの部屋や絵を飾った部屋、書棚を置いた部屋など6種類のバーチャル背景を用意して、相手に与える印象がどう変化するかを調べたデータがあります。そのなかで『“知性”を感じる』と答えた人がもっとも多かったのは、植木鉢を置いた部屋だったそうです。この部屋は“信頼感”や“親密性”など他のスコアも総じて高いという結果でした。これを受けてではありませんが、私は部屋に植物を置いて写り込むようにしています」
コツ6.「通信環境」を見直そう
そして、意外と見逃しがちなのが通信環境の整備だと言います。きちんと整えていないと、声が途切れたり動きが止まったりして、画面映えどころではありません。
「最新の無線ルーターを使っていても改善しない場合は、間取りが影響しているはず。そういった方は、大切な打ち合わせのときだけ、無線LANから有線LANに切り替えるのもひとつの手です。また、電磁波は無線LANに対してノイズになるので、会議中の電子レンジの使用も避けましょう」
Tp-link
「AC1900 メッシュWi-Fi中継機 RE550」
実売価格7150円(税込)
間取りによる無線LAN通信の不良を改善する方法のひとつに、中継機の導入があります。本品は6つのストリームを搭載し、クラウドゲーミングや4K動画ストリーミングを行ってもストレスがなく、最大1900Mbpsの超高速通信を可能にします。
「我が家でも、本品を導入したら通信速度がアップしました。コンセントに直接挿せるので、置き型のように掃除機をかけるときなどに邪魔になることもありません」
おまけ.「個性」を映り込ませてアイスブレイクにつなげる
最後に、社外のオンライン会議でよくある、“参加者が全員揃うまでの気まずい時間”を減らすための、アイスブレイクのコツも教えていただいたので紹介しましょう。
「ツッコミたくなるようなアイテムを使っていると、アイスブレイクになります。例えばマイク。私はラジオの収録などで使われるようなコンデンサーマイクを使っているんですが、そうすると『普段、音声配信をされているんですか?』など聞かれるので、そこから会話が生まれます。ちなみにこのマイクは画面映えも抜群ですよ(笑)」
オンライン会議中の水分補給用にイエローのタンブラーを愛用。「画面に映り込むことでアクセントカラーにもなるだけでなく、明るい印象を与えられる気もします」
JBL
「ENDURANCE RUN イヤホン」
実売価格1880円
見た目重視のマイクのほかに、山田さんがおすすめするマイク付きイヤホン。「スポーティなカラーリングが画面越しでもさりげなく映えます。ワイヤレスイヤホンを愛用している方が多いとは思いますが、Bluetooth接続がうまくいかなかったときのために、有線タイプも持っておくと安心です。手頃ながらも、運動時の使用を想定して作られているので耳から抜け落ちにくく、会議中のストレスを減らせます。防水仕様なのも魅力ですね」
「このようにアイテムを導入してもいいですし、ある程度気心の知れた相手との会議であれば、オンラインツールに表示される名前を『山田佑樹/コーヒーにハマり中』など、趣味や近況がわかる内容に変えるのも面白いですね。話のきっかけにもなりますし、人となりがわかることで空気も和らぎます。
また、先ほどバーチャル背景はシンプルなものが良いと言いましたが、あえてネタとしてユニークな背景を選ぶのもアリです。会議の内容や相手に合わせて臨機応変に対応しましょう」
Profile
GetNavi web編集長 / 山田佑樹
アイテム情報雑誌「GetNavi」の編集を経て、2016年に同誌のウェブ「GetNavi web」の編集長に就任。ガジェットや生活家電、オーディオなどの新製品情報を日々発信している。アナログデジタルを問わずゲームも好きで新作に精通。
GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」